大学構内の小道にすらりとした人影が見えます。僕を作った学生です。
掲示板に貼られた画学生の手紙を見たと言います。
「どうして栞を先に? 皆、挟んだままにしていただろう」

痩せっぽちの画学生、顔を赤くして蚊の鳴くような声で答えます。
「きれいに作ってあったから、大切な物だと思ったんだ。迷惑だったかな」

僕を作った人は画学生に歩み寄り、
「いいや。ありがとう」
と、画学生と同じように頬を染めました。

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