NOVEL

疑似現実(ヴァーチャルリアリティ) 第一話

 ふと気付くと、俺は黒いセーラー服の上下──しかも何故か下はプリーツの膝丈スカート──で、屋上とおぼしき場所に立っていた。
「……なっ……!?」
  慌てて辺りを見回すと、屋上の手すりに寄りかかって、満足そうに顎を撫でながら、見覚えのある眼鏡をかけた黒い詰め襟の男と目が合った。
「……てめっ……黒木[くろき]……っ!!」
「思っていたより良く似合うよ、カナ君」
「ふざけんじゃねぇよ!! 何なんだよ!! これは!!」
「何って、見たとおりだろう? ちなみに僕と君が着ている服は、二〇〇〇年代初頭の極東地区で、学生の制服として用いられたタイプだ。それに合わせて舞台設定も、二〇〇〇年代初頭になっている」
「ふざけんな!! 戻せ!! てめぇの変態的趣味につきあってやるなんてこたぁ言ってねぇ!!」
「……変態的趣味? ふむ、そういう趣向も良いかもしれないな」
  と、黒木──本名および年齢不詳──は冷ややかで酷薄な笑みを浮かべ、靴音をコンクリートの床に響かせながら、ゆっくり歩いてくる。俺は悲鳴を上げて逃げようとし、不意にそれは無駄だ、ということに気付いて愕然とした。辺りを見回しても、ここには空といくつかの建物と広い運動場しか見えない。この『屋上』から脱出するための出口は、存在しなかった。
「最初からそのつもりだったのかよ!?」
  逃げ場もなく立ちすくむ俺に、黒木は冷淡に笑いながら言った。
「気に病むことはない。君の肉体には、指一本触れない。だからこれは、最初に言ったようにただの『疑似現実[ヴァーチャルリアリティ]』だ。ここで何があろうと、全てはリアルな幻想[ゆめ]に過ぎない」
  そう言って黒木は俺の顎をすくい上げて、俺の唇を素早く奪った。
「……だ、」
  黒木を思いきり突き飛ばす。
「だからって、我慢できるか!! 戻せ!! 戻せよ!! 俺を現実世界へ戻しやがれ!! この変態!!」
  すると、黒木は辛辣な口調で言った。
「それはつまり、連邦警察に突き出されてもかまわないというわけだな」
「っ!?」

 そもそも、この黒木と名乗る男に出会うことになったきっかけは、最低最悪だった。俺は孤児で、貧民街の路地裏で浮浪孤児[ストリートキッズ]として育った。黒木の素性については知らない。ただ、ヤツは最初から上流階級の臭いをぷんぷんさせながら、貧民街の裏道へ一人で歩いてやって来た。誰がどう見てもカモ、それも十年に一度巡り会えるかどうかの特上級の獲物[カモネギ]だ。黒い髪は艶やかに長く伸ばし、顔の半分ほどが隠れる黒いサングラスをつけ、黒いトレンチコートを羽織り、黒いシャツを着て、黒いネクタイを締め、黒いスラックスと黒革のブーツをはき、オーデコロンをつけていた。俺達の常識では、俺達の縄張りに単身侵入してくる上流・中流階級の市民などというのは、単なるバカだ。殺されたって文句は言えない。ここには連邦警察も見回りに来ない。何故なら俺達のグループのリーダー・シヴァが、ここらの担当に十分な鼻薬を与えていたからだ。俺達の『道無き子供達[ロストチルドレン]』は、スリ・強盗・暴行などを日常的に行う、八歳から二十一歳までの十七人の少年で構成されているグループだ。他のグループでは売春を取り扱う連中もいた。だが、シヴァは「俺達は底辺にいても、絶対に誇りだけは売り飛ばしちゃ駄目だ。だから、いくら実入りが良くても売春だけはやらない。