「オイ青いの!それかばおのバナナだぞ!返せよ!」

「Ha!っせぇよ、俺ァbananaが食いてぇんだ。今日のおやつはbanana cakeな気分なんだよ!このデケェの一本貰ってくぜ!」

「折角そこまで熟したのに……許さねぇ!!」







「助けて、あんぱんまーん!!!」















それいけ!あんぱんまん!! 2
















「はぁ……ばいきんまん…」



ところがその頃当のあんぱんまんはパトロール休憩中、目も虚ろに体育座りをしてぶちぶちと花びらを千切っていた。
周囲には何本もの罪の無い花の茎と花びらが散らばっている。



「柔らかな唇だった…。あぁ、あの逞しくもしなやかな体の奥を暴………ぬおっ!!?某は何たる破廉恥な…!!!」



己の破廉恥思考に頭を抱え一人じたばたと葛藤していれば、その上空を冒頭の助けを呼ぶ声を聞きつけたしょくぱんまんが通りかかった。
しょくぱんまんと言ってもやはり顔が食パンというわけではなく、ただ食パンが好きなだけである。
烏につかまり迷彩の装束を風になびかせ現場へ向かっていたが、様子のおかしいあんぱんまんが気がかりで音もなく着陸する。



「ちょっとちょっと。何してんのさあんぱんの旦那、かばお君の声聞こえなかったの?」

「…む?何だしょくぱんまんか…。声など聞こえなんだが」

「何だってちょっと!もう…最近おかしいぜ旦那は。って、今はそれどころじゃない!早く助けに行きますよ!」

「……はああぁ……………」



何だか今は使い物になりそうにないあんぱんまんではあるが、その実力は本物であるはずなのでしょくぱんまんはその腕を掴み一緒に烏へぶら下がって声のした方向へと連れて行く。
上空から地を見下ろし移動していると、やがて声の主を発見した。
そしてその小さな男の子の向かいには大きなバナナを抱える蒼の陣羽織を纏った男が居る。

しかし何故か今日は逃げる様子がない。まるで何かの訪れを待っているように。



「こらばいきんまん!!小さい子虐めちゃ駄目でしょー!!」

「……ばいきんまん!!?」

「……Oh…余計なのまで来やがって」



今までだらりとしょくぱんまんにぶら下がっているだけであったあんぱんまんはその名に異常な反応を示し辺りをきょろきょろと見渡す。
すぐに焦がれた蒼を目に留めれば目を大きく開き、しょくぱんの手を振り払い一足先に着地した。
一直線に想い人へと駆け寄り姫へするそれのように彼の足下へ跪き、偶然未だ手に一本持っていた花びらを毟られる予定であった小さな白い花を差し出す。



「今日はいつもと違う衣を纏っておられますな…とても華麗だ。…これは、花以上に華麗なそなたへ捧げます」

「……………」



すれば今日は兜を脱ぎ去った第二衣装を纏うばいきんまんは頬を薄く朱に染めながらも、腰に在る六本の刀の内一本を抜き出してあんぱんまんの鼻先へ突きつける。



「バーカ、何してんだよ。俺ぁアンタの敵だぜ?今だってカツアゲしてたんだよ。んなことしてていいのか?」

「何っ……!!?」

「……旦那……気付くの遅いよ…」

「HA!じゃ、今日はこの辺でおさらばだ!」



いつものように飛行物体でなく今日は何故か徒歩で来ているらしきばいきんまんは森の奥へ向かって颯爽と走り出す。



――――ここじゃ邪魔が入るな…折角歩きな上めかし込んで来たのに台無しだぜ。
俺が欲しかったら追いかけて来いよ、あんぱんまん!!



陣羽織を翻しながら走るばいきんまんが軽く後ろを振り返ると案の定、あんぱんまんが花を持ったまま後を追ってくる。



「待て!っと…しょくぱんまん!ここは俺に任せろ!!」

「急に元気んなっちゃって……何か不安なんだよなぁ…」



かばおとしょくぱんまんは、何とも腑に落ちない表情を浮かべつつその背後を見送った。


















二人が追いかけっこを続けていれば、森はどんどんと深くなっていく。
ガサガサと茂みを掻き分け人の通れる小道からも外れたところで、ばいきんまんは再度相手を振り返る。



「止まれ!それを返せ!!」

「Shit…しつこい野郎だな!」



言いながらもばいきんまんの口許は嬉しげに笑っている。
そしてタイミングを見計らったように、走る速度を少しだけ下げた。
すればすぐに後ろから体当たりをされるが如く抱き締められる。


あぁ、感じたかったのはこの熱だ。


ドサ、とそのまま押し倒されて上に覆い被さられた。



「ばいきんまん…何故です。何故、そうも罪を重ねる」

「いってぇな………、…別に。暇だからじゃねぇの?」

「某はそなたのことをお慕いしているのだ。もう、こんなことはして欲しくない」

「へぇ…いきなりわいせつ働いてくる正義の味方がよく言うなぁ」

「……………そう簡単に改心しては下さらぬか…」



片手で相手の両手首を纏め押さえつけたまま少々声を低めたあんぱんまんは、ばいきんまんの尻へ片手を這わせる。
ばいきんまんは下に居るが故彼に見えぬのをいいことにしてやったり、という笑みを深める。

そしてあんぱんまんは、陣羽織の下へ手を差し入れそのズボンの布を自慢の馬鹿力で引っ張って破り始めた。
びり、びりと無残に布の裂ける音が聞こえる。
ここまでは計算で動いていたばいきんまんも流石に正義の味方らしからぬにも程があるその行動には目を丸めたが、普段からは想像もつかぬ乱暴なその振舞いに寧ろ欲を煽られた。

やがて尻から股間までを覆う布が破かれ下帯まで取り去られてしまえばばいきんまんは冷たい外気にふるりと下肢を揺らす。
局部は曝け出しながらもズボンは双方の太腿につけた防具に引っ掛かり脚を覆っており、ばいきんまんは己のさせられている格好淫猥さを自覚し耳までを朱に染める。



「……悪い子にはお仕置き、だ」



幼い面立ちとは掛け離れた甘い囁きに、眩暈を覚えた。




















つづく












すいません、また文字数の関係で微妙なところで切れました。


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