涙の数だけ ACT7





落ちた意識が駆け足で昇ってくると、は勢い良く瞼を開く。
目に飛び込んでくる光りが、陽の高さを示していて、部屋全体がくっきりと見渡せた。

此処は何処?

などとは頭を過ぎらず、昨日の事はしっかりと覚えてる。

ただ・・・


―― アレ?カカシとしたっけ??


してないよな〜と思い返し見上げると、ニッコリと笑うカカシの顔が目に映った。

「おはよう。」
「あ・・・おはよう・・・ございます・・・。」

語尾を小さくしながら、は挨拶を交わした。

「私、いつ寝た??」
「ん〜オレが布団に入ってすぐ?」

カカシは笑って茶化すの鼻先を、指で軽く弾いて。

「良く寝れた?」
「うん、もうぐっすり。」
「そ。ならいいケド・・・。」

壁の時計を見たは、だってもうお昼だよ〜と笑った。

「ねぇ!カカシ、寝てて大丈夫なの?」
「オレも今日は休み。」
「あぁ・・びっくりした。」
「それに、暫くは里に居る事が多いと思うよ。」
「そうなの?・・・あ・・・もうそんな時期か・・・。今年はどうだろうね。」
「中々面白い奴らが揃ってるよ。」
「へ〜でも、私もそう思う。じゃあ今年こそ先生になるのかな?」
「どうだろうねぇ〜」
「フフ・・・カカシ先生だって・・・。」
「なにヨ。」
「いえ、べつに〜。」

元気に起き上がったは、ベットから降りて体を伸ばした。


―― やっぱり・・・そうくるのね・・・。
    その分、今夜は寝かさないから。


この言葉は胸に秘めてカカシも起き上がると、カーテンを開いた。
真上まで昇った陽の光りを二人で浴びて。

「飯でも食いに行く?」
「うん。昨日から何も食べてないから、お腹すいた・・・。」
「では早速。」
「でも・・・」
「その前に着替えなくっちゃデショ。」

見つめ合って、笑い合って。

「報告は後日ね。」
「うん。」


この日、里外れの一軒の和食屋に、二人の姿があった。


―― だってね・・・
    アスマ達に会ったらどうするのよ。
    

の事だから、突っ込まれれば、ムキになって全て話すだろう。
任務の時は冷静なのに、彼等の誘導には滅法弱い。
事実を知ったアスマが、楽しそうに鼻で笑うに決まってるから。





翌日。

待機所の長椅子に二人の姿が戻った。
イチャパラを大事そうに抱えて眠る様を、眺める上忍達。

「あら、寝ちゃったの?」

相変わらず二人でやって来て、向かいの席に腰掛けるアスマと紅を目で追って。


「最初の2ページで寝ちゃったよ、10ページ目から面白くなるのにねえ。」

自分の肩に寄り添い眠るを覗き込んで、カカシは笑った。

「無理させたんでしょ。」

紅の皮肉めいた口調なんて気にも止めず、カカシはを見つめ続けて。

「もう、可愛くってね。」
「でしょうね。『カカシに触れられるとおかしくなる。』なんて言ってるんだもん、この子。」
「オレ、惚れられてるから。」
「言ってろ!!報酬は高いぞ。」

アスマは、カカシの惚気に最初は呆れ顔。
でもすぐにニヤリと笑った。

「はい、はい、焼肉でも、飲み屋でも何でもどうぞ。貢がせてもらいますよ。」
「・・・お前らが笑ってりゃ、それでいい。」
「アスマ・・・熱でもあんの?」

目を見開いたカカシは、アスマに視線を移した。

「うるせえ。やっぱ焼肉だ。今度受け持つ下忍の中に、食いそうなのがいるからな。お前が支払え。」
「そういうのは自分で払うもんでしょ。」
「カカシに付けとくからな。」
「はい、はい。分かりました。」

カカシは返事に合わせて、ヒラヒラと手を振った。

「ん〜・・・。」

もぞっと動くの頭を抱いて、カカシは規則正しいリズムを送る。

「アスマが騒ぐからが起きちゃうでしょ。体力温存しといてもらわないと困るんだから。」
「・・・やっぱりの為には、カカシとくっ付けない方が良かったかしら?」

カカシは呆れた顔の紅を真っ直ぐに見据えて。

「大切にしてるよ。」
「そうじゃないと困るわよ。それにしても安心しきった顔で寝ちゃって・・・。」

眠るの横顔を満足そうに見つめて、三人は微笑んだ。

「泣いた顔も可愛いけど、眠った顔はもっと可愛いでしょ?」
「はい、もう降参。カカシの惚気には付き合ってられないわ。」



カカシの隣りで百面相をするに、今日から追加された寝顔。


―― やっと全部を、オレにくれたね・・・・・・



           Only the number of tears   ・・・ END

                    2007年3月21日
                    下記にご挨拶v


        

BGM 夢の続き


【涙の数だけ】 これにて、本館本編終了となります。
はい・・・今、私が泣きそうです;
この作品を沢山の方に愛してもらえて、励ましてもらえて。
終わるのが寂しいとまで言ってもらえて。
私も寂しいです(泣)
リクエストでは初めての連載。
そして、初めてのシリアス風味。
ドキドキしながらの執筆でした。
でも現時点では、ここまでの作品に育ってくれた事、とても嬉しく思っています。
沢山の勇気と力をくれた貴女、本当にありがとう。

頂いたリクエストの内容は、
ヒロインは上忍。
カカシに恋心を持ってはいるけれど、素直になれず悪態をついてしまう女の子。
他の男性と話しているヒロインを見た、少し黒いカカシの嫉妬。
勿論奪うのですよ。
言ってもらいたいセリフが二つ。
(でも少し変わっちゃってごめんなさい;;朱華さん。)
この様なリクエストを頂いて出来た作品です。
頂いた時の感じからすると、
もう少し勢いのあるお話を望まれているのでは?
と不安に駆られましたが、お墨付きを頂けて安心して執筆に打ち込めました。
私が書くと頂いたリクがこうなります;;
でもとっても楽しかったです。
当初ドキドキしながらリクエストして下さった朱華さん、可愛かったです。
そして、ありがとうございました。

当サイトでは、万単位とその前後をキリ番とさせて頂いています。
踏み上げ防止のカウンターですので、運かもしれないんですが。
良かったら、狙ってみて下さいね。
ま、私の萌えツボを刺激してくれた方とのお話は、
キリ番関係無く書かせて頂くと思います。(笑)
こんな数字踏んだよって教えて下さるのも嬉しいかもv

短い間でしたが、この作品を愛してくれた皆様、有難う御座いました・・・・・・・・
え?何か忘れてる??
この私が、忘れるはず無いじゃありませんか!!
本館本編ですよ?
これからは別館で〜〜す。(もしかしたら、続編も?)
とりあえず次回は空白の一夜を。
かなりのお預け度ですからね・・・可哀相;;カカシ;;
お前が言うなって??
このヒロインちゃんも気に入ってます。
カカシを振り回しているようで、でもって所がね。
何か色々、このヒロインもやりそうです。ホホホ!!

あ〜どうしてこう、しっくりまとめられないのでしょうかね;;
私の性格ですな;;
ここまでお付き合いありがとうございました。

この作品を愛してくれた全ての方に、
そして、39999番を見事に踏まれた朱華さんに捧げます。

           かえで    もう一回拍手(笑)→ 
                  次回作の励みになりますのでよろしくねv
PS,
カカシ〜〜!!
ヘタレ気味でごめんね;;
ま、ホラ、少し若い頃の設定だし、許して頂戴。