:突然だが年少HERO達が○○しました:
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「はぁっ!? ぶん」
「しーんっ!」


 虎徹の驚愕の声に重なるように、膝の上でちびパオリンが跳ねる。
 途端通常パオリンの表面で踊る紫電。
 目の当たりにした虎徹は、慌ててちびパオリンを膝の上に抱え、マスクをつけなおさせた。







 通常サイズヒーローズの襲撃より二時間後。
 現場はどうにか落ち着きを取り戻しつつあった。
 年少ヒーロー達は、虎徹の傍らで思い思いにくつろぐ己のちびサイズに鋭い視線をくれてやるもそれまで。
 先ほどのように実力行使で排除しようとする動きはない。
 どうも自分達のミニサイズが虎徹を(わざとでないにしろ)襲撃、あの世に送り届けかけたのがよっぽど堪えたとみえる。 





 ――――血よりもまだ赤い彼岸花咲き乱れるうら寂しい川辺。





 マッドベアの着ぐるみを着込んだジェイクから必死に逃げまわり、無事帰還した虎徹を待っていたのは泣きじゃくりながら飛んできたちびヒーローズの頭突き(みぞおちにクリーンヒット)と、心配そうに顔をのぞき込
む他のヒーロー達、そしてAEDを手にした親友の姿だった。
 真っ先に目があったアントニオは、虎徹が口を開く前にただ優しく微笑んで頭を振る。
 虎徹もまた、無言の笑みをもってこれに返答する。

 ――――理解しがたい狂気を目の当たりにした者同士ゆえに通じるアイコンタクトだった。 

 さて、それから話はスムーズに進む。
 とりあえず、どうやっても虎徹のそばから離れようとしないちびヒーローズに対し、通常サイズが再び襲いかからぬよう応急処置としてちび達の口にマスクをつけた。
 無論、単なる気休めだがないよりマシだ。
 さらに用心には用心を重ねて通常サイズ達とは距離をとる。
 具体的にいうと、大きなテーブルを挟んで虎徹とちびヒーローズ、護衛役にスカイハイ。
 反対側には通常サイズヒーローズとストッパーとしてアントニオ。
 最後、この中で一番冷静に物事を見れる(はずの)ネイサンには、ちょうど二組の間で話の舵取りを頼んだ。
 ここまで盤石な構えをとって始まった第二回会議は、まずちびヒーローズの正体、その説明から入った。




 "ちびヒーローズ=年少ヒーローズ。こうなったのは、先日の企画で壊滅させた組織から保護したNEXTの能力によるもの"




 そう、虎徹達は説明された。
 だが説明には続きがあり、そこが真実と違っている。

 能力の正体は、"幼児化"ではなく、"複製"。

 容姿はデフォルメ化されるもののそれ以外は記憶から癖から完全コピー。
 しかも精神年齢が未就学児レベルに設定されているので世間体など一切考えず本能のままに動き、喋る。
 正直幼児化と全く変わらない。
 いったい何をそんなに危険視するというのか。
 説明を受け、虎徹は首をかしげた。

「別に焦らなくてもいいだろ、かわいーし」
 なー、と緩んだ顔でちびヒーローズに同意を求めれば、女の子二人は頬をかわいらしく染めて喜び、男子二人も頬を染めつつしかし複雑そうな顔をした。
 流れるほのぼのとした空気が虎徹達の周りで花の幻を生む。
 絵本や幼稚園でよく見かける光景だ。
 一連の流れを見つめる大人組の目は呆れながらも優しい。本体達は諸々ひっくるめて直視できていない。
「だいたいさ、こんな能力使い道ねぇだろ」
 本音をしゃべる分身など、せいぜい浮気の有無やら誰が冷蔵庫のケーキを食ったのかだのを白状させるくらいにしか使えないように思える。
 言えば、バーナビーを筆頭に他のヒーロー達から思いもかけず深い深いため息をもらった。

