題「人ならざる者」9
 一角達が姿を消すと、
「湯に入る」
徐に一護がそう言うと剣八は、
「んなもん後で良い」
と言い一護を抱き寄せるが、
「駄目だ。禊ぎもせずお前に抱かれる訳にはいかない。ずっと待ってたんだぞ?綺麗な身体でお前に愛されたい」
剣八の頬を撫で小首を傾げる一護。剣八はその手を取り指先に口付けた。
「しゃあねえな、一緒に入るぞ」
「うん!」

二人で浴場に行くと気を利かせた弓親が二人分の着替えを用意していた。
「準備良いな」
「そうだな」
髪を洗い、身体を隅々まで洗い清めると二人で湯船に浸かった。
「ふぅ・・・!良い湯だ」
体の力を抜き、剣八に身を預ける一護。
「一護」
「ん?」
一護の小さな顎を掴み、上向けると静かに口付けた。
「ん・・・、んぅ、ふ・・・」
ちゅ、と離れると剣八の指が薄く色づいた頬を撫でた。
「口付けも上手くなったんだな。昔はもっと荒々しかったのに」
ふふふ、と笑う一護。
「もう上がるぞ」
「ん・・・」
風呂から上がり、白い寝巻きに着替えると寝室に戻る。

寝室には既に蒲団が用意されていた。
「良く出来た部下だな」
「我ながらな」
蒲団の上に座ると、その向かいに腰を下ろした剣八が一護の頬に手を当てた。
「ん、どうした?」
「・・・・・・」
剣八は無言で一護を押し倒した。背中にふわ、とした蒲団の感触。
「一護」
「剣八・・・」
深く口付け合う。何度も角度を変え、深く深くお互いを貪った。
「ん、ん、ふ!んんう!あ、う、は、ん・・・」
くちっ!と音を立て離れると、息を乱し縋るように自分にしがみ付く一護が居た。
その白い首筋に吸い付き、舌を這わせると震えながら背を撓らせた。
「あ!ああ、は、ん」
鎖骨に辿りつき、カシカシと甘く噛み、薄く色づく胸の小粒を口に含み、もう片方は指で愛撫した。
「ああっ!あ!あ!」
熱く滑る舌で転がし、軽く噛んでは吸い付いた。
「やッ!ああっン!」
「は・・・、相変わらず良い感度だな」
「し、知らん!」
「くく・・・」
ちゅ、ちゅ、と白い肌に赤い跡を付けて行く。
脇腹に吸い付き、舌で辿ってゆく。腰骨の辺りに歯を当てる。
「ああっん!や、もう・・・」
ゆるゆると頭を擡げる一護の中心をやんわりと掴むと先端をぺろりと舐めた。
「ひゃあん!」
すぐさま固くなったそこを丹念に愛撫する剣八。
「や、あ!あ!ん、んんん!」
溢れる蜜を啜っては括れを軽く噛んで吸い上げた。
「ッんんん!んーーっ!」
ぴゅくん!と吐精した一護。
出された精をこくこくと喉を鳴らして飲み下していく剣八。
「ん、んん、ンっ!」
ちゅう!と先端を吸い上げた。
「は、濃いな。それに甘ぇ」
「ばかぁ・・・また、そんなの飲んで!」
「お前のだからな。ほれ、後ろ向け」
「ん・・・!」
一護の身体を反転させると腰を引き寄せ双丘を割り拡げると、薄く色づく蕾に口付けた。
「あッ!」
ぬちぬちと舌を這わせ、ヒク付いてくると中へと押しこんだ。
「ああっ!あ、や!入れちゃ、だめ・・・!」
「慣らさなきゃ入れらんねえだろ。あれからどんだけ経ったと思ってんだ」
「だって・・・、あん!ん〜〜!」
にちゅにちゅと抜き差しを繰り返し、少し慣れてきた所で軟膏の様なものを取り出した剣八。

それをたっぷり指に取るとヒク付いている一護の蕾に塗り込んだ。
「はぁっ!な、なに?」
「潤滑油だよ、楽になんだろ」
剣八の言う通り、2本の指がすんなり入った。
「あ、あう、ん・・・」
中を傷つけないように慎重に広げながら探って行く。
「あ!ひぁっん!」
「ここか・・・」
中のしこりを見つけると執拗にそこを攻めた。
「あ!あ!やぁあッ!あああンッ!」
敷布を握り締め、艶声を上げる一護の中心は反り返り蜜を零していた。
「もう一遍イっとくか?」
くりゅ、とそこを押し潰すと、
「ひゃああぁあん!」
と声を上げ、パタタッ!と吐精してしまった一護。
「あ・・、はあ、はあ、あ・・・」
きゅうきゅう剣八の指を締め付け達してしまった一護。
ぬちゅ、と指を抜くと、
「もう、入れるぞ」
と既に怒張している自身を擦り付ける剣八。
「あ、まって・・・」
「んだよ・・・!」
「前から、抱いて・・・。抱き合いたい」
震える手を差し伸べる一護。その手を掴むと正面から抱きこんだ。
「行くぞ」
「ん、来て・・・」
ゆっくりと腰を沈めて行く剣八。
「ん、んあ、あ、あ、う!ん、んん」
「ふ、っう!」
ぬぷん、と一番太い場所が飲みこまれていった。
「後は、楽だぞ、一護・・・」
「ん!ん!」
コクコクと頷く一護。
ずぶずぶと自分の胎内を満たしていく剣八の熱い楔を感じていると、敏感な所を抉られた。
「ッあああんッ!あッ!あッ!」
きゅううぅ!と締め付ける一護。
「クッ!締めすぎだ、弛めろ一護」
「はッ!ハッ!あ、ああ!剣八!剣八!と、溶ける!溶けちゃうよぅ!」
「クッ!この!」
もう少しで全部収まる所まで来ていたが、剣八は一護の腰を掴み直すと残りを奥まで入れた。