もしやったヤツは、グループから出て他へ行ってもらう。いいな?」と、公言していて、実際その通り行動していた。俺にはシヴァのいう『誇り』は理解できなかったが、彼の言うことには間違いないと思っていた。実際シヴァは有能なリーダーだった。獲物の発見は俺達下っ端の仕事だったが、シヴァが首を縦に振らない限り、実行されない。シヴァが首を縦に振らない時は、先走ったやつが襲っても大抵失敗し、首を縦に振った時は、必ず金目のものを奪う事に成功した。だからグループのほとんどの人間が、シヴァを信頼し、心酔していた。シヴァについていけば、いつでも腹を満たし、暖かい寝床にありつけた。俺はシヴァに拾われるまでは、道端で寝起きし、物乞いやスリでどうにか食いつないでいた。シヴァは俺がスリで捕まって殴り殺されそうになった時に、助けてくれた命の恩人だ。
「……シヴァ」
  シヴァは首を縦に振った。
「狩るぞ」
  俺達は無言で腕を空に掲げて近くの仲間と軽く拳を合わせた。
「いつものフォーメーションでやるぞ。配置に付け」
  シヴァは真打ち。獲物の背後から狙撃担当のセイヴ、強襲担当のクラック、レイ、ディスらと共に近付き、獲物の左右をテオ、タイガー、ロイ、シェイ、ヴィオ、セイト、カオ、テッドが、前方からは囮や前哨戦担当の残りのメンバー、俺、カムズ、ノッド、タグが近づく。こうして獲物の周囲を取り囲んだところから、狩りは始まる。俺はまず一人で、ふらふらとよろついた足取りで近付き、相手にぶつかり、転ばせたり足下をふらつかせ、油断させる。そこへすかさず前方の三人組が襲って相手を脅し、抵抗すれば両脇・背後から襲いかかり、最後の仕上げをシヴァがやる。相手が強そうな時は、最初から手を出さないので、大抵の連中は、脅しを入れた時点で両手を上げる。抵抗したり逃げだそうとしても、すぐ捕まえて金を奪う。殺しはしない。だが、口外すれば殺すと脅す。大抵の連中はそれで黙り込む。この地区担当の警邏責任者は被害届を出されても揉み消し、シヴァに連絡する。シヴァは強襲担当のメンバーとセイヴを連れて、相手を痛い目に遭わせて、二度としないと誓約させる。それで俺達は安泰だ。最近、政府か何かの組織によるストリートキッズ狩りの噂をよく聞くようになった。しかし、こことは離れた遠い地区の話で、俺達には関係なかった。「なんでも捕まった連中は人体実験されてるって噂だぜ」とタグが教えてくれたが、真偽のほどは不明だ。確かめる方法もない。
  俺はよろけたふりで、その全身黒ずくめの男に倒れかかった、その時だった。
「……話に聞いた強盗集団だな?」
  え、と思った。その途端、どこかから多数の銃声が鳴り響き、銃弾が雨嵐と空から降り注いだ。ぎょっとして見上げると、付近の建物の屋上から、マシンガンを構えた男達が、全弾撃ち尽くすかの勢いで、仲間めがけて撃ちまくっていた。
「なっ……やめろっ!!」
  俺は悲鳴を上げた。黒服の男の近くにいる俺は銃弾を浴びていない。だが、カムズ、ノッド、タグが顔や身体を赤く染めて次々倒れ伏し、後方・両脇からも仲間の悲鳴が上がっている。
「やめてくれ!! 皆死んじまうじゃないか!!」
  俺が泣きながら悲鳴を上げると、男はサングラスを外し、冷酷な笑みを浮かべながら言った。
「心配するな。殺さない。ただ動けないようになってもらうだけだ」
「……なっ……!?」
  これが──殺さない、だと?
