「はぁ〜・・・」
さん、どーしたの?」
待合室の長椅子に座る私の前に、瞬身で現れたカカシがしゃがみこんだ。
「あっカカシ、おはよ。あれ、どうしてここにいるってわかったの?」
「玄関入っていくの見たの、偶然ね。こんなところに来てるって・・・おめでた?あっそれは無いか・・・具合でも悪いの?」
「ううん、年に一度の定期検診。」
「ふーん、じゃ、そんなため息つくことないじゃない。」
「視力とか血圧とか、血液検査ぐらいはどうってことないけど、ガン検査はね・・・嫌なのよ。」
「内診があるから?」
「それも、嫌だけど。それより、結果がね。白・黒・グレーゾーン、の3択だから。
 引っかかっても早期なら何とかなるって思うけど。
 正直怖いし、結果待ちの数日間は精神的にきつくてさ〜
 受けなきゃと思いつつ、なかなか腰上がんなくて、今日やっとね・・・」
「気持ち、わからなくも無いけどね・・・」
「気になること特にないし、受けなくてもいいかなって思ったりね。断って帰っちゃおうかな。
 カカシ、今日任務ないなら、お茶でもしよーよ。」

カカシの眉がピクリと上がった。

「そういうの、ちゃんと受けなくちゃだめでしょーよ」

あっ、やばい。カカシちょっと怒ってる。でも嬉しかったりv

「大丈夫だよ、サボっても。」
「あのね〜、どこにそんな根拠があるの。気が付かないうちに見つけるための検査でしょ。
 さん一人の身体じゃないの、わかってる?だんなさんも娘さんもいるのよ。」
「カカシの写輪眼で悪いところとか見えないの?」
「オレは医療忍者じゃないし、多少はチャクラの乱れでわかるけど、さんはチャクラぜんぜんないからほとんど見えないの。」
「そっかぁ・・・残念。だけど、大丈夫だよ」
「だけどじゃないの!自分の身体大切にしないとオレ怒るよ」
唯一顔色がうかがえる右目が、ギロリと睨む。
そろそろ素直にならないと、本気で怒られそう。
「・・・わかった、ちゃんと受ける・・・」
「やっとさんとこうして話せるようになったんだから、これからでしょ、オレたち。
 オレのためにもちゃんとすることはしてよね。」
「うん」
「そろそろ、呼ばれそうだよ。後でご褒美あげるから、頑張ってくるんだよ。」
「うん、わかった。」

さ〜ん、1番へどうぞ〜」

名を呼ばれた瞬間、カカシは私の頭をポンポンと叩いて、瞬身で消えていった。

-- ご褒美ってなんだろ?ちょっと期待したりして --








For Me ,For Tomorrow









病院の玄関を出て2.3歩いたところで、突然目の前に特徴ある脚が立ちはだかった。
”何?!”と顔を上げれば、見下ろすカカシ。

「下ばかり見てると、ぶつか〜るよ」
「・・・」
突然現れたカカシに、今日の私は何も言葉が出せない。

-- そんな顔してるところをみると、オレの勘当たっちゃたのね --


「まっ、歩きながら話そうか・・・」

大きな背を丸め両の手をポケットにいれて、カカシは私の歩調にあわせて歩き始めた。

診察室を出てから、会計をして、玄関を出て来たはずだけど、どんな風に出てきたかわからない。
周りの世界と何か一枚隔たりが出来たような感覚、とでも言おうか。
意識は身体の奥深い一点に集中して、そこから動けなくなっていた。

「どうだったか、話してくれない?」
交差点で立ち止まると、カカシが話し掛けてきた。

「再検査だって・・・」
「そう・・・」
「はぁ・・どうしよ・・・なんとなく嫌な予感はしてたけど。まさかね、本当にそうなるとは思ってなかった」
「お医者さんは何て言ってたの?」
「異型細胞が見つかったって。クラス3とか言ってた」
「オレ、詳しいこと知らないんだけど、それって”ガン”てこと?」
随分率直な単語で・・・心がギュッと縮んでしまいそうになる。
「・・・まだ、そこまでではないみたいだけど、詳しいことはわからないみたい。今度もっと詳しい検査して、それで判断するって言ってた。」
「じゃあ、まだ結論出たわけじゃないってことね」

