ささやかな出来事、それらひとつひとつに意味を求める行為そのものに、一体どんな意味があるというのか?
「なんでも意味付けすりゃいいってもんじゃないだろう」
あっさり切り捨ててくれたのはシャンクスだった。ベックマンの目の前でジョッキを傾けている。
「何にでも意味があると思い込むから身動きがとれなくなるんだ。意味なんて放り出しちまえばいいのに」
全部が全部とは言わないけどね、と口の端だけで笑む。
基本的にベックマンもシャンクスの意見には同意だ。「意味」を「理屈」に置き換えても同様だろう。理解はできる。
「おまえも大概、意味とか理屈に捉われるタチだよな」
喉を震わせて笑うシャンクスを、横目で睨む。たいして堪えているようには見えない。
「最近は、減ったみたいだけど」
口の端に残る泡を手の甲で拭うと、ニヤリと笑う。
たしかに言われた通りだが――その通りだと素直に認めるのは癪だ。しかしそんな内心を見透かしたように、シャンクスは笑ってベックマンの頭を撫でる。
「昔より素直で可愛くなったよな」
男に対して、それは誉め言葉ではない。
思ったところで反論の意味はなく、苦笑して煙草を吸うに留めた。