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大きな揺れとともに、日が暮れかかっていた空が瞬時に明るくなる。

この空の色は・・・

あの日、PV撮影をした日の空の色だ!

「ぃやったぁ〜っ!!戻れたよっ!泣きそうだよ、俺っ!」

俺はうれし涙を手の甲で拭いながら立ち上がり、ストップウォッチをズボンのポケットにねじ込んだ。

「あ、サッカーボール発見!」

足元に転がるサッカーボールをふたつ腕に抱え、グラウンドに戻る。

「安岡〜、酒井が撮影始めるって言ってるよぉ〜?」
ノンキに俺に声をかける黒ぽんと、

「お前、撮影終わったらちゃんとサッカー部の片付け、しろよな!」
リフティング対決に勝って、憎まれ口を叩くテツ。

ボールをワゴンに戻して、俺はふたりの元へ向かった。

「ふたりとも・・・文化祭で歌ってくれて・・・ありがとうね。」

テツと黒ぽんの頭を撫でて、心からの礼を言った。

「はぁ?!」
「何だよそれぇ〜?」

ヘンな声を上げて戸惑うふたりを置いて、俺は撮影場所へ向かって歩き出した。

 

過去は変わった。
だけど、ゴスペラーズは存在する。

いくつもの偶然がつぶれて、何度も必然を作って修復しようとしたけど・・・
結局はそれとは別に起こった偶然の積み重ねで、テツと黒ぽんはやっぱり一緒に歌うことになった。
それって、ホントすごいことだと思う。

偶然は作れない。偶然には敵わない。
でも偶然とか、ふたりの強い運みたいなものだけじゃなくて、勇気を出して伝えた言葉が持つ力もすごく大きくて。

素直に俺たち4人の歌を褒めた黒ぽんと、俺と歌うのをやめて黒ぽんを誘ったテツ・・・ふたりの言葉が、ふたりを結びつけたんだ。

「♪こ〜とば〜にす〜れば〜 僕〜達〜がめ〜ぐり〜合い〜・・・」

この詩を書いた時よりも、その詩の意味を強く痛感しながら、俺は今ここにいる。
ゴスペラーズにいる。

その喜びを胸に秘めて、俺はこれからもずっとこの5人で歌い続けたいんだ。

「♪数〜えきれな〜い未来〜・・・」
「あ、ヤス、何それ。」
「あ、北山さん。どしたの?」
「何か出てるよ?」
「出てるって、何が?」
「これこれ。」

北山さんが俺のズボンのポケットからはみ出した紐をクイッと引っ張ると、ぷら〜んとストップウォッチが現れた。

「何これ。懐かしいなぁ。」
「あっ、ダメ、押しちゃ!」

・・・・・・

 

 

【end・・・?】

 


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