疑問は次々溢れてくるのに、それをぶつけることさえできないなんて。
たとえば雫を得て一息ついた瞬間とか、
街中で珍しいものを見つけたときとか、
一年ぶりに村に帰って自分のベッドで眠りに落ちる寸前とか、
決まって浮かぶヤツがいる。
そうなってしまえば、普段は荷物の底に追いやっている箱を取り出すはめになるのだ。
入っているのはただの布。
古びて、ボロボロで、布以外の何者でもない、ただの布。
ただガーネットにとってそれは少し違う意味をもつ布。
「・・・なんで」
あの湿原で、あの魔物が持っていたのか。
どうしてあの魔物だけ再び現れようとしないのか。
突き詰めると、とんでもない答えに辿り着いてしまいそうで、いつも慌てて考えるのを放棄する。
それでも。
「・・・なんで」
こんな布を大事に持っているのか。
まるで・・・・・・・・・『形見』みたいじゃない。
浮かんだ言葉を頭を振って否定して、掌にある布を握り締める。
こんなものが目の前にあるから考え込むのだ。
「捨ててやる、売ってやる、とにかくどこかへ遣ってやる」
毎回そう誓いを立てるものの、まだ一度として実現したことなどないのだけれど。
この古びたバンダナがスイ・レンに預けられるのは、それからまだ数年の月日が流れてからのこと。
e n d ?
とある日、「An even break」(ジャンルは違います)のあやさとさまよりメールにて戴きました。
曰く、デ・ナム補間話。だそうです。『我らがキャラバンの仲間たち』の「漢2」に対するガーちゃんの答えだとか。個人的にこの負けず嫌いな感じのあるガーちゃんが大好き。そして少しほろりと切ない感じです。
あやさとさま、ありがとうございました。
2004年6月20日に頂戴いたしました。