「ン、ふっ……」
市丸は、の腰の下に枕を差し入れ、両脚を広げて膝を曲げさせながら、その間の狭い窄まりを舐め始めた。
「んア…ぁっ…」
脚の間から響く水音が快感を煽る。
くちゅくちゅと舌先で舐められ、ちゅっと吸い付かれる。時折かかる、市丸の熱い吐息…。
舌先を差し入れて内側をかき回されると、痺れるような甘さに腰が震えた。
「アァッ…、も、…ァんっ……」
市丸は、妖しく腰を揺らめかせるの姿に口元を歪めると、濡れた窄まりに指を差し込んだ。
「んあっ…」
市丸の指を誘い込むように、やわやわとうごめく内壁に、指の動きが一瞬止まり、次の瞬間、二本目の指が挿入された。
「ハア…ッ、アッ…」
ぐちゅぐちゅと二本の指で数回中をなぶると、唐突に指が引き抜かれる。
「…っぁ………」
急な喪失感に、が戸惑った声を漏らすと、の上がった脚を下げさせて、市丸が視線を合わせてきた。
いつもとは違う、凍てつくような目に恐怖を感じる。
「君…、僕の事好きってほんまなん?」
「………え、ほ、本当です…っ」
怒ったような声で問われ、なぜ急に市丸がそんな事を言い出したのかわからないは、悲しげに瞳を揺らした。
「嘘ついたらアカンで…。君、他に恋人おるやろ。………昨日今日まで誰かに抱かれとったような身体で、ようそんな事が言えるな」
冷たい声で「わからんとでも思うたか」と吐き捨てられ、この7日間での自身の身体の変化に思い至る。
「ち…、違っ……!ンゥ!」
事情を説明しようと開いた口を、市丸の手で乱暴に塞がれる。強い力に押さえつけられ、呼吸まで止まりそうだった。
市丸の怒りを表すようなその力に、痛みのせいなのか、初めから説明していなかった自分への後悔なのか、涙が次々と溢れた。
「なんも…、聞きたないわ………」
市丸は、の帯で猿轡を噛ますと、それを外そうとあがく腕を捕り、その腕を、自分の腰から抜き取った帯で縛り上げた。
「ンッ…、っ………」
言葉と、抵抗する腕を封じられたは、ただ涙で頬を濡らした。
「付き合うて下さい…、か…。ええよ?付き合うたるよ。…淫乱ちゃん」
市丸の言葉に、は目を見開いた。
蔑む言葉と視線に、悲しくて胸が締め付けられる。
しかし、それは市丸が感じた悲傷の裏返しのようでもあり、は浅はかな自分を呪った。
(ごめんなさい…っ、ごめんなさい、市丸隊長………っ)
恥ずかしがらずに全部話しておけばよかった…。そうすれば、こんな事には………。
さっきまでの優しい市丸と、今の氷のように冷たい市丸との間の差異に、後悔の念ばかりが押し寄せる。
はらはらと後悔の涙を流すに、市丸がとんでもない言葉を放った。
「自分の手ぇでイクとこ見せてや。…できるやろ?」
「っ……」
「しないと許さへんで。…僕と付き合うてほしいんやろ?そのくらいやりや」
市丸の冷たい声に、は恐る々々自分の中心に手を伸ばす。そして力を失ってふにゃりと下を向いたそれを、縛られた両手で揉み始めた。
「もっと脚、開き…」
言われるままに脚を開くと、膝から脚の付け根までを撫で回される。
「ンッ………」
そのいやらしい手つきに、膝が跳ねた。
「ほら…、そんなんじゃイかれへんで」
囁きと共に耳を食まれ、ヒクッと喉からひきつく音が漏れる。
熱を持ちはじめた屹立を必死で擦るが、両手を縛られているせいでうまく動かす事ができず、は無意識に、助けを求めるような目を市丸に向けていた。
「そんな目ぇで男を誘うて……。ほんまに…、おとなしい顔してとんだド淫乱やな」
屈辱的な言葉を投げつけられながらも、の手に市丸の手が重なり、親指で先端をくすぐるように撫でながら、自身の手を巻き込んで扱き上げられると、の屹立は喜ぶようにビクビクと震えた。
「ンクッ…!ンふ……ッ」
座位の体勢から床に倒され、耳や首筋に舌を這わされる。中心を扱く手に激しさが増すと、に限界が近付いた。
「ンム…ッ、ゥ…、ンゥーッ!」
くぐもった声を上げて、は欲望を開放した。
市丸は宥めるように、欲望を吐き出した中心をゆるゆると撫で、ゆっくりと手の動きを収めてやる。
そして、が息を整える間もなく脚を担ぎ上げると、その中心に己の欲望を突き立てた。
「ンッ!…くぅ……っ」
強く突き入れられ、ずり上がりそうになる身体を、市丸の左腕でしっかりと抱き寄せられる。
空いた右手で両腕の拘束を解かれると、は待っていたように市丸の背中にしがみ付いた。
「ンッ…、ッ…ンゥ…、…ン」
激しく揺さぶられながら、涙で濡れた瞳で市丸を見つめると、の唾液でぐっしょりと濡れた猿轡を外された。
口の端からこぼれた唾液を舐め上げられ、愛情の伝わる行為に胸が熱くなる。
「たい…ちょ……、アァッ!」
自分の気持ちを伝えたくて、掠れた声で言葉を続けようとした瞬間、それを遮るように容赦なく突き上げられた。
「アは……、ァ、ン…、…ンふ…っ、す…、好、き……っ、好き…ぃ」
それでも必死で言葉を紡ぐと、市丸に激しく口付けられた。
熱い舌が口内を蹂躙する。呼吸さえ奪うような口付けに、市丸の欲望を飲み込んだの内壁がビクビクと痙攣し、市丸をより奥へと誘い込んだ。
「………」
劣情に掠れた声で名前を呼ばれ、市丸を見上げると、普段とも、また先程までとも違う、ゾクッとする程の色気をまとった顔がそこにあった。
の窄まりが、無意識に強く締め付ける。
「ンァッ…!ァッ…、や……っア、んっ…、…ヤァッ!」
前立腺を抉るように突き上げられ、は全身を震わせて熱い体液を放った。
「ハァ…、ハァ…、ハ…ッ」
開放の余韻を感じながら、肩で息をしていると。突然市丸に腕をとられ、身体をうつ伏せにされた。
「ハ…、ア、アァッ…!」
が抵抗する暇もなく、市丸はそのまま後ろからを穿った。
「ハア…ッ、…好き…です……ァッ…、好…き………」
自分が何回達したのかもわからないほど、何度も強制的な開放を強いられ、過ぎる快感の中、はうわ言のように市丸への告白を繰り返した。
夜も終わりに差し掛かり、薄く明かりの射す中、市丸は、泥のように眠るを布団に横たえた。
自分もその横に並び、上掛けをかけると、の頬に汗や涙で張り付いた髪を、指で撫でつけた。
「アホやなぁ、君。10年前も僕は僕やねんで?僕がこのくらいの悪巧みくらいせんとでも思うたの?」
のしっとりと濡れた肌を撫ぜながら、くつくつと笑う。
「明日はちゃんと君の言い訳も聞いて優しく抱いたるから、安心しぃ」
どんな風に説明するんか、楽しみやなぁ…――
◇END◇
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2008/6/7 レンブラント
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