あたしのこといつまでも子どもだと思っていたら、大間違いなんだから!



Seducton《後編》



「お疲れさま。」

湯上りのゲンマを待っていたのは、冷たいビールとの笑顔。
「今日はお前、何でこんなにサービスいいんだ?」
の用意してくれた食事に手をつけながら、ゲンマは何気ないふうを装い尋ねる。
だが、はそれがゲンマの演技だということはわかっていた。

いつものゲンマならもっと違う聞き方をするはず。

──「何か企んでるだろ?お前」とか「頼みごとがあんじゃねーか?」とか

がゲンマに甘えるときや擦り寄っていくときは大概「おねだり」があるときだからだ。

・・とはふと思い出す。
いつもゲンマには甘えているが、自分がゲンマに対して甘やかすと言うかこんなふうに接したことはあっただろうか?


──ない、・・そっか・・


いつもとは違うにゲンマはかなり動揺しているのだ。
これなら、イケルかもしれない。
は、すっと真面目な顔を作った。

「あのね・・ゲンマ・・あたしね、今日諜報の素質ないって言われちゃった。」

「・・お前まだ諜報忍になろうとしてたのかよ・・」

半分ゲンマは呆れ顔だ。
その顔にはむっとしながらも、心の中で我慢、我慢、と呟く。

「だって、女としての魅力ないっていうことでしょ?・・諜報できないって・・だから・・あたし・・」

少し俯き加減に、視線を落とす。
これで、次ゲンマを見る時は自然に上目遣いになる。

男は上目遣いに弱い、教本どおりの行動だがいかに自然に行うかがコツなのだ。

「そういう意味じゃねぇよ。お前が諜報に向かないってのは。」

「!!!」

一瞬がばりと顔を上げそうになるのをは必死で押さえた。

「お前は根が正直すぎんだよ。で、いいヤツ過ぎるってのもあるしな。騙し合いの諜報には向かねぇし、何よりも危険だ。」

「あ・・」

ふっと顔を上げるの前には真剣な顔をしたゲンマがいた。
真正面からその視線を受けて、自然にの頬が染まる。




「なるほどな、女の魅力がねぇとか思って、そんな男を煽るカッコしてたわけだ。」


ギッと椅子を引きゲンマが立ち上がった。
そのままの後ろに回りこむ。


「げ・・ゲンマ?」


の背後からゲンマの両腕が伸びて、そのまま胸の前で重なる。
ランニングしか着ていないゲンマの身体温が直接触れて、の胸がどくんと波打つ。


「お前の魅力だったら、俺が一番良く知ってる。」
「ちょっ・・・げ、ゲンマっ・・・」

胸の前で合わさったゲンマの手がの膨らみにそっと触れた。


「俺の鉄の理性がどろどろに溶けちまってる、全部お前のせいだぜ?」


の頭の中がパニックになる。
いつも、ゲンマはを妹扱いして、女のして見たことなど一度もなかったはずだ。
なのにこんな服装のひとつやふたつでこうも変わるものなのか。

いや、ゲンマは諜報も得意とする特別上忍。
女の色香になど簡単に惑わされるはずもない。
だからこそ綱手もあんなことを言いだしたのだろう。

ゲンマなら自分が諦めると思って。
そう思われているのがわかったから余計に気合を入れてこの場にいると言うのに。


「なんで?あたしなんかいつも子ども扱い・・あっ・・」


ゲンマの片方の手がキャミソールの脇口から侵入し小さな蕾を探し出し、くっと捏ねた。
キャミソールはカップ付きのため簡単にそれを許してしまう。
ゲンマの手が動きを次第に大胆にしていく。


