ふわふわと宙に浮いているような感覚。
 空でも飛んでいるのだろうか。Bはそんなことを考えた。
 いや、温かな腕に包まれているのだ。だとしたら、この腕は誰の?
 人々に嫌われ疎まれ石を投げられた自分を包む腕は、誰のもの?
 この世に神とやらがいるとするなら、その腕の中だろうか。
 
 ああ、けれど。
 
 もし叶うのであれば、誰とも知らぬ神などの腕よりよほど、彼の腕が良い。
 たったひとりの親友。
 
 赤毛――シャンクス。
 
 赤毛の腕に抱かれるのが良い。
 彼の望みは叶えたから、彼の元へとすぐさま戻り、彼の傍らで眠るのが良い。
 赤毛は笑ってくれるだろう。いつか見せてくれた向日葵のように。
 
 
 
 空に浮くのは、それからで良い。
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