放課後女装クラブ(仮)
＃２ クラブ活動
今日は、週に二回のクラブ活動がある。僕は学校帰りに、そのまま部室にいった。
部室には、もう、５人くらい集まってた。全員集まると１０人くらいになるけど、
全員集まることは、まずない。クラブの決まりとして、
勉強とか塾は、クラブ活動よりも優先する、というのがあるから。
僕は、このクラブに入ったとき、元々入ってた部活はやめたから、
クラブ活動があるときは、ほとんど参加してる。参加率一番高いかもね…。
このあいだ、貴史が入ってから３回目のクラブだけど、
貴史は、いまのところ皆勤賞みたい。みんなに、将来有望だとか言われて、
結構チェックもされてるから、なかなかあのときの「続き」ができない。
同じクラスなんだから、普通に家にでも呼べば、できると思ったんだけど、
「お互いに女の子になってる時じゃないと、やだ」って、はっきり言われちゃったし。
僕が言えた事じゃないんだけど、貴史も、相当な強者だと思う…。
「あ、みきちゃんだ」
「早く着替えておいでー」
先に来ていた人たちが、僕をせかす。
言われるまでもなく、僕はすぐ着替えて、みんなの中に入った。
「クラブ活動」と言えば、ずいぶんな事をしていそうに聞こえるけど、
実際には、みんなで女装して雑談をしたり、たまには、どうすれば可愛くなれるかを、
本物の女性や、本職の人に聞いてみたり、そんなかんじ。
今日は、講師になる人はきてないから、雑談ばっかり。
「みきちゃんの席はここね」
僕が座ったのは、僕よりずっと早く来てた、「貴子」の横だった。
今日は、具合悪いって、早退したはずなのに…。
今回だけじゃない。いつも、クラブの日は早退してる。
結局その日は、みんなで雑談して、適当に解散になった。
寄付された衣装の割り当てじゃんけんで、いいのが取れたから、気分はよかったけど。
次のクラブの日の昼休み、僕は、給食を食べ終わった貴史を捕まえて、
廊下のすみにつれていった。
「今日、クラブだね」
「うん」
「まさか、また、早退して行くの…？」
「そのつもりだけど？」
あまりうるさく言うつもりもないんだけど、「クラブより学校優先」っていう
約束事が気になるから、貴史に注意しようと思った…。
「早退してまでクラブに出るの、良くないと思うよ…」
「大田も、早退したら？ そしたら一緒に行けるじゃん」
「はあ？ なんで僕にまで、させようとするんだよ。注意してるんだよ？」
「……」
貴史は、なんか、つまらなそうな表情になったけど…、
少しして、まるで説明でもするように、ゆっくり、僕に言った。
「大田も早退して、一緒に行けば、部室で二人きりだよね、たぶん」
いきなり不意をつかれた僕が絶句してる間に、貴史は行っちゃった…。
結局、貴史は５時間目には、教室にいなかった。
僕は５時間目が終わる前に気持ち悪くなって、保健室にいって…。
そのすぐあとには、部室にいくために、電車に乗ってた。
「あ、来た…」
部室にいたのは、「貴子」一人だった。この前と同じワンピースを着てる。
僕は、すぐに服を着替えてきて、貴子の横に座った。この前と同じ服で。
しばらく、二人とも何も喋らなかったし、相手にも触らなかった。
音がしたのも、外で犬がほえてるのと、二つのコップに麦茶を注いだ音だけ。
この前は、貴子はここ初めてだったし、気持ち的にも、優位に立ってたと思うから、
すぐに手も出せたし、積極的にもなれたんだと思う。
でも今は…というか今日は、貴子に先手を取られた感じ。
「まだちょっと、女の子みたいな喋り方、難しいな…」
先に喋ったのは、貴子だった。
「慣れないうちは、普通でいいんじゃないの？」
「うん…」
「私だって、かなり緊張してるんだよ、今日は…。
いきなりあんな事言うなんて、思わなかったから」