ズンッ!と最奥まで貫かれ、声にならない悲鳴を上げた一護。
「〜〜ッ!!あ、あ、あ・・・」
トロトロと溢れる先走りと潤滑油で楽に動ける様になった剣八が一護を揺さぶった。
「一護、一護・・・!」
「あっ!あっ!剣っ、八っ!ヤッ!ん!んあっ!」
ぎりり、と背中に回した手で剣八に爪を立てる一護。
「つっ!気持ち良いか?一護」
「ん!ん!いい!いい!気持ちいッ!ああ!ああ!ッあーー!!」
剣八と自分の腹に白濁を吐き出した一護。
「ん、ん、あ、あぁ・・・うッ!」
一拍遅れて剣八の熱が奥で爆ぜた。
「はあ、はあ、剣八・・・」
剣ハは身体を起こすと一護を胡坐の中に納めた。
「んああ、ふ、深ぁい・・・!」
自重で更に奥深くまで繋がる二人。
「一護、一護、逢いたかったぜ・・・。忘れたことねえ、ずっとここに居ろ」
「ん、ん、剣八、俺も、ずっと逢いたかった・・・!待ってた、待ってた!逢えるの、待ってた!」
「一護・・・!」
「剣八・・・」
深く深く口付け合った。舌を絡め、軽く噛んでは吸い上げた。
「ん、んふう、ん、こくこく」
混ざり合った互いの唾液を啜り、更に貪欲に求め合った。

胡坐に納まっている一護の腰が揺れると、膝裏に手を入れその身体を持ち上げた。
「あ、ああ、ああん・・・!」
一護の体重だけで奥まで貫いては、腰をグラインドさせ、中の一点を攻め立てた。
「あうっ!ああっ!や、や、そこダメェ・・・!あっ!あっ!やっ!剣八ぃ!も、もう、だめぇ・・・!」
剣八に太い首に腕を絡ませ抱き付く一護。
「く・・・、俺もイく・・・!これで今日は終いだ・・・!」
「ん、んあ!あ!あ!あーーッ!」
「くうっ!!」
背を撓らせ達した一護を抱きしめ、最奥に全てを注ぎ込んだ剣八。
「あ、あ、剣八・・・あいしてる・・・」
と呟くと気絶した一護。
その中から名残惜しげに自身を抜くと風呂に連れて行き、洗い清めた。

一護を姫抱きにして部屋に戻ると蒲団は新しいものに替えられ、水差しが置かれていた。
湯呑に水を入れると一口飲み、もう一口、口に含むと一護に口移しで飲ませた。
「ん・・・、んく、んく、ん、あ・・・」
「起こしたか?」
「あ・・・」
声がひどく掠れているのに驚いた。
「啼かせ過ぎたな」
と喉を優しく撫でる剣八。
「もう寝ろ、明日にゃマシになってるだろ・・・」
一護の腕枕をしながら抱き寄せた。
「ん・・・」
そのまま深い眠りに落ちた二人だった。

翌朝、剣八が目を覚ますと一護の姿は隣りに無かった。
「・・・一護?」
部屋を見回すと障子が少し開いていた。そこを開けると縁側の椿の前で一護が何かをしていた。
「何してんだ?」
「あ、おはよう剣八。うん、この子等に名前を付けようと思ってさ」
「椿にか」
「うん、お前の椿は『崑崙(こんろん)』。やちるの椿は『紅乙女(くれないおとめ)』。どうだ?」
「良いんじゃねえか?」
「よし。今この時を以ってお前達の名は崑崙、紅乙女とする」
そう言いながら徳利の中身を椿に与えると、次々に花を咲かせ、ポトポトと地に花を落とした。
血の様に赤い崑崙の花の海と、朝焼けの様な桃色の紅乙女の花の海から何やら白いもやもやした物が現れた。

それは次第に人の姿を成していく。
黒い長衣を纏った黒髪の赤い目をした男と、桃色の着物を着た黒髪の水色の目をした美しい女がそこに立っていた。
「一護様、お初にお目に掛かりまする。この度は御名を頂き嬉しゅうございます」
「ありがたき幸せにございます」
「うん。崑崙、紅乙女。これからもここで剣八とやちるを見守ってくれ」
「「この身と命に変えまして、承りましてございます」」
「おい、一護。こいつら・・・」
「うん?お前らが植えてくれた椿の精霊だよ。式神として俺の身の周りの事とか世話してもらう」
「ふうん・・・」
「剣八様。そのように睨まれなくとも我らは一護様を貴方から奪いません」
「睨んでねぇ!」
「後でやちるにも紹介しなきゃなー」
「そうだな」
と会話する二人が居た。


第10話へ続く



11/08/29作 久々に愛し合った二人と新しい式神の登場です。
崑崙の服はチャイナ服っぽいのをイメージしてます。紅乙女は飛鳥時代の女性の着物です。

次は山じいと絡んでもらおうかな。



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