気づくには遅すぎた。受け入れるには早すぎる。
仲間達とは少し離れた場所。 最近彼と二人きりになる事が多い。 「男二人でこそこそとやらしーわね」 なんて離れるときかけられた、からかう様なルーティの言葉に一瞬どきりとする。 なんだか、俺の中の邪な気持ちを見透かされた気がして・・・・・・ 「なに言ってんだかなー、ルーティのやつ」 笑い声は自分でも空々しいと思った。 彼の相談事はいつもと同じ。 ――――彼の大事な女性の事。 最近元気が無いようだとか。 何を贈れば喜ぶのかとか。 ・・・彼女の力になりたいとか。 はっきり言ってこういう相談事は、俺より適任の人間が居るはずだ。 なのに彼はいつも俺に相談をする。 時折うっすらと目元を染めて、大事な女性の話をする彼。 その度に耳を塞いでしまいたくなるのに、俺は律儀に返事を返す。 ずいぶんお人よしだと思う。 だって、彼女は俺にとって『恋敵』になるはずなんだ。 ――――俺は、彼の事が好きなんだから。
俺がこの気持ちに気づいたのはごくごく最近。 なんだか彼の事を考える時間が増えて、姿が見えなければ探して、傍にいると安心して、どきどきして。 そしてそれが恋なんだと知った。 けれどその気持ちに気づくのは遅すぎた。 彼にはもう、一番大事な女性がいた。 俺の入り込む余地なんて無い。 だいたい、元々男同士なんだから、望みなんてまったく無い。 解っているのに、その現実を受け入れるのを心が拒否している。 気持ちが、彼の事でいっぱいだから。 それでもまだ好きが増え続けている。 溢れそうな位、零れそうな位。 いづれは本当にあふれて、ばれてしまうんだろうか。 それが本当にそうなりそうで怖い。 もしも気持ちが知られたら? 俺が彼の事を好きなんだって、分かってしまったら・・・・・・ 傍に居れなくなる。 だって男が男を好きになるだなんて、絶対普通じゃない。 知られれば嫌われてしまうかもしれない。 そんなのは嫌だ。 嫌なのに。
気がついたら、彼が俺の顔を不思議そうに覗き込んでいた。 突然黙ってしまったからかもしれない。
「・・・・・・」
もしもここで、俺が好きだといったら・・・・・・
「・・・・・・」
彼は・・・・・・
「あ、ちょっと寝てた」 言い訳すると、彼が呆れたように苦笑する。
「えっと、何の話・・・だったっけ?」
零れかけた想いの欠片は、今も危うい位置で留まっている。
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