「はい、黒沢くんはオバチャンがジキジキに運んできたったからね〜。は〜い、黒沢くん、これどうぞ〜。」
「・・・これ・・・カレー、です、か・・・?」
「そう、カレーよ。ブタ玉の上にソースかけて、その上からオバチャン特製のカレーかけたんよ。おいしそうでしょ〜?ほら、食べてみて!」
「うわっ、うまそうだなそれ!いいなぁ!」
呆気にとられる俺の代わりに、酒井が大きな反応を示した。
「オバチャン渾身の、黒沢くんスペシャル。名づけて『ハンサム焼き』!」
「は、はんさむ・・・?」
オウム返しした俺の言葉に、北山と安岡がクスクスと笑っている。
「黒沢くん、ハンサムやから。だから『ハンサム焼き』。ええ名前でしょ?」
「・・・・・・いやいやいやいや!どう考えても俺よりオバサンの方がハンサムじゃないですか!」
「いやん、黒沢くぅん!こんなイタイケなオトメ捕まえて『ハンサム』はひどいやないのぉ〜!」
「いや、実際そうですよ?村上と違って、オバサンきれいな顔してらっしゃいますよ?」
「ああ、うん、まぁね。あの子はね、お父ちゃんに似たんよ。だからな、ワタシと違って、」
「黒沢、お前いい加減にしろよ?!」
俺とオバサンの会話に村上がイライラした様子で割って入った。
ヤバい、調子に乗って村上とオバサンに対して失礼なこと言っちゃった!
俺は慌てて口を手で押さえた。
・・・が。
「こらっ、哲也!あんた、母親とお客さまに向かってなんちゅうクチ利くの!謝りなさい!」
オバサンが怒ったのは、村上に対してだった。
「ああっ、す、すいません!俺がつまんないこと言っちゃったから!オバサンすいません!村上も、ごめんな・・・。」
「ホンマ、ごめんねぇ〜。クチ悪いでしょウチの子〜。こんなんやけど、仲よくしたってね〜?」
「・・・いえ、こちらこそ失礼なことを・・・すいません・・・」
「いや、そんなんええのよ?それぐらいでないと、漫才できひんやないの。」
「はぁ、まぁ、そうですね。・・・・・・・・・え?」
「というワケで、本日の集会を始めます。」
俺がオバサンの言葉を理解しようとアタマをフル回転させていると、突然酒井が場を仕切り始めた。
(つづく)
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