まだ決まったわけじゃないけど、なんでもなかったわけじゃない。
さっきの単語にしたって、今の私には心に刺さる。
最悪の結果の可能性だってあるのに。
胸の中でいっぱいになってあふれ出した不安が、鼻の奥を刺激して、視界をにじませ始める。
-- こんな道端で泣いちゃいけない --
あわてて奥歯をかみ締めてみたけど、あふれ始めた感情は止めることが出来なかった。

ぽろぽろと涙がこぼれる。
気付かれたくなくて、うつむいたままカカシのいない側に顔を向けた。

「少し遠回りしよっか」
カカシは私の背中に左腕をまわして軽く抱き寄せると、信号の変わった交差点を渡らず、人気のない細い路地に進んだ。

-- やっぱり気付かれちゃった --

指先でぬぐって、鼻をすすって、息をゆっくり吐いたら、とりあえず波は収まった。

「今日は任務ないの?」
「あったけどね。たいしたのじゃないからゲンマに押し付けてきた」
「大丈夫なの?」
「・・・そんなこと、気にしなくていーの」

今日の通院は知らせてなかったのに、どうしてわかったのだろう。
おととい病院から電話が来て、なるべく早めに来院してくださいと言われた。
家族にはなんでもないような顔をして話したけど、昨晩現れたカカシには伝えなかった。

「なんで医者に来てるってわかったの?」
「昨日様子が変だったから、今朝家に行ってみたのヨ。でも、留守でさ、もしかしてと思って来てみたの。勘が当たった〜ね」

カカシに寄りかかるように歩くと、突っ張っていた心が弱くなる感じがする。

「カカシ・・・来てくれて、ありがとね・・・一人じゃ・・・」
一度あふれた感情は抑えても簡単に堰を切る。
涙声になって、それ以上話せなくなってしまった。

「一人じゃ、心細かったよね・・・」
私の言葉を続けて、カカシが言ってくれたけど。
「うん・・・」
今はそう答えるので精一杯。

「誰も見ていないから、我慢しないで泣いていいんだよ」
そう言うと、右の掌で頭を包み込むように抱いてくれた。

優しい言葉で我慢の糸は切れる。
おとといの電話から堪えてきた不安と恐怖が涙となって。
もう、歩くことさえままならないほどに・・・

-- 昨日言ってくれれば良かったのに。
 怖がりなんだから、無理しなくていーのに。
 でも、一人で来たかったのかな。
 だんなならともかく、男連れてくるところでもないしね --

声をあげなくても、肩が震えてる。
多少のことでは動じない強い母でも
拭いきれない不安に包まれれば、弱くなる。
一人の女に戻れるオレの前だから、泣けるのかもしれない。
受け止めてやることぐらい、大したことじゃない。
少し泣けば、落ち着くことだろう。


カカシは髪に口付けると、心まで支えるように胸に抱き寄せた。




電話を貰ったときから、覚悟は出来ていた。
努めて冷静に受け止めるつもりでいた。
それなのに。

不安と恐怖とカカシに会えた安心感。
崩れそうになる身体をカカシに預けて、路上であることも構わず泣いてしまった。



でも、涙を流すと枯れる頃には落ち着いてくる。
落ち着いてくれば、底に落ちた気持ちも上を向いてくる。

「・・・取り乱しちゃって、ごめんね・・・もう大丈夫」
「落ち着いてきたかな」
「うん」

カカシの腕を抜けて、涙でくしゃくしゃになったハンカチをバッグにしまった。

「そろそろ帰ろ〜か」

見上げればカカシの目がとても優しくて、
覆われてて見えないけれど口元はわずかに微笑んでるように見えた。
『歩ける?』と聞くカカシの腕に、今度は自分から腕をまわした。
カカシは私の腕を絡ませたままポケットに掌を収めて、ゆっくり歩き出した。


