片恋

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殺してしまえ。こんなモノ。

















寝転がって見上げたのは気持ちいいくらい晴れ渡った空。
今の俺とはあまりに反対すぎて、ため息が漏れる。
そんな時、頭の中にふと浮かび上がるアイツ。
どういった訳か四六時中この調子だ。
何でこんな事になったんだかと原因を考えて追究するたび深みに嵌る。
そしてその度知らされる、アイツへの想いの強さ。
まったくお笑いだよな、よもや好きになった相手が男で――――しかもアイツだなんて。
反発してたはずなんだ、アイツとは。
気が合わないと思ってた。
だってアイツと俺の気性は正反対すぎる。
アイツはいつも落ち着いてて、頭よくって――その上女に騒がれるほど格好良くて。
最後の部分でどっぷり暗くなる。
そう、アイツはもてるんだ。
街に行けば女どころか男からも羨望のまなざし。
すらりとした体格に、目鼻立ちの整った顔だち。
よっぽどひねくれてないか、審美感がおかしくない限り綺麗だと誰もが認める。
でもそれより何より、時折見せる優しさが、好きなんだ。
そう考えて、どくりと心臓が鳴った。
アイツのことを考えるだけで、胸の辺りがジンと熱くなる。
狂いそうになる熱さ。







でも。







突然、胸に氷のような冷たい感覚。
アイツには俺じゃない、好きな女性がいる。
彼女もアイツの事をまんざらに思ってないみたいだ。
相思相愛。
結構な事じゃないか。これで諦めがつく。
――――そんな考えは甘いものだった。
解ってるんだよ、頭じゃ。
アイツには他に好きな女性がいて、それは俺じゃなくて、二人は好きあってて。
理屈じゃ解ってるのに、心がそれを解ろうとしない。
心臓が鷲づかみにされた様に痛む。
アイツを、彼女を想うアイツを想うだけで胸が苦しい。
泣き出しそうになる恋心。
――――怖い。
こわい。
こわい。
こわい。
知られるのが?
離れるのが?
――――嫌われるのが?
俺はいつからこんなに臆病になったんだろう。
伝える事も出来ない、この想い。
ならばいっそ・・・・・・








殺してしまえ、こんな想い。


自分にも解らないくらい。
跡形も無いくらい。







「リッド!」
アイツの声が聞こえた。
どうやら飯時らしい。
俺が飯を忘れるだなんて・・・・・・
ふと口元に浮かんだ嘲笑。








殺してしまった。










「今行くー!」
大声で返して、アイツの元へ向かう。








そのはずなのに。





「今日の飯、何だっけなー」



――――骸ばかりがいくつも増えて、いつまでも俺を苦しませ続ける。

あとがき

片恋、リッドバージョン。
お相手はキールでもレイスでもいっそクレスでも(爆)
初っ端から物騒な言葉ですみません。
でもリッドって表面上明るくても内では案外闇を抱えていそうだなぁと。
ほら、ラシュアンの悲劇とか。
だから心のうちでこんな事くらい呟いていそうだと。
リッドってこういうイメージです。

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