「ふざけんな!! こんなありったけ弾ぶちこまれて……っ!!」
  俺が泣きながら相手の胸を殴りつけようとしたちょうどその時、全ての銃声が止んだ。あちらこちらで呻き声や苦痛を訴える声が上がっていた。俺はぶるぶると足を震わせながら、拳を相手の顔に叩き込もうとしたが、あっさり腕を捕まえられた。
「無駄なことはするな。安心しろ。たとえ一時的に呼吸や心臓が止まっていても、完璧に蘇生させる。それができるだけの技術は持っているし、そもそもお前達を全員生きた状態で捕まえるために、わざわざここへ足を運んだのだからな」
「……お、お前は……」
  情けなくも声が震える。
「お前はいったい何者だ?」
  男は唇をゆがめて笑った。
「姓は黒木と言う。とある研究所の責任者だ。残虐な行為や暴力的な行為は私の好むところではないから、安心しろ」
  安心も信用もできるはずがない。俺はシヴァの元へ走ろうとした。
「……待て。仲間の命や身体がどうなってもかまわないのか?」
  ぎくりとして足を止める。慌てて男を振り返る。男は淡々とした口調で告げる。
「お前が一人で逃げようとしたら、重傷者は見殺しにして、軽傷者は連邦警察へ突き出す。幸い、私は連邦警察の長官と面識がある」
「……っ!!」
  男は冷酷に笑った。
「……どうする?」
  他に選択はなかった。

 疑似現実。黒木がその研究所で一番力を入れているのが、それらしい。現実ではない非現実でありながら、リアルな感覚を与える装置──巨大高性能コンピュータによって生み出された膨大な情報を、被験者の脳に電極を繋いで刺激を与えることによって、被験者の脳内にリアルな幻想として体感させるという代物だ。現在はまだ研究課程にある段階で、現在の装置は試作品でバージョンはβ4.25。つい数年前までは猿などで実験していたが、二年前から人間の被験者を利用しているという。ちなみに、被験者に対する報酬は支払われない。ただ、飲食するものと、空調の整った清潔だが無機質なトイレ・バス・ベッド付きの個室が与えられるだけだ。俺は問答無用で被験者にされた。二言目には「仲間がどうなってもいいのか?」「連邦警察に突き出す」だ。
  それにしても、今度は女装かよ!? 黒木は泣きそうな気分の俺など気にも留めず、ゆっくりと冷たく固いコンクリートの上に押し倒した。
「ちょっ……マジかよ? あんた、そういう趣味だったのか?」
  黒木は答えない。俺のはいているスカートの裾をめくり上げ、太腿に指を這わす。ぞくりとして、身体を震わすと、黒木はくすりと鼻で笑った。
「なっ……てめっ……!!」
  カッと血の気が上りかけた俺に、黒木は言った。
「良いのか? 仲間がどんな目に遭わされても」
  その言葉に、くっと唇を噛み、堪える。黒木は唇だけに笑みを浮かべながら、俺を見つめ、指をそろそろと上へ這わせた。
「……っ」
  恐怖と、屈辱と、絶望的な悲しみ。それに何かが混じって、俺の心はぐちゃぐちゃだ。誰も俺を助けてくれない。ここは現実世界ではなく、疑似現実世界。俺と、黒木しか存在しない世界だ。現実じゃない。だけど、現実としか思えない感覚だ。これがたとえ、ただ一時の夢だとしても、記憶や感覚が消えるわけじゃない。それに、明らかに、これは黒木の意図で意志だ。しかも、俺に選択権は無い。
「……恥ずかしくねぇのかよ、あんた。年端もいかない子供にこんな事をして」
「私は君の肉体には指一本触れていない。君の身体は純潔なままだ。それに、十六歳の戸籍を持たず、税金も支払わない強盗集団の不良少年は、政府によって保護されるべき存在か?」
「……っ!!」
  下着を太腿の中程まで下ろされ、その中央にあるものを掴まれる。スカートの外へと取り出された自分のそれを、黒木は俺に見ろと指示する。
「……やめろ、変態」
「変態? 太腿を触っただけで、もう勃たせているのは誰だ?」
「これは現実じゃないと言ったのはあんただ。これは幻だ。現実に似てるけど、現実じゃない。俺はこんなことくらいで勃ったりしねぇよ!どうせあんたが機械を制御して、勝手にそうさせてるだけだろ!?」
  黒木は冷笑した。
