ずっと、信じていた。
帰る場所はただひとつなのだと思い続けていた。
竜宮島――、一騎のいるところ。仲間がいる場所。乙姫が護る島。
個を保てなくなっても、一騎と繋がっている、いられることで自分の存在を確信できた。
操が総士を守ってくれたお陰でもある。
蒼穹。蒼を映した海。白い砂浜。
またこうして自分の足で立てていることの喜び。
操の遺した言葉。
「ただいま」と「おかえり」。
どれほど夢想したかわからない。
もしかしたら、自分は泣き出してしまうのではないかと総士は思っていた。けれど――自分より先に泣いていたのは、一騎のほうだった。
「ありがとう、一騎。島を……僕の帰る場所を守ってくれて」
自然に出た言葉。
手を伸ばせば、一騎も手を伸ばしてくれる。
確かに掴める。
ここに、いる。
一騎も、自分も。
おかえりと言ってくれた一騎はもう、泣いてなどいなかった。