「さっきはちょっと言葉きつかったかな・・・ゴメン。
でもね、見つかって、良かったと思うヨ・・・病気が良いっていってるわけじゃ〜なくてね。
検査サボってたらきっと見逃してた。 そのほうがアンラッキーだと思わない?」
「そう・・だね・・・検査しなきゃわからなかったって思う」
「自覚症状がないうちってことは、少なくとも手遅れではないだろうし。
あれこれ心配したって始まらない。一つ一つやることをやっていくしかない。
それに、まだ詳しい検査もしてないんでショ。
まったく、いまからそんなんじゃ、ほんとに病気の時戦えな〜いよ。
いつものさんらしく、ばーんと強気でいかなくちゃ、ね」
「ばーんと強気って、それな〜に?まるでなんか、ちょっと。それはないんじゃない?」
「いつものさんて、頼もしいのヨ。いつも元気に笑ってて、弱音吐かないし」
「そんなこと無いよ」
「うん、すぐ泣くけどね〜」
「だって、すぐ涙でちゃうんだもん。もう、カカシの意地悪〜」

はははって声を出してふたりで笑って、そうしたら気持ちが楽になってきた。

「来週、再検査なんだ」
「一人で大丈夫?付き合おうか?」
「大丈夫よ。結果出るのはまた何日か後だし。
 それに婦人科にカカシ連れてって訳にもいかないでしょ。連れて行くとしたら、だんな。
 でも、たぶん一人で行くと思う。再検査ぐらいでいちいち休んでもらうわけにはいかないよ。
 もちろん、カカシもね」
「ほら、強くなってきた。でも、無理しないでちょーだい」

カカシが来てくれて本当に良かった。
あのままひとりで帰ってきたら、暗い気持ちは這い上がれないところまで落ちていたかもしれない。
カカシといても泣いちゃったけど。でも受け止めてくれる人がいるといないとでは大きな違いがある。
夫がいるけれど、良くも悪くも慣れすぎてる夫婦では、恋人のときのように気持ちを表せないこともあるし。
今日は会話が続かないけど、無理に話そうともせず、ただ一緒に歩いてくれるだけでどんなに心強いことか。

家までの見慣れた景色。
いつもと変わらないのに、自分だけ、昨日と、朝と、違ってしまったように感じる。

”見つかって良かった”、そう思うことにしよう。
正直に言えば今日は最悪の一日。でも
何年か経って振り返れば、きっと今日は良かった日になるに違いない。

あの先の角をまがると我が家。
いつも家の前まで来ないで、このあたりで消えることが多いけど。
-- あれっ、過ぎちゃったよ --

「カカシ?」
「今日は家の前まで送らせて」

-- ほんの数十メートルだけど、ひとりにさせたくないのよ、今日は。
   でも、よその奥さんの腕とって、家まではまずいか  --

カカシが『ひとりで歩ける?』とポケットから手を出した。
人目気にしてくれる気遣いがカカシらしい。


「もう、着いちゃった」
「娘さん帰ってくるまで、いてあげようか?」

ひとりになるとまた不安になりそうでちょっと怖いけど、ひとりになりたいという気持ちもある。
それに、今の家の中、カカシに見せられるような状態じゃないし・・・

「そう言ってくれて嬉しいけど、でも家の中カカシに見せられるような状況じゃないの」
「オレは気にしないヨ」
「私が気にしちゃうの・・・心配してくれてありがと。大丈夫よ。
 今日はこれから洗濯して掃除して、だって昨日何にも手につかなかったから、いっぱいやらなきゃ」

-- 無理しちゃって・・・でも、疲れてるだろうし、ひとりになりたいのかもね
   ひとりになると、また泣くだろうにねぇ --

「そりゃ、大変。でも、今日は疲れてるだろうし、頑張り過ぎないで休んでね。
 それじゃ、帰るよ。また来るから・・・」

玄関の前に立ち手を振ると、カカシは消えた。
フワリと残る白煙が消えるのを見届けて、家に入った。
『来てくれてありがとう』 と、別れ際にいい忘れたと気付いたのは、ドアを閉めた後だった。














カカシに元気をもらって、家のこと片付けて。
家族が帰ってきて、今日の報告して、なんとかそこまでは頑張れた。
精一杯気を張って、不安を遠ざけていた。

でも、やっぱり食欲がない。
心配事があると食べたくなくなるのはいつものこと。
痩せるチャンス!とおどけてみるけど、食べなきゃ元気が出てこないのは当たり前の連鎖反応。

夜になって、お風呂に入って、
一旦は布団に入ったけど、眼をつぶればまた身体の奥に意識がとまって、寝付けやしない。
暗闇が心に広がるような不安感に耐え切れず、そっと起きてリビングのパソコンの前に座った。


