超獣戯画
≪第1話:ユタカの災難≫
「おはよう、ユタカ。」
「あ、ヨウイチ兄ちゃんおはよ〜。朝ごはん、もうできてるから先に食べてくれていいよ〜。」
「ユタカは?」
「あともうちょっとでお弁当ができるから、それ終わったら食べるよ〜。」
「じゃ、お先に。いただきます。」
ユタカは高校1年生。
幼い頃に両親を亡くし、兄のヨウイチとふたり暮らし。
家事の得意なユタカが朝食と弁当を作る。それが毎朝の日課だ。
「はい、で〜きたっと♪」
「あ、いつもありがとうね。」
ユタカがヨウイチに弁当を渡し、前の席に座った。
食卓の前に置かれたテレビでは、難事件をいくつも解決した噂の探偵のニュースが流れている。
ユタカはそのニュースを興味津々で見入っていた。
プチッ。
TVの画面が真っ黒になった。
ヨウイチがリモコンを掴んでテレビを消したのだ。
「あ〜!何で消しちゃうの?!もうすぐ『今日の占いカウントダウン』だったのに〜!」
ユタカが泣きそうになりながらヨウイチに訴えた。
「警察が躍起になって解決しようとしている事件を、いとも簡単に解決できるなんて・・・。
売名行為のためか警察を挑発するために、その探偵とやらが自作自演で事件を起こして解決してるとしか思えないよ。」
ヨウイチは刑事。
連日の探偵の活躍にご機嫌ナナメのようだ。
「・・・行ってくるよ。」
「いってらっしゃい。気をつけてね〜。」
ヨウイチが出て行ったのを確認してすぐにテレビを点けた。
12位からしか見れなかった・・・自分の星座である獅子座が最下位だった。