「嫌か?」


ゲンマがの問いには答えずに逆に耳元で囁く。
その息はとても熱い。
今まで聴いたことのない甘い、低い声。


ゲンマが女を口説く声──


鈍いにもわかってしまう、今自分が何を聞かれているのかを。
これはふざけているとか、からかいとか、そういう類の物ではない。


この手と息の熱さ・・・ゲンマは本気だ。


「あ、・・あた・・し・・・」


初めて男──ゲンマの本気の熱に触れて、はどうしたらいいかわからなくなってしまう。
長い間そっと想うだけだったゲンマの熱に身体の芯から溶かされてしまいそうになる。


「妹扱いでもしてねぇと、止まんなくなるからな・・仕方ねぇだろうが。」

「・・ゲンマ・・んんっ・・!!」


今度は両手で膨らみを支え、やわらかく揉みながら二本の指で一度に両房の蕾が捏ねられた。
こりこりと指で挟まれながらの刺激にはあらぬ声を押さえることができない。


「頼むから早く返事をしてくれ、そんな声出されたら、もうもたねぇぞ。」

片腕が引き抜かれたかと思うと、ゲンマの腕がの膝裏に当てられすっと持ち上げられた。


「っ・・・げ、ゲンマ」

「返事は・・ベッドの上で聞く。それまで考えてろよ。」


そのままどんどんと運ばれて、はただあたふたするしかない。


──  ど、どうしよう・・・

このまま、・・このまま・・あたし・・ゲンマと・・・
でもあたし、アレを探さないと、いけないのに・・
何にも考えられなくなっちゃう・・


諜報するときみたいに、幻術とか使ってなんとか・・


そう思いはするのだが、実際ゲンマに触れられてしまうと身体が震えてしまってそれどころじゃない。
一瞬で身体が言うことをきかなくなってしまう。

そんなことを考えている間にの身体はベッドに降ろされ、気がつけば顔の両側に手を置かれた状態でゲンマに見下ろされていた。


「何、考えてる?」


ゲンマの日頃は見せないような熱い視線がの身体に絡み付く。

「ゲンマ・・あの・・あたし今日はすることがあって・・あのっ・・」
何とかこの場を切り抜けようとが言葉を紡ぐ。


「キャンセルだ。」
「え?」

「今のオレ達にはセックス以外に優先順位はねぇ、だろ?」

かぁっとの身体が真っ赤に染まった。


「一度しか言わないからよ〜く聞けよ。・・俺はお前に惚れてる。
だから、今日ここでお前を抱く。、お前が嫌って言わなければな。」

無理強いする気はねぇが、惚れさせる自信はあるとゲンマは笑いながら言った。
その今まで見たことのない男の顔にの身体がびくっと反応する。


「あ、あたし・・・嫌じゃないけどっ・・」

「なら・・決まりだ。」

が言葉を続ける前にゲンマの唇がのそれに重なり、次第に深くなっていく。
そしてそれは次第に位置を下げ、首筋から鎖骨、そしてやわらかな膨らみへと赤い印を刻みながら動いていく。
同時にゲンマの指はの身体のあらゆるところにやわやわと這い、自身の熱をに注ぎ込んでいく。


