TIME IS ON MY SIDE

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「てめぇ、俺達の足引っ張るんじゃねーぞ」
「ふん、貴様こそ俺の足手まといになるようなら、この手で息の根を止めてやろう」
「んだとコラァ!!」

「あー、もう、止めなさい!」
 は京と八神の間に入り、今にも1ラウンド始まりそうな空気を止めた。
「だってよー、何だって俺様が八神なんかと同じチームで戦わなきゃなんねーんだよ!」
 相変わらず良く動く表情で頬を膨らませた京の頭を、ペチンと叩く。
「仕方がないでしょ、そういう風に決まったんだから」
 今回、大会側から決められたチームメンバーは、草薙、八神、矢吹、そしてストライカー専用でエントリーしたの4人だった。
「どうしても気に入らないなら、出場を辞退するしかないよ」
 が言うと、京は納得いかないものの、あきらめた様に溜息をついた。
「おい、貴様」
 顔を上げると、八神と目が合った。どうやら、話しかけられたのは自分らしい。
「見ない顔だな。また草薙の連れか」
 「また」とは、矢吹の事を揶揄しての事だろう。
、22歳。京の従兄です。よろしくね、八神君」
 「従兄」という言葉に、八神の目が細められる。
「言っとくけど、はお袋の方のイトコだから、草薙とはカンケーねーからな」
 京が口をはさむと、八神は「ふん」と鼻をならして背を向けた。
「あ、ちょっと待って八神君!部屋割り決めちゃわないと」
 そのままどこかに消えてしまいそうな八神をが呼び止めると、彼は面倒くさそうに振り返った。
「部屋割りー?そんなの俺とが同室で良いだろ」
 京が言うと、それまで静観していた矢吹が声を上げた。
「そ、そりゃないっすよ草薙さん!俺も草薙さんかさんと同室が良いっす!!」
「うっせー、真吾のくせに意見してんじゃねーよ」
「そんな〜〜!」
 京と矢吹のやり取りを聞きながら、ちらりと八神に視線を向ける。
「八神君の希望は?」
「……草薙以外」
 なんて端的な答えだろう。

 はパンパンと手を打ち鳴らすと、京達が自分に注意を向けたのを確認して言った。
「はいはい。京と真吾君、そして八神君と僕で部屋割りは決まりね」
「ほんとっすか?やったー!」
「はあ!?何言ってんだ、!何でが我慢しなきゃなんねーんだよ!」
 京が噛み付いてくるが、は首をかしげた。
「え?…我慢も何も、僕は八神君と同室、嫌じゃないけど?」
 京は口を開けたまま絶句している。自分が大嫌いな八神を、当然、子供の頃から仲良しで、大好きなこの従兄も同じように嫌っているものだと、今の今まで思い込んでいたようだ。

「じゃあ矢吹君、京の事よろしくね?京、矢吹君に迷惑かけないようにするんだよ」
 オカンのようなセリフを残し去って行くを、京は固まったまま見送った。


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