「……前々から思っていましたが、おじさんの頭は本当に平和なんですね」

 メガネの奥の瞳を嘲りに細めて鼻を鳴らすバーナビー。
 いつものこととはいえあんまりと言えばあんまりな小馬鹿のされっぷりにカチン、ときてかみつこうとする虎徹を、ネイサンが制する。
「あんたねぇ……使い道がないなんて本気で言ってんのォ?」
「んーだよ。ねぇだろ、実際」
「あるんだよ、それが」
 年少ヒーローズ以外で唯一、医師から直接事情を説明されたアントニオが虎徹達の会話に口を挟む。
「このちび共はな、送信機の役割も果たすんだ。ただ、本体に伝えるのは声や考えじゃねぇ」



 分身が本体に送るもの。それは――――ダメージ。



「はぇ?」
 聞かされた虎徹は一瞬ぽかん、とした。
 ワンテンポ遅れてアントニオの言いたいことを理解した虎徹の頬から色が消える。
 なるほど。アントニオが本体達の攻撃からちび共を必死に守っていた理由も、これではっきりした。



 "複製"
 一件冗談のような能力だが、使い方次第ではこれほど恐ろしい能力もない。
 身体能力はおろか本人の隠したがっている本音まで余さず写し取り、あげく分身が受けたダメージは律儀に本体へコピー。
 本人から直接聞き出さなくても秘密は手に入り放題で、おまけに邪魔になればもろとも始末することができる。
 もっともあぶないのがNEXT相手に使われた場合だ。
 もし危険な能力を持つ相手に使えば、その者の力を手に入れたも同然となる。
 分身を思い通りに操る事ができるわけではないが、それでも十分驚異だった。

「……早いとこ保護して正解だったな」
 もし虎徹が想像したような使われ方をした場合、相当厄介な事態になっていたに違いない。
 スパイによし、暗殺によし。
 使われた場合、を想像し虎徹は体を震わせた。
 震えの正体は恐怖と――――そして怒り。

「ふざけやがって……」

 アジトでみた、無感情な面持ちの少女を思い出す。
 拘束具を身に纏ったちょうど娘と同じくらいの少女は、虎徹達が踏み込んだ時何もリアクションしなかった。
 恐怖もなかった。怒りもなかった。驚きすらなかった。
 今にも崩れそうな瓦礫の中、彫像のように動きもせずただ彼女はそこに「あった」
 人間らしさの全くないその姿に、組織でどのような扱いを受けていたのか。
 想像だけで身の内が怒りで焼けただれる思いだ。


「……っん?」
 袖を引かれ、虎徹ははっとした。憤怒に淀む汚泥の中から意識が浮上する。
 膝の上でちびパオリンが袖を掴みながら不安そうに瞳を揺らしていた。
 同じくちびパオリンの隣でちびカリーナが。肩の上でちびイワンが。入り込んだベストの合せから顔を覗かせたちびバーナビーがそれぞれ心配げに顔をのぞき込む。
 感情が表に出ていたらしい。悪い癖だ。
 虎徹はみんなを安心させようと、笑顔を作った。




「い、いやー、それにしても思いがけずお前らの本音が聞けておじさんラッキーだわー」
 みんな俺のこと好きすぎだろー。

 わざとにやにや笑いながら分身の頭を撫でる。
 気持ちよさそうに目を細める分身達に対し、通常サイズ達は逆に目を見開いた。
 イワンはちびの姿を直視できずアントニオの影に隠れ、パオリンは笑っているような困っているような奇妙な表情で固まり微動だにしない。どちらも無言。まったくの無言。可哀相になるくらい、無言。
 分身二人も真っ赤になってもじもじと照れている。
 ただ、本気でイヤというわけでないらしく変わらず虎徹の側から離れない。
 それとは正反対に口撃激しいのがツンデレ二人組。
 蹴倒すような勢いでソファから立ち上がると、血を流さんばかりに眦をさいた。
 その剣幕は、巨大なテーブルが間にあるにもかかわらず思わずキースが虎徹を背に庇うほど。

「はぁッ!? バカ言わないでよ! こんなのが私の本音とか頭おかしーんじゃない!?」
「なんなんですか、おじさん。百歩譲ってこれが僕らの分身であったとして、これが本音を喋っているという確固たる証拠はどこにあるんです? 夢を見るのもたいがいにしてください。寝言なら棺桶の中でほざけッ」
「いやいや、無理すんな無理すんな。お前らの気持ちはよーっく分かってるから!」