「そう思うのか?」
「そうに決まってるだろ!! じゃなきゃ、あんた相手にこんな状態になるはずがない!!」
「そうか。そう思っていたければ、そう思えばいい。私は君の心境や感情など、どうなろうと知ったことじゃない。ただ欲しいのは、実験の経過と結果、それが与える影響だけだからな」
「この、冷酷サディスト!!」
「サディスト? 私は君をいじめた事は一度もないがな」
  じゃあ、現在のこの状況は何だって言うんだよ!! 叫ぼうとした俺の唇を、唇で塞いで、黒木は俺に覆い被さってきた。
「ああっ!!」
  俺は思わず大きな悲鳴を上げた。黒木のものが俺の身体の中に侵入し、無理矢理押し開き、貫いて行く。俺は悶え、苦しみ、呼吸困難に陥りそうになりながら、喘いだ。
「……っ……は……ぁっ……!!」
  黒木はそれを全て俺の身体の中に収めて言った。
「君の中は、熱くひくついているぞ。締め付け具合がちょうど良い。挿入も非常にスムーズだ」
「……へ……んたい……っ!!」
  俺の抗議も知らぬ涼しい顔で、黒木はゆっくり前後に腰を揺らし始めた。だんだんと激しくなる抽送に、俺はまともな思考ができなくなって、黒木に翻弄されて、ただ熱く吐息や悲鳴を上げて、その肩に爪を立てた。
「あっ……ぁああっ……!!」
「……記録に残せるものならば、君の今の表情を記録して、君に見せてやりたいよ。脳波や発汗・体温のデータを見せても、君には理解できないだろうしね。次回からはカメラで実験経過を撮影することにしようか。もっとも、疑似現実世界の映像を映すことは不可能だがね」
「はっ……あぁあぁっ!!」
  身体の奥深いところを熱く猛ったもので貫かれて、俺は動物のように悲鳴を上げた。と、同時に放出して果てた。達してしまうと、急に全身がひやりとして、我に返った。
「なっ、くそ、黒木!! てめぇっ!!」
  胸ぐらを掴もうとすると、黒木はふわりと音もなく背後へと飛びすさり避けた。
「卑怯だぞ!! 黒木!!」
「舞台や衣装の他にも配役設定はしたはずだが、どうやらそれは元の人格や性格には何ら影響は与えないようだな。もっとも、変わってしまうようであれば、合法的な販売・流通は不可能になってしまうが」
「キャスト設定? なんだよ、それは」
「この場合は、二人とも同じ年頃の学生で恋人同士、だ」
「何だよ!! それ!!」
「前任者の趣味で入力してあったシナリオの一つだ。基本的に疑似現実世界は、入力したシナリオ通りの設定で表現・体感される。ロールプレイはプログラムに全て任せることもできるし、実験監督者が観察することも含めて介入することもできる。もっとも、監督者が介入するのは事故の危険性もあり、あまり好ましくはないが」
「だったら、すんなよ!!」
「君の最初の疑似体験[トリップ]だからな。事故が起こらないように監視する必要があった」
  黒木は真顔で淡々と言う。
「じゃあ、さっきのは何なんだよ!? 嫌がる俺を押し倒して、強姦しやがって!!」
「……強姦? 喜んで腰を振っていたじゃないか」
「何だと!! てめぇの目と耳は節穴か!?」
  怒鳴りつけた俺を、黒木はしばし見つめ、くるりと背を向けた。
「まあ、いい。とりあえず、今日はここまでにしよう。電極を取り外すが、暫くは動いてはならない。私が良いと言ったら、ゆっくり起き上がってくれ。何か不具合や異常を感じたら、すぐに言って欲しい。治療や診察が必要ならば、すぐ手配する」
「くそったれ!」
  怒鳴った瞬間、視界が白くゆがんだ。

 電灯の明かりだ。真っ白な天井、ウィーンという音を立てながら、俺の頭部を覆っていた装置が上昇していく。俺の両手足や首は固定されたままだ。動けない状態のまま、目だけを動かすと、何かの計器を熱心に覗き込んでいる白衣姿の黒木の姿が視界の端にちらりと見えた。
「……体温・脈拍・血圧異常なし。しかし、少々興奮状態にあるようだな」
「誰のせいだと思ってやがるんだ」
「喋るな。脈拍が乱れる。不必要に感情を荒立てたり、興奮するのも禁止だ。実験の計測結果に影響を与える」
  だから、誰のせいだと思ってんだよ! この、変態!!