巡るのは、気になるキーワード。
見なきゃいいのに、怖いもの見たさ。見ては不安をかき立てて。




”コツコツ”

こんな夜中に窓を叩く音。もしかして、カカシ!?とカーテンを開けると、千本を咥えたゲンマ。

「ゲンマ君、どうーしたの?珍しいじゃない、こんな時間に。」
「中、入ってもいいか?」
「ん、いいよ。起きてるの私だけだし。」
「別にだんながいても、俺は構わねーけどな。やましい間柄でもないし」
”誰かさんと違って・・・”という呟きに突っ込む気力は今日はなく。
「これ、カカシさんから預かった。渡してくれって。まったく、今日はカカシさんに振り回されっぱなしだっだぜ。」

-- そういえば『ゲンマに押し付けて』って言ってたっけ --

「カカシさんが心配してた」
「えっ・・・」

-- カカシ、今日のことゲンマ君に話したのかな?別に内緒って訳じゃないけど --

「ちゃんとメシ食えてないと思うからって。何かあったのか?」
年下とはいえ上忍、嘘などついても見抜かれるだけ。
「ちょっとね。詳しいことはあまり話したくないけど、簡単に言えば健康診断で引っかかった、ってとこかな」
ゲンマの眼が”そんな簡単な話じゃねーんだろ?”と訊いてるけど、気付かぬふり。
「ちっ・・・まぁいいや。で、メシ食えてるのか?」
「とりあえず食べたけど・・・」
「その顔色じゃ、ちゃんと食ってねーな。それ、開けてみろ」
”カカシから”という包みを開けてみれば、あん団子。
「甘栗甘まで、使いっ走りさせられた」
「木の葉の甘栗甘?」
「ほかにどこにそんな店あんだよ。 いいから食え」
「こんな夜中に食べたら、太っちゃうよ。 明日食べる」
「太りゃしねーよ、一回ぐらいで。 ちゃんと食え」
-- 甘いものなら美味しく感じるかも --
「んじゃ、お茶いれてくる。ゲンマ君も飲むでしょ」
「あぁ、テキトーでいいぞ」

-- カカシさんが心配してたとおりか。何があったか知らねーけどな --

いつもの遅刻かと思っていたら、待機所に現れて早々『今日の任務、ゲンマに譲る』とカカシさんが言ってきた。
言葉は”譲る”でも、理由訊くことも許さず引き受けざるを得ない、威圧感。訊くまでもなく何かあるとわかったが。
5代目には断ってあるとか言ってたけど、任務報告したとき、『カカシはどうしたっ!!』と怒鳴られたぜ。
かんかんになった5代目に、手間かかるだけの面倒な任務言い渡されたようだけど。当ったりめーだ。
夕方には『団子を買ってきてくれ』とか言い出すし。挙句の果てに『代わりに届けてくれ』って。
『多分、飯食べれてないだろうし、もし泣いてたら慰めてやってくれる?手は出さなくていいから』
って、誰かと違って人妻に手を出す趣味はねーよ。

が見てたパソコン。
キッチンをうかがえば、まだしばらくは戻って来そうにない。
画面を覗いてみれば、『子宮ガン』の文字が眼に入ってきた。

-- そういうことか --



「お待たせ。ちょっと熱いから気をつけてね」
鮮やか黄緑。湯気が立ち上がり、すっと消えてゆく。
「甘栗甘の団子ははじめてか?」
「うん、ずっと食べて見たかったんだけど、カカシ甘いの苦手だから、頼みにくくてね〜」
「苦手でも買うことぐらい出来るぜ」

『いただきます』と言って、一串手に取り、口にした。

-- カカシ、心配してくれてるんだ --

甘い餡は想像以上に美味しかったけど、カカシの気遣いに鼻の奥がツンとしてくる。
あっ、やばいと思った次の瞬間には眼が潤んで、涙が流れてしまった。

「おい、泣くなよ・・・まったく・・・」

-- 仕方ねー奴だなぁ --

「食えないときには、好きなもん食えばいいんだ。
 悪りーな。つけっ放しのパソコン、見ちまった。大体の察しはついたから、話さなくていいぞ」
「・・・うん」
傍から見れば変な光景だろう。泣きながら団子を食べてるなんて。
でも、不思議なことに、1本食べてお茶を飲んだら、弱くなってた気持ちが少し立ち直ってた。