 柳眉を逆立てるカリーナとバーナビーに対し、虎徹は笑みを崩さない。
 いつだったか見た雑誌のバーナビーを参考に、足を組みポーズを決める余裕まであった。
 分身が本音を喋るというのなら、二人が激昂しているのはただの虚勢だ。
 現に膝の上、服の中の分身二人は全く逃げるそぶりも怒るそぶりも見せずただちびパオリン達同様もじもじと赤くなっていた。
 分身とはいえ、二人のこんないじらしい姿初めて見る。
 突如虎徹の脳裏に稲妻が走った。



 ――――勝てる。
 何に対してかはよく分からないが、本能で虎徹は悟った。


 ――――勝てる。これは勝てる!


 日頃目上を敬おうともせずひたすら小馬鹿にしまくる二人に対し今、すこしだが自分は優位に立っている。
 にわかに欲が出てきた。
 今のうちにこの優位性を不動のモノにしておきたい。
 この期を逃せば、後に待っているのは以前と変わらぬヒーロー内力関係下位ランカーの日々。

(――――いける。やれるぞ、ワイルドタイガー! これは大人の威厳を見せつけるチャンス! 今こそッ――――今こそ……えーと……あー……げ、げ、げそくばん?)
「……ワイルド君?」
 急に黙り込んだ虎徹を不審に思ったか、キースが顔をのぞき込み声を掛ける。
 はっとして面を上げれば、こちらの胸中を見透かしたようにしらけた顔のアントニオと視線が合う。
 アホなこと考えるな。と態度で語られている気がするが、今は無視した。
 それよりも今は目先のにんじん(威厳)である。


 虎徹は余裕の態度を崩さぬまま言葉なく立ち上がると、キースを下がらせた。
 戦闘時のように空気をとがらせ、視界に標的――――カリーナとバーナビーをロックする。
 二人の表情が訝しげに歪む。
 イワン、パオリンも右に同じ。
 アントニオは諦めたように椅子に座ったまま。
 キースはなぜか頬を赤く染め視線をそらし、ネイサンは何を考えているのかただ微笑を浮かべている。
 それぞれの視線を受け、虎徹は口角をつり上げた。
 ここでいつものように気を抜き、気のいい親父の顔を見せてはいけない。
 あくまで演出するのは大人の余裕。
 参考人物は自分の兄。
 ――――今こそ乗り移れ鏑木村正。やれる。俺なら演じられる。血のつながりは伊達でないことを証明して見せよう!
 虎徹は乾く唇をゆるりと舐めると、獲物を捕らえた猫のように瞳を細める。




 ……逆襲劇の幕が上がった。














 そしてたいした見せ場もなく幕は下りた。
 間、三分。
 ヘソで茶を沸かす暇もないくらいの瞬殺っぷりである。




「……バカねぇ、もう」
 魂の根本から呆れた様子のネイサンの声を背中に受け、虎徹はますます縮こまった。
 体育座りで抱えた膝に頭を埋める。
 部屋の隅ってあったかい……。ずたぼろになった心にしみるくらいあったかい……。
 部屋の角っこに座り込み、背中に斜線を背負って虎徹は落ち込んだ。

 現役女子高生による精神のピンポイントを刳る罵りに、インテリ眼鏡のわかりやすく豊富な語彙の掩護射撃。
 スナイパーとバルカン砲のコンビの前では借り物の威厳など薄いベニヤ板も同様。
 いっそすがすがしいほどに木端微塵である。
 分身達にさえ呆れられたのが地味に堪えた。
 さすがに掛ける言葉がないのか、キースはただ無言で肩を叩くだけ。
 リンリンコンビからは憐憫の視線だけを感じる。


「――――何がしたかったんだ、お前」
 ――――ちょっと道を切り開きたかったんだよ。
 脳内で返事をするも、現実ではアントニオの問いに答えられない。
 ますますいたたまれなくなって、虎徹は唇を噛みしめた。