「あっ、んんっ・・・・」


ゲンマの熱い唇と巧みな指使いにの身体が振るえ、跳ね、その可憐な唇から紡ぎだされる甘い声は次第に大きくなっていく。


「相変わらず感度いいな。」

「え・・?」


ゲンマが感心したように呟く。
ゲンマと・・なんて初めてのはずなのに、ゲンマはの身体を知っているかのように言う。


「お前、俺がお前の初めての男だってまだ気づいてなかったのかよ?」


「!!!」


は訓練でたしか暗部の仮面を被った教官に相手をしてもらったはずだ。
そこで初めて諜報忍として不適格だと言われたのだ。
それが・・・


「ゲンマだったの?」

「・・嫌だったか?」


嫌なはずはない、ゲンマと初めてが良かったのにゲンマにはどうしても言えなかった。
だから、教官に頼んだのだ。


── あたしの知らない人で、あたしを知らない人に・・


そう、頼んだはず。
それをゲンマが引き受けたのか、というよりおそらく奪うようにしたのだろう。
教官が故意にの願いを跳ね除けゲンマに頼むとは思えない。


「ゲンマ・・・あたしのこと・・そんな前から?」

信じられない気持ちでゲンマを見上げる。
ゲンマの頬が暗闇の中でもほんのり染まっているように見えた。


「・・、もうおしゃべりは終わりだ。集中しようぜ。」

ゲンマの手がの身体を優しく開くように触れていく。

「あっ、あっ・・・ゲンマっ・・」

室内に響く淫らな水音との切なくゲンマを求める声が室内に広がっていく。

「・・・・」
左右に開かれた大腿の中心から灼熱の塊がの身体を一気に貫いた。


「んぁああ!!」


その熱に溶かされるながら、の小さな身体が揺らされて、突き上げられて、内部からもゲンマに侵食されていく。

「・・くっ・・あんま締めんな・・」

手が繋がっている部分に伸ばされて、そっと触れる。

「ゲンマ・・・・ゲンマがあたしの中にいるの・・すごい・・」
うっとりとしながらが呟く。

「っ・・お前・・自覚もてって・・ヤバイだろ・・・」
の手にやんわりと自身が触れられて、かろうじて保っていたゲンマの自制心が一瞬にして崩れさる。


「責任取れよ、その身体でな。」

「やぁ・・・っ・・!!」



後はゲンマにただ翻弄されて・・
が気がついたときには、すっかり夜も白けている時間だった。




ふっとが目を覚ますと、ゲンマの両腕に囲まれてその身体一杯に抱き締められていた。


── こんなにあたしのこと抱きしめて・・・



が知るゲンマはもっとクールな男だった。
噂でしか知らないが、けして女に優しい男でもないと・・・
それが、事後に女をこんなふうに抱きしめて眠っている。




「こんなふうにされちゃったら・・諦めなきゃいけないかな・・」


──でも、ケジメはつけないと。
そっとは身を起こし、衣服を着込む。


そして探し始めて・・やがて見つけた。


、まだ、早いだろ?」



さすがに気配でわかったのかゲンマが目を覚ました。



「うん、ちょっと綱手様の所に行って来るね。」

「任務か?」

まだ少し眠そうなゲンマにはひらひらとある物をかざして言った。


「ゲンマ、ちょっとこれ借りるね。」

「おい・・」


すぐに返すから──と言の葉が風に舞ったと同時には瞬身の術で消えていた。


「せっかく昨日風呂場で洗ったのを、まだ乾いてねーだろうに・・ったく」





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「手に入れてきました。」

「・・・仕方ないね、合格にしてやるか・・」



朝早くの火影の執務室。
綱手の手には一つの額当て。
布が少し大きめでそれは頭を額当てで覆うように作られた特注の物だ。



「合格は嬉しいですけど、あたしやっぱり諜報はできないみたいです。」
今までどおり諜報忍の後方支援中心でいいと、は笑った。

「・・いいのかい、お前はそれで。」
「はい!じゃ、あたし帰ります。」


の顔は朝の日差しと同じくらい清々しいものだった。




「綱手様の思惑通りでしたね。」
子豚を抱きしめてシズネが笑う。

「いや、単純に失敗して諦めると思ったんだけどね、結果的に同じことならいいさ。」
仕事をやれどもやれども、机の上に積み上げられた書類が減らないことにウンザリしながら、綱手はまた新しい一枚を手にした。





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「ゲ〜ンマ、ただいま〜ってこれ、ありがと。」

「何に使ったんだ?」


すぐに帰ってきたはゲンマの手に額当てを返した。

「うん、ケジメってやつよ。」
「なんだそりゃ?」

こぼれるような笑顔でそれ以上は何も言わないをゲンマは抱きしめてその耳元で囁いた。

「俺に隠し事なんて10年早いって今夜にでもわからせてやるよ。」
そのまま首筋をぺろりと舐める。
昨夜の記憶を呼び覚ますように。

「・・・きゃあっ!!ゲンマのおやぢ!えっち、変態!バカーー!!」



の元気な声が家の外まで響き渡って、出勤した時上忍全員に冷やかされることになるのだが、それはまだこの二人には知る由もない。





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かえで様より80,000hitリクエストをいただきまして、できあがりましたのがこれです(汗)
タイトル「Seduction」は誘惑という意味です。
えっと、ご要望が「ゲンマを襲うヒロイン、もちろん返り討ち」でした。
襲ってない、全然襲ってないぞ!!全然ご要望に応じていない・・ごめんよぉ・・かえでさん(泣)
それと初のゲンマ夢でしたが・・・ど、どうでしょうか?に、偽者くさっ!とか・・あうっ
こんなのでよかったら、かえでさん、お持ち帰りくださいm(_ _)m   2007/7/8 楠 智愛

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智愛さんに書いてもらいましたvゲンマ夢vv
エライでしょ、私。
カカシ夢しか書かない智愛さんに、お・ね・だ・り♪
世のゲンマスキーさん、全てが喜ぶ作品ですわっ!!

そして、私の好み、めちゃ分かってるーーー!!
名言の数々には、クラクラ、ニヤニヤ、しっぱなし!
何処が良いって、みんなよ、みんな♪全部〜☆

「嫌か。」だって・・・きゃー嫌なわけないじゃない!!
あんな事囁かれたら腰砕けるでしょ?
「頼むから返事をしてくれ・・・」ゲンマが哀願してる??はう!!
書き出すときりがない・・・。

そして、気付きました。
あれ?うちって・・・本館、別館に分けてるな〜と。
書いてもらいたかったのは、正にコレ。
ゲンマとのイチャパラ♪
言葉が足らずにごめんね;;智愛さん。
でね、とても綺麗なので、本館のこのお部屋に飾らせて頂きました。

改めまして、智愛さんありがと〜う。
そして80000HITおめでとうございますv
これからも仲良くしてね♪


かえで