「食えば元気が出てくるだろ?ぐずぐずしてばかりいると調子悪くなるぞ。病は気からって言葉知ってるか?」
「知ってる・・・」
「じゃあ、不安を自分から呼び込むのは止めろ。
今日はこれ食って、寝ろ。知識や情報はもう少し気持ち落ち着けてからで間に合う。医者も付いてるんだろ」

-- ゲンマ君の言うとおり、だよね --

「もう一本食べちゃおうかな。」
「食いたいだけ、食えばいい」
ゲンマもお茶を飲み始めた。
「カカシは今夜、任務?」
「ああ、昼間サボった罰で、ちょっと面倒な任務言い渡されたみてーだ。今夜は徹夜だな。あっ心配はいらねーよ、危ない任務じゃなさそーだ」

カカシも、ゲンマも、どうしてこんなに優しいのだろう。
こんなに優しくて敵を殺れるのかと、疑いたくなるほど。
たくさんの苦しみや辛い経験が彼らを強くし、奪った命を見送るたびに
その重さを心に刻んでいるからだろうか。
優しいのはきっと強いから。
そんな彼らに、支えられてる自分は幸せなのかもしれない。

「きっと、大丈夫だ」
「何が?」
「何がって、が心配しているようなこと、全部だ」
「・・・」
「心配するほど悪いこと・・・最悪な事態なんてそうそうねーもんだ。それより高くくって油断してるときのほうが危ない」
「・・・だと、いいけど・・・」
「カカシさんは今夜当たり危ねーかもな。誰かさんが心配かけてるし。今ごろ脚滑らせてたりしてな」
普段なら軽く笑えることでも、今日は言葉に詰まる。
そんな私に『冗談だ、カカシさんはこけても大丈夫だから』ってゲンマは笑った。


「ゲンマ君、私そろそろ寝るね」
「ああ、俺もそろそろ行かねーとな。明日は早いんだ」
「カカシに会ったらお団子ありがとうって伝えておいてくれる?」
「了解。ちゃんと寝ろよ」

窓を開けてゲンマが外に出る。
見送りながら空を見上げれば、星が輝いている。

「ゲンマ君、いろいろありがとう。今日は迷惑かけちゃってゴメンね」
「気にすんな。大したことじゃねーし、借りはカカシさんに返してもらうからよ。じゃあな!」

そう言うとすっと消えて、上を見れば隣家の屋根の上にゲンマがいた。
次の瞬間、そこからも消えて、ゲンマはいなくなった。

夜風が通り抜ける。
空の星を見上げたら、そのときすぅーっと、星が流れた。



幸運の兆し。

きっと、そう。

きっと、大丈夫。

支えてくれる人たちがいるから、きっと乗り越えられる。

終わりじゃなくて、始まり。

明日から、また元気出していこう・・・





自分のために・・・




みんなのために・・・




私を待ってるたくさんの時間のために・・・









<fin>



For Me , For Tomorrow 〜 After time passed 〜 →




不安な気持ちを勇気に変えて、明日の自分を守れるならばと、自分のために書きましたが、
もしも、同じ思いをしている誰かの心に勇気を分けられたなら、嬉しいです。


2008/1/16
written by kinpouge



金鳳花さんから頂きましたv
ツキンとくるお話ですが、大切な事ですものね。
冒頭の部分は、大切さを知って欲しいという金鳳花さんがBBSに書き込んでくれたものです。
その後、続編をとおしゃって下さった方が居ましたので、それをお伝えしましたら、書いてくれました。
(どうやら、結果編もあるような気配ですよvv)

カカシは甘く優しく、しか〜しゲンマもカッコイイ♪
ヒロインの怖い物見たさ、すごくわかりませんか?
私もね、見なきゃいいのに、見ちゃうんです。色々と。
そして自分を追い込んでしまうの。
心が壊れないようにする為の、防衛反応の一種らしいですけどね。
想定する事は。

あ〜病気はいやだけど、カカシとゲンマに慰められたいです。
金鳳花さん、素敵なお話ありがとうございました。

かえで

2008/01/18 サイトアップ