「あのくらい言わないと、わかってくれなかったみたいじゃん」
貴子は、ちょっとだけ言い方を強めたけど、またすぐ、大人しい喋り方にもどった。
「…自分でする時も、思い出して、してたんだよ。
女の子のかっこして、大田…みきちゃんに、触られたの、思い出して」
「……」
「あの続き、いつしてくれるのかな、って思ってた。ここで二人きりになるには、
こうするしかないじゃん。こないだ部室に入れたのは、特別でしょ？」
なんか私、こないだとは逆に、すごく、押されてる気がする…。
貴子も何度か来て、慣れてきて、「貴史」の活発なところが出てきたのかな。
「もしかして、気が変わったのかな…私と」
貴子が何か言い終わる前に、私は貴子の手を、ぎゅっと握った。
触った瞬間、貴子が、びくっとした。
「なんで私まで、早退して来たと思ってるの？」
「うん…」
「それに、続きしたいって、言ったこともあるはずだよ。
女装してるときじゃないとやだ、って言われたから…クラブのたびに、
もしかしたら…って、楽しみにしてたんだから」
「僕もそうだよ」
「だめ。言い直し。女装してなきゃいやだって言うのに、僕はないでしょ？」
「私も、そうだよ…」
押されぎみだった気持ちが、やっと、押し返せた気がする。
…でも私も、なんだかすごく、ドキドキしてきた。
「こっち向いて…」
貴子が、こっちを向いた。
私が顔を近づけると、貴子は、目をつぶったけど、なぜか、すぐ顔をそむけた。
「…？」
「私、給食のあと、歯みがいてない…」
そうだ、貴史は、ちゃんと給食だけは食べて帰ってたんだった…。
「お茶も飲んだから大丈夫だよ。私は気にしないけど、貴子はいや？」
「…ううん」
気を取りなおして、私は、貴子の口に、自分の口をくっつけた。
キスなんて、おしゃれなものじゃなかったと思う。
私だって、あまりしたことないから…。
口を離した理由も、息が苦しくなって、だもん。恥ずかしい。
貴子は、顔を赤くしてる。それを見て、私も赤くなっちゃったかもしれない。
「ねえ、こないだの場所に…」
私は貴子を起こして、このあいだのソファーベッドに座らせて、
自分も横に座った。前よりも、ずっと密着して…。
ちょっと力を入れると、貴子はすぐに、横に倒れて、私を見上げる形になった。
私も、ちょっとかぶさるように、でも重くないように、そっちへ倒れこむ。
貴子の上半身を起こさせて、またキス。さっきよりは、うまくできたかも…。
私は、この前よりずっと遠慮なく、貴子のスカートをまくり上げた。
…女物の下着をつけてた。私もだけどね…。
また、下着の上から、さすってみる。
ちょっと触っただけで、中身は、すごく固くなってるのがわかる。
やっぱり、触られたときと、手が動いたとき、貴子は少し身をこわばらせた。
「今日こそは、直接触るからね…」
私はそう言うと同時に、貴子の下着を引っ張った。
「つっ…」
「あ、ごめん…」
パンツを脱がせようとしたら、布がこすっちゃったみたい。
…気をつけて、慎重に脱がせた。
やっぱり、私のよりも大きい…。
貴子自身は、そこから目をそらせてるけど。
「自分でするとき、どういうふうにしてるの？ 少し、やってみて…」
私は、意地悪な質問をしてみた。
でも貴子は、恥ずかしそうにしながらも、自分で、触りだした。
貴子は自分の指に唾をためて、あそこの先につけはじめた。
「唾つけるの？」
「乾くと、痛いから…恥ずかしいよ、あまり見ないで…」
「やだ。見たいんだもん」
それ以上嫌がるようすは見せないで、貴子は、自分の手を動かしはじめた。
手が根元に動くと、皮がむける。それは私と同じ…。
ついしばらく、その様子に見入ってたら、貴子が声を出した。
「あまり、見ないでよお…」
なんだか本当に泣き出しそうな声になってる。
