衣服も下着も乱されたまま、俺はベッドの上で身悶えていた。
立派に屹立したペニスは触れられぬまま、所在無さそうに俺が身体を蠢かせるのに合わせて揺れている。

「や、……止めろよ……っ、そこ……舐めんな、って……」
俺は羞恥と快感に泣いていた。
誓って言うが、俺は少々のことで泣いたりしない。痛みにも強い方だ。
だいたい、泣きわめくのは女のすることで、格好いい男は泣くものじゃないという持論がある。
ライルはそんな俺をいちいち突き崩してくる。
女ものの服を着せ、俺を女のように愛撫するのだ。
今だって俺を俯せ、膝を付かせて尻を高く掲げさせ、中心の窄まりを明かりの下にさらし、執拗に舐めている。
男にすることじゃ無いだろう。だいいちそこは性器じゃない。
俺も好きな女なら性器も舐めるが尻の穴なんて触ったことも無かったのに。
「ライ、ル、」
もちろん洗浄したから清潔ではあるはずだけど。
しかも、許しがたいことに俺はそこを舐められ酷く感じていた。ペニスを舐められるよりもむしろこちらの
方が好いくらいに、鋭く尖らせた舌先で細かな襞を丁寧に辿られ、見えないその部分を想像するだけで
極まりそうになる。
当然だが、俺は欲求のままに自分のものを扱きたくなった。手をのばす。でも、察知したライルが
素早く俺の手を握り、行く手を阻んだ。
「女の子なんだから」
と、ライルは言った。意味がわからない。
「…れはよぉ、っ、……おん、なじゃ、ねえっ、……あぁ、んっ!」
唾液で濡らされ、舌でほぐされた尻の穴に指が入ってきて俺は文句の代わりに嬌声をあげてしまった。
「お前はこちらの方が好いはずだぞ」
ぬるぬると出入りする指が心地良いのは確かだ。
「はぁ、ん、……っ、んっ……ふ……」
挿入されると完全にスイッチが入ってしまう。
「だ、だめ、ぇ……」
自ら脚をひらいてしまう。さぞみっともない面を晒しているんだろうが、ライルはそんな俺の姿に興奮するの
だから仕方ない。下着も服も着けたまま、潤滑剤を垂らされ股間はぐしゃぐしゃだ。
尻穴を指で嬲り、ライルは「女はここを弄られるのが好きなんだ」と言い、俺のペニスの先端を指の腹で
擦り始めた。
「あっ、ああっ、あ……ああっ!」
あっけなく俺は達した。視界に入る、自分の長い靴下を穿いた脚、僅かに見えるひらひらとしたスカートの裾。
俺は女だったっけ、と勘違いしそうになる。
「もっとイっていいんだ、」
普段と変わらないようでいて、興奮しているライルの声と共に指の動きが激しくなる。
「止めて、く……ぅ、ま、またイ、く……」
ペニスは扱いてもらえない。そして射精もせず俺は女のように再び達した。
ライルが俺の嬌態をうっとりと見つめている。ようやく指を抜き、泣きながらイった俺を背後から優しく
抱きしめ、絶頂の余波にまだ震えている身体を宥めるように、肩や頭を撫でてくれる。
だが、数度達してもまだ俺の欲望は収まらない。上向いたペニスはそのままだ。当然、ライルもだ。
?き出しの尻に熱い肉棒が押しつけられている。それはそのまま、ライルの欲望の象徴だ。
「ねえ、ライル」
俺は顔をライルへと向け、唇に口づけながら囁く。
「挿れて」
俺は娼婦さながらに、ライルの股間へわざと尻を擦り付けた。
「何を?」
本当に奴は意地が悪い。こんな男と付き合う奴の気が知れない。
「……あんたのいやらしい肉棒を、尻に突っ込んでくれ、って言ってんだよ」
あけすけに言うと、ライルの瞳が僅かに血の色を帯びた。薄い虹彩の色は奴の興奮を露わにする。
それを知っているのが俺だけならいいのに、と時に思う。
「ガチガチの硬いのをよ、……突っ込めよ、……」


俺だけに欲望を向けて欲しい。

だから、他の奴らになら絶対許さないようなことだって、ライルになら許してしまう。




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