「オレを、閉じ込めておきたい?」
風に舞う綿毛のような優しさで、不意に心を刳るのがシャンクスの常套手段。自覚があるのかないのか、ベックマンにその判断はつかない。
とはいえ、睦言にしてもいささか穏やかならぬ発言だ。
閉じ込める? 誰を?
「……大人しく閉じ込められるタマじゃないだろう」
そこを蹴り破ってでも、束縛から逃げる癖に。
乱暴に口付けると腰を抱いた。腕の中、シャンクスは楽しげに肩を揺らす。
「否定しないんだな」
ふふ、と狡猾な悪魔のように吐息を震わせ、掴んだ黒髪を混ぜるように撫でる。
昔の話だと囁いて外耳を咥え、嬲る。竦めるように躯が揺れ、掴まれた髪を引かれた。
はだけられたシャツを邪魔だと言わんばかりに大きな手が払い、日に焼けた肌を撫でてゆく。
ベックマンの顔に口付け、額を合わせて互いの瞳を覗く。
下肢が剥がされるのを腰を浮かせて手伝い、男の広い背を撫でた。
「昔って、いつだよ?」
「…………」
答えを寄越さないでいると、焦れたのだろう、再び催促された。黙れとばかりに後ろ髪を掴み上向かせ「昔は昔だ」と、深い口付けで黙らせてやった。
叶わないとわかっている馬鹿馬鹿しい望みを、いつまでも抱いている趣味はない。