17/致命的な存在

 なんでしょうね、とトレードマークの帽子をかぶったリックが呟く。拾ったのはヤソップだ。
「そりゃー、船じゃねェか?」
「でも、船ならまた作ればいいとか言いそうじゃないですか」
「ああ……」
 容易く想像が出来、幹部一同大いに頷く。
 身を乗り出したのは、いつも黄色いサングラスを掛けているアディスン。
「じゃ、俺たちっていうのは?」
「ばっか、そんなんテメーのケツはテメーで拭けって言われんのがオチだろ」
「えええええ、でも、ヤソップさんとかルゥさんとか副船長だったらわかんないじゃないですか!」
「バッカやろ、俺らなら余計にテメーひとりで何とかしやがれになるだろ」
 ヤソップが鼻を鳴らすが、アディスンは「そうかなァ」と納得いかない様子である。
 言い出しのリックはその様子を笑いながら見、
「でもきっと、海軍に捕まったら奪い返しに行きますよね」
 ヤソップ、ルゥ、アディスンが顔を見合わせる。
「そりゃあなあ」
「海軍が俺たちに手出ししてくるかどうかわかんねェけど」
「けどまあ、そうなった時はそうなった時だよな」
 にやりと、全員が同じように笑う。
「大人しく捕まってるわけがねェ」
 違いねェ、と笑う声が青空に弾けた。
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