CrossTalkers
【1.猛烈アタッカー】
俺は今、人生最大のピンチに直面している・・・。
って生まれてたかだか15年ほどしか経ってないけど。
ここは放課後の校舎裏。
俺の目の前には、大柄でコワモテのクラスメイトが俺の前にひざまずいちゃって、両手で俺の手を握り締めたりしちゃって・・・
しかも、ちっさい目をキラキラさせて満面の笑みを浮かべてこちらを見上げている。
「いや、あの、ちょっと言ってる意味がわかんないっていうか・・・」
「お前しかいないんだ!だから頼む!」
「だから何で俺っ・・・?!」
「俺にふさわしいのはお前しかいない!これは間違いない!俺の勘に間違いはない!」
「いやいやいやいやいや!思い込み激しすぎだから!・・・あのさ、いい加減、手、離してくれないかな?」
「イヤだ・・・お前が首をタテに振るまで、俺はお前の手
離さねぇからな!」
いやあのさ・・・この光景さ・・・俺がオンナノコならさ、別におかしなシーンじゃないんだ。
ただ、問題なのは・・・俺も敵も・・・オトコ、なんだよな・・・
かなりえげつない光景だし、誰かに見られる前に一刻も早く逃れたい!
「俺、その気ないから。」
「お前じゃないとイヤだ。」
「俺もイヤだもん。だからさ、よそ、当たってくれる・・・?」
「イヤだったらイヤだって言ってんだろ!お前が『うん』って言うまでゼッタイ離すか!このバカ!」
「バカって!そもそも人にお願いする態度じゃないじゃん!」
「いやっ、あっ、さっきの『バカ』はなかったことにしてくれ!バカじゃないバカじゃない!お前は賢い賢い!」
「・・・イヤミ?それ・・・」
「そんなんじゃねぇよバ・・・あ、いや、ごめん!・・・な、頼む!た〜の〜む〜か〜ら〜!!」
こんなに熱烈にアタックされても困る!
だっておかしいだろ!俺がそんな・・・コイツと・・・
ムリムリ!やっぱあり得ないって!
「も、マジで帰るから。この話はこれで終了!金輪際、その話は出さないでね!」
強引に手を振り払って、しかもちょっと軽く蹴飛ばして、校舎裏から走って逃げた。
「おぁっ、待てよ!」
うわぁ!「もう終わり」って言ったのに、追っかけてきやがった〜!
た〜すけ〜てくれ〜!!