何をしているのかと己に問う。
例えば夜、マスター夫妻との食事の後。
ほろ酔いの上機嫌で二世帯住宅の二階、二人の我が家へと引き揚げた後。酔いの勢いのままカイトを部屋へ引っ張り込み、服を脱ぎ、脱がして互いの熱を貪る。
初めての頃は、そんな行為に意味を感じていた。ひきかえ、今はどうか。
何をしているのかと己に問う。
これは、愛を交歓する行為ではなかったか。
だが今のがくぽには快楽を深く味わう行為でしかない。
「……がくぽ、くん……」
行為の最中、カイトが眉を顰める。そんな顔は見たくないと、がくぽは口付けを仕掛けた。
その顔を見ると、胸が締め付けられる。
違う。
そんな顔をするための行為ではない。
「……っ!」
己の中深く銜え込んだものをきつく締め付けた途端、カイトが息を飲む。その表情は結構好きだ。
本当に嫌なら、拒めば良い。
なのにそうしないのは、カイトもしたいからだろう。
そんな欲求は隠さなくて良い。もっと、作られた体でも持っている本能のようなものに従えばいい。
簡単なことだ。――触れば良い。
「……ッ、は……」
跨がったカイトの上でゆっくり腰を動かす。だがすぐに性急な動きへと転じた。
もっと。
もっと、欲しい。
カイトが欲しい。
何をしているのかと己に問う。
この行為の根源を忘れたわけではない。
いつから行為自体を優先するようになってしまったのだろう。
何かが込み上げてきそうで、がくぽは歯を食いしばる。誤魔化すように腰を動かした。
カイトがどんな目で自分を見ているのかわからない。わかりたくなくて、押し寄せる快楽に没頭していった。