「ほんっとバカ……ッ!」
 肩で息をしながらカリーナが唸った。
 叫び通しのせいで掠れた声を張り上げ、さらなる追い打ちをかける。
「もうあんた何考えてんの!? 普通考えたら私があんな事言うわけないじゃない!」
「おじさんの何でも自分の都合のいいように考える浅はかさは今に始まった事じゃありませんが――――今回はさすがに度が過ぎます」
 こちらも息を乱しながらバーナビー。
 虎徹の心はとっくに折れて砕けて払われて更地だというのに攻撃の手を休めない。
 曇った眼鏡を拭きながら、ため息の追撃。
「周りの目を見てください。僕らだけじゃなく、ファイアーエムブレムまで呆れてるじゃないですか」
「あら、アタシは二人にも呆れてるけど?」
 ――――思っても見ない言葉がネイサンから飛び出した。

 驚き、とっさに振り返った虎徹が見たのは同じように目を見張るカリーナとバーナビー。
 驚きは続く。
「まぁ、それは折紙とドラゴンキッドにも言えるけれどねぇ」
「え、なになに、どういう意味!?」
 今まで蚊帳の外だったのに、いきなり舞台に引っ張り出され困惑の声を上げるパオリン。
 イワンも同じく動揺している。
 ネイサンに向けた瞳には、純粋な驚きがあった。
 四者四様。ついでに大人組もプラスして七者七様。
 それぞれに視線を受け、ネイサンは肩をすくめた。

「だぁってねぇ……これ、素直になるチャンスだって思わなかったの?」
「……意味を計りかねます、ファイアーエムブレム」
「あらン、この期に及んでハンサムらしくない。足掻きは水面下でやるものよ。表に出たんじゃ醜くって見てらんないわ」
「だから――――どういう意味よ」
 カリーナがネイサンを睨む。
 普段の友好的な態度が嘘のようだ。
 ただ、思い当たる節があるのか目が泳いでいる。
 それは、他の年少ヒーローズも同じだった。
 なぜか立ちこめ始める隠悪な空気。
 アントニオは事情を察しているようだが虎徹にはさっぱりで、同じように分かっていない様子のキースの隣で気色ばむちびヒーローズを押さえるのに手一杯だ。
 刺すような視線を年少ヒーローズから受け、それでも涼しい顔を崩さないネイサン。
 少し考え事をした後、ネイサンは何かを取り出す。
 手に持っていたのは、つい先ほどまで散々ちび達の写真を撮りまくっていたカメラだった。
「この中にタイガーと一緒に写ってるおちびちゃん達がいっぱい入ってるんだけど――――」
 突然の行動を訝しむヒーローズを前にネイサンはカメラを掲げると、にこりと笑った。





「編集して"二人の間に生まれた子供もこんなに大きくなりました"的証拠写真にしてあげましょうか?」
『いいねでかおう!』
「スト――――ップ!!!」




 口のマスクをひっぺ剥がしネイサンの元へ我先に向かうちびと、慌てて止めに入る通常サイズ。
 どっちも顔が赤いが片方は期待、もう片方は恐慌を浮かべているのが何とも対照的だった。
「良かったわねぇ、タイガー。本音じゃみんなアンタを大好きみたいよ」
 飛びつこうとするちび達を軽やかに避けながら、高笑うファイアーエムブレム。
 通常サイズ達は喜色に顔を輝かせるちび達を捕らえようと必死だ。
 そんなちび達を保護しながら、虎徹はツッコむ。
「いやいや、そんな証拠写真とか。万が一編集できたとしても歳とか性別とかですぐ嘘ってばれるだろ!」
「そう言う問題じゃねぇ」
 捕獲を手伝いながら、アントニオ。
 アントニオの手をすり抜け、バーナビーは吠える。
「ファイアーエムブレム、そもそもそれは肖像権の侵害です! 今すぐデータを消してください!」
「あら、いいのォ? これコピーとかバックアップとってない一点ものなんだけど……」
『じゃあ、データおくってください! へんしゅうだったらとくいでござる!!』
「ああああああっぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 真っ赤になって獣の咆吼をあげるイワン。
「消してください! データを! 記憶を! むしろ僕自身を!」
「まちたまえ! 自殺はいけない! そしていけないぞ、折紙君!」
 飛び交う手裏剣を風でたたき落としながらキースがずれたツッコミを送る。


