赤はちまきちゃん 中編














唇や掌で肌を貪り合いながら、もつれ合うように互いの着衣を脱がせる。
政宗の日に焼けぬ白肌に赤い印が散らばってそれが一層幸村の欲を駆り立てた。
政宗もはちまきを取り去った幸村の面に改めて見惚れる。
互いが互いの上着を全て脱がせ終わったところで、幸村は政宗の片胸へむしゃぶりついた。



「…っ、……ん……」



きゅっと歯で突起を噛み締めてやれば噤んだ唇から出た甘さ含みの声が鼓膜を揺らす。
この声をすぐ傍で聞くのをどれだけ心待ちにしていたことか。
幸村はもっとそれを耳にしたいと望んで、乳首を丹念に愛撫する。
ちゅう、と吸い上げては先端を舌先で弾く。



「っは……オイ、アンタそんな悠長なことしてる余裕あんのかよ…?」

「う……!」



しかし政宗は勝気な笑みを浮かべて幸村の下半身へ手を伸ばし、袴の内へ手を忍ばせ下帯ごと雄を握ってやる。
そのような挑発染みた行動をされれば幸村も黙ってはいられず政宗の下の着衣を膝まで引き下げ、するすると下帯を剥ぎ取って局部を露わにさせる。
政宗の茎は硬く反り返りだらだらとその口から先走りを垂れ流して愛撫の訪れを待つ。
肌の色とは対照的に生々しく反応する男の象徴、それを囲う人間のそれとは少し違い柔らかそうな下生えを見て幸村は唾を飲み下した。



「政宗殿…ここの毛も、とても触り心地が良い」

「あ…、……っ…」



性器への直接的な愛撫ではなくも敏感になっている箇所を囲む毛を撫でられれば脚の間から覗く尻尾がぴくりと揺れる。
それが悔しくて、政宗は幸村の下帯を少し緩めその中へまで手を差し入れて狭い内部で男根を直に握る。
そこで、政宗は思わず固まった。



―――――――ちょっと待て。
こいつ顔に似合わずデカくねぇか?
長さも…太さも相当だぜこりゃ。
これを俺のケツに入れる………ってのか!?



男同士で小さいから楽に入るというものでもないだろうが、政宗は幸村の幼い顔つきから勝手な判断をして高をくくっていたのである。
ぐ、ぐ、と繰り返し握ってその大きさを確かめる度紅潮していた政宗の顔は少しずつ青くなっていく。
反対に幸村の顔は赤味を帯び欲の色を濃くしていくわけであるが。



「っ、ぐ……!」

「あ……はァ……」



政宗は己の上で感じ入る相手を眺めながら必死に頭を回転させた。
己も性器を掴まれやわやわと刺激を与えられて多少息が乱れていようが甘ったるい声が漏れていようが、迫る身の危険に今はそれどころではない。
もう、逃げるという選択肢しか思いつかなかった。

政宗は相手を追い詰めるべく手の内で脈打つ肉棒の裏筋を指の腹で擦りながらしゅ、しゅっと扱く。
すればその思惑通り、幸村の息が一段と上がった。



「ま、政宗殿…そのようにされては……!!」

「…構わねぇから、っ…イッちまえ」

「うっ、……ク―――…!!」



ぶるりと性器が震え己の手に白濁が吐き出され始めた瞬間を見計らって政宗は手を着衣の内から抜き出し幸村の下からするりと逃れ床へ片足をつくと同時、中途半端な位置まで下げられたズボンを引き上げドアへ向かって駆け出した。
流石は狼、軽い身のこなしであっという間に入り口へ到着しその取っ手を掴む。



「Ha!動物ってーのは交尾ん時が一番無防備になんだぜ覚えときな!!」



突然の政宗の行動に目を見開いている幸村を軽く振り返り得意気に言い放つと颯爽とその場を後にすべく取っ手を引く。























……………開かない。



「Ah!?ちょ、何だよこれ…!!」



よく見ればご丁寧に鍵がかけられていた。
内鍵ではあるも、今のこの状況でその一瞬のタイムロスは命取りである。
焦りから指先がうまく動かずがちゃがちゃと内鍵と格闘していれば尻尾を掴まれたのがわかる。
そちらを見なくともわかる。尻尾と耳の毛が逆立つ。
後ろに在る気配から確かに感じる、威圧感。
政宗は更に顔を青くしておそるおそるそちらを振り向いた。



「―――政宗殿、どうしたのです?」

「Oh、幸村……ちょいと散歩にだな…」

「なるほど。政宗殿は獣故、背後からが良いのですか」



薄く笑みを浮かべながらも目が笑っていない幸村は政宗の耳元で囁き、再び政宗のズボンを引き下ろす。
尻尾を強く掴まれたままなので簡単には逃げられない。
無茶苦茶に暴れれば逃げられないこともないかもしれないが、この短時間で何らかの情が生まれてしまったのか引っ掻いて逃げる気にもなれない。

幸村の指が政宗の蕾の表面を撫でると尻尾は芯を持ったよう硬くなる。



「……ゆき、むら…。止めてくれ……」

「何故です。先程は、あのように口づけに応えて下さったのに…。某は止めたくない、止められない」

「頼む、…そんなデカいもん入んねぇ」

「は?何と仰った…」



語尾に近付くにつれ政宗の声は極端に小さくなり、正面へ顔を戻して俯く。



「………ンなデカいもん入れたら死んじまうっつってんだ馬鹿!!」



かと思えば恐怖からか羞恥からか、尻尾と耳を小さく震わせながら怒鳴る。
が、その次の瞬間には尻の穴の表面をヌメった温かいものが這う。



「…そのような心配をなさっていたのか…可愛い方だ。大丈夫です。政宗殿の愛らしいおまんこを傷つけるような真似は致しませぬ」

「おまっ……!?…うわっ、止めろ!」

「しかし確かに狭そうだ…。何かで慣らさねばなりませぬな」

「ひ……っ…!」



蕾の表面に感じる感触と耳へ届くぴちゃぴちゃという水音で、舐められているのがわかった。
一番恥ずかしい場所を間近に見られ、舐められている。
その上穴の左右へ指が添えられたかと思えば粘膜がすっと冷える感覚。
中までをも、見られた。
政宗の頬は赤く染まり、段々と抵抗する気力は失せていく。
居ても立っても居られなくて扉へ両腕を押しつけその腕へ自らの顔を埋める。
その所為で幸村へ向かって少し尻を突き出す形になるのだが、それに気付く余裕もない。



「穢れを知らぬピンク色でとても美しい。…初めてですな」

「たりめーだろ……んなとこそうそう掘られて堪るか。…あ!?……って…何塗りつけてやがる…!」



先程の舌の感触とは違う。やけに滑らかでひんやりとした何かが塗りつけられている。
浅い箇所までではあるが、中にも入ってきている。
良い予感はしないが、異物の正体を知らぬままではいられなかった。
肩越しに振り返ると屈んでいる彼の足下にプリンの蓋が転がっているのが見える。










つづく






携帯での上限表示文字数の関係上、微妙なところで切れてしまって申し訳ありません。

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