「三分経ったな。では、計測装置を外す。怪我をしたり、装置を壊すといけないから、しばらくじっとしていろ」
  そう言って、黒木が何かのパネルに触れると、首や両手足の拘束が外される。
「身体の不調や異常は何か感じるか?」
  股間が何かで──間違いなく精液で──湿って汚れている。衣服に乱れは一つもない。俺は無言で黒木を睨みつけた。
「……異常はなさそうだな。では、起き上がって割り当てられた個室へ行くと良い。君には研究所内を見学する資格は与えられていない。食事は定時になれば支給される。君は自分の個室の中にいる限りは、好きにしていて良い。ただし、脱走や部屋を著しく破損させたりする行為は禁止だ」
「……軟禁かよ?」
「それに近いことは認める。だが、君を自由に放し飼いにするわけにはいかなくてね。もっとも、今後の君の素行や態度によっては、改善される可能性はある」
「いつもこんなことをしているのか?」
  黒木はコンピュータからプリントアウトされるデータを熱心に読みふけっていたが、顔を上げて、俺の目を見た。
「必ずしもそうとは言い難いが、依頼もあったのでね。コネのためには、ある程度の取引が必要だ。少々煩わしいが」
「取引……だと? まさか、仲間を連邦警察に……!」
「そうした組織ではない。個人的にお願いされたのだ。つまり、君達のグループを人知れず処分して欲しいと」
「……なっ……!?」
「だが、私は無益な殺生は好まない。処分してくれと言われたのは君の属する強盗集団であって、その構成員ではない。だから、君達を殺す代わりに、私の役に立ってもらうことにした」
「かっ……勝手に決めんなよ!!」
  黒木はまた実験結果に目を落とす。
「勘違いしているようだから教えてやる。君達に自由な裁量権や選択権は無い。死ぬか、連邦警察に突き出されるか、ここで飼われるかだ。君達がどれを選択しようと、私はかまわない。それ以外の選択はさせないし、できない。先ほど君達を襲撃したのは、この研究所の保安・警備部隊だ。つまり、脱走や抵抗を企むなら、彼らが君達の相手をすることを念頭に置いてくれ。私は無益な殺生は好まないし、君がもし善良な一般市民の子供ならば割り切ることもできないだろうが、、他に手段がなければ、君達のような最下層の犯罪者達を跡形もなく処分することを厭わない。君がそう言って欲しいと言うのならば、いくらでも言ってあげよう。君達はクズだ。塵芥ほどの価値もない。社会のゴミだ。……満足かね?」
「死ね! このクソ変態ジジイ!!」
  俺が叫ぶと、黒木は少々眉をひそめたが、文句を言ったり抗弁したりはせずに、
「割り当ての部屋に行きたまえ。君には明日まで用はない」
「……明日も同じことをする気か?」
  すると、黒木は冷淡に笑った。
「君がそれを望むなら」
  俺はぞくりと身を震わせた。ここは現実世界だ。疑似世界ではない。だけど──俺の出口は、脱出口は見えなかった。

To be continued...
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