 争いは至る所で勃発していた。
 年少ヒーローズVS年長ヒーローズ再び。
 あの天然KOHさえツッコミに廻るという異常事態に、気づく者は誰一人としていない。
 みんな自分のことでいっぱいいっぱいだった。
『写真のちびボク、おとこのこにできないかな!? ボク、さいしょはおとこのこがいい!』
「うわああああぁぁぁ、黙ってえぇぇぇぇぇっ!!」
「よせ! 電撃はよせ! いいじゃないか、男の子! 何が悪いんだ男の子!? 俺、息子とキャッチボールとか夢だったし!!」
 巻き起こるツッコミの連鎖反応。ただズレがひどくて最終的にはボケになっているがやっぱり誰も気づく余裕がない。


「だいたいなんでそんな必死になるのよ、みんなァ。本当は認めちゃってるんでしょ? おちびちゃん達がヒミツの自分――――本当の自分なんだって」
「認めない! 私、絶対認めない! こんなのが私のヒミツだなんて……」
『ヒミツ? まいばんタイガーのヒーローカードでこくはくのれんしゅうしてること? まえにもらったシュテルンビルド$をまくらのしたにしいてタイガーのユメみれますようにっておまじないしてること?』
「認めないんだからああぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁッ!!!」
 怒声、罵声、悲鳴、嗚咽、まさに阿鼻叫喚の展覧会。
 狂乱渦巻く部屋の中、とうとうネイサンからとどめの一言が打ち落とされる。




「もう! そぉんなに否定したいなら―――― 一人一人ポリグラフにでも掛けてみましょうか? それぞれのおちびちゃんと一緒に」
 きっとものすごいシンクロが見れるでしょうね。 
 にっこり笑顔で下された発言に、年少ヒーローズは一瞬動きを止めた後――――。





「うわあああぁあああああぁぁぁぁぁぁぁッッッ!」
 逃げた。





 かつてのバーナビーがしでかしたように、全員一瞬にして部屋から消え去った。
 後に残されたのは年長ヒーローズと彼らの分身だけ。
 あっけにとられその場から動けなくなる年長ヒーローズのなか、唯一の例外であり元凶でもあるネイサンがやれやれ、と言ったように肩をすくめた。
「ちょおっといぢめすぎちゃったかしら?」
「や、やりすぎだろ!」
 青ざめる虎徹に対し、ネイサンは片目をつぶって苦笑する。
「だってあんまり意固地になるんだもの――――それにいい機会だと思ったの。あの子達、我慢強すぎる所あるでしょ? 今のうちに吐き出せるだけ吐き出しておかないと……。大人になると、いやでも無意識にブレーキかかっちゃうしね」
 分かるんじゃない?
 からかうように顔をのぞき込まれ、思い当たる節のある虎徹は眼を泳がせる。
 周りを見れば、アントニオ、キースも同じように眉尻をさげていた。
 虎徹は思わず微苦笑する。


「やり過ぎには変わりねぇと思うけどな」
「荒療治であることは認めるわ。でもこれぐらいやらないと、抜けないくらいガス溜まってたみたいだし」
「……なんか、オッサンみたいな事言うなぁ」
「やン、失礼ね! 永遠の乙女を捕まえて!」
 虎徹の肩をぶつ真似をして、ひとしきりじゃれるとネイサンは吐息一つ。
 ついで一人のちびを胸にすくい抱く。
「じゃ、そろそろお迎えに行きましょうか」
 さすがに投げっぱなしで終わらせるつもりはない。フォローはしておくべきだろう。
 そもそも、騒動の根源である分身問題は解決していないのだ。
「――――仕事増やした人間がよく言うぜ」
 だがそれ以外には特に否は唱えずアントニオも一人のちびを抱き上げた。
 キースも倣って、ちびを抱きかかえる。
「ワイルド君はどうするんだい?」
 問われ、虎徹はどうしようかと考えた。






 誰を捜しに、誰と行く?

 1・キースと一緒に、バーナビーを探しに行く。
 2・アントニオと一緒に、イワンを捜しに行く。
 3・ネイサンと一緒に、カリーナを探しに行く。
 4・一人でパオリンを探しに行く。

あとがき

本当は今回で終わりだったのにどうしてこうなった……。
次回、分岐入って終了です。

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