私は、貴子の手に、自分の手を重ねて、動きを止めさせた。
「私が、同じようにしてあげるね…」
貴子の手をゆっくり離して…持ってみた。
「やっぱり、おっきいね…私が小さいのかな？」
「……」
貴子、真っ赤になってる。可愛い。
私は貴子がしたのと同じように、ゆっくり、手を動かしはじめた。
貴子の息が、だんだん荒くなってくるのがわかる。
私は、貴子のほっぺにキスしてみたり、ぺたんこの胸を触ってみたり、
色々しながら、手は動かしてた。
突然、貴子は「んっ…」と小さく声をあげて、震えた。
その直後、私の手に、ぬるぬるしたものが触れる。
大きく一度、ため息をついて、貴子の力が抜けたのがわかる。
それからも何回か、少し息を荒げて、大きく息をしてる。
「ねえ、気持ちよかった？」
「うん…」
「私もだよ。でも、私ももっと気持ちよくなりたいな…」
貴子がうなずいた。次は私の番だ、と思って、
さっきまでより、すっとドキドキしてきたけど…。
ふと時計が目に入って、私は驚いた。
へたしたら、クラブがはじまっててもおかしくない時間だったから。
残念だけど…僕までしてもらったら、たぶん誰かに見られちゃう。
別に禁止されてるわけじゃないんだけど、やっぱり、恥ずかしいから。
私たちは、急いで色々後始末をすると、テーブルに向かい合って座った。
何事もなかったかのように、っていうのは、こういうとき使う言葉なのかな…。
何分もしないうちに、部室に人が来た。ユリさんだった。
そういえば今日は、超初心者向けメイク講座をするんだったかな…。
ユリさんは、私と貴子が一緒にいるのを見て、何か言いたそうだ。
すごく嫌な予感がする、と思ったら、すぐに的中した。
「ねえ、こないだの続きしたでしょ…？ したよね」
「してないってば…」
「してないですー」
なぜかユリさんは、勝ち誇ったような顔になった。
「まだ、二人とも、Ｈな事の経験がほとんどないのね…。
だったら、わかるはずもないかな。大人をだますのは難しいんだからね」
「…・？」
「男の子は、出すもの出すと、耳たぶが、すごく熱くなるのよ…。
真っ赤になっちゃうのよ。触るか、見れば一発でわかる」
私はつい貴子の耳を見てしまい、貴子はといえば、耳に手をやった…。
やってしまった…。
「もちろん嘘だけど、子供が大人をだますより、逆のほうが成功しやすい例ね」
私たちは、それこそ、本当に真っ赤になった…と思う。
「さて、メイク講座はやめて、急遽、カップルを祝う会にしようかな…？
きっとみんな、盛大に、徹底的に祝福してくれると思うよー」
「言わないでー！」
「もちろん私だって、可愛いみきちゃんと貴子ちゃんに、恥ずかしい思いは
させたくないの。でもやっぱり、こういう事は、みんなでお祝いしたいしね」
「ううう…」
「見たかったな…。今度見せてくれるっていうなら、とりあえず内緒にしておいても
いいんだけどね。どうしようかなー？」
私と貴子は顔を見合わせた。
二人で少し相談して…その話に、乗ることにした。乗るしかなさそうだった。
広まれば、みんなにさんざん茶化されまくるのは目に見えてるし、
まゆさんもきっと、特別号外メールとか出すと思う。絶対出す…。
「☆祝☆ カップル誕生〜〜(>_<)/ ☆祝☆」とかいって。
その日は結局、メイク講座がちゃんと行われて、
何人かの「美少女」と、何人かの鈴木その子まがいが生まれた。
解散したあと、僕と貴史は、ユリさんに呼び止められて…。
次に、クラブがなくて都合のいい日はいつか、聞かれた。
結局、日曜日にユリさんのところに、二人で行くことになった。少し不安…。
でも不安なのに、ちょっとだけ楽しみなのは、なんでだろう？
＜つづく＞
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