題「剣八の誕生日」
 むずむず、むずむず―。
朝起きた一護の体に身に覚えのある疼きがあった。
「あ〜、来た、かな?」

 季節はもう晩秋。一護に発情期が来たようだ。
「でも満月だしな〜。ずらさないとまた身籠っちゃうかもだし・・・。う〜ん。あ・・・!」
もうすぐ剣八の誕生日だと聞いた。自分は剣八に祝ってもらっているのに、まだ一度もお祝いした事が無かった一護。
「ん〜、後一週間あるけど、我慢出来る、よね」
と呟きながら剣八を探す。
「剣八〜ぃ」
「おう、起きたか。なんだ?」
「うん、あのね。俺発情期が来たみたいだから今日から暫く剣八とエッチ出来ないんだけど」
「マジでか?」
「うん。今日満月だし、俺が良いって言うまでなんだけど」
「キツイな・・・。何日ぐらいだ?2日か?3日か?」
「・・・かん・・・」
「あん?」
「だから、一週間・・・」
消え入りそうな声で告げれば、
「・・・・・はぁあっ!?」
大袈裟な反応が返って来た。
「あの!エッチは出来なくても、その!お口とかなら大丈夫だから、ね?」
「仕方ねえな!その代わり一日中傍に居ろよ!」
「うん、分かった!」

 その日から討伐に出ている以外は剣八の傍に居る一護。隊首室では膝に乗って判子を押す手伝いをしている。
討伐の数を増やしてもおっつかない鬱憤を晴らすのは稽古で、その激しさに付いていけるのは一角か元十一番隊の恋次くらいなものだった。
「ゴメンねぇ。無理ばかりさせちゃって」
と手当てを手伝う一護からは発情期だからだろうか?フェロモンの様な物が出ているようで色気が漂っていた。
「良いってことよ!更木隊長に稽古付けてもらえんのなんか久し振りだからな」
と恋次が笑いながら言う。
「19日までだから、我慢してね?」
と申し訳なさそうにしている。
「あ?隊長の誕生日か?その後お前大丈夫なのかよ」
「が、頑張る!だってこれしか思い付かなくて・・・」
と言っていると剣八が道場に戻ってきた。
「一護!此処に居たか、こっち来い!」
「あ、うん」
たたたっ!と駆け寄ると二人で出ていく。
「相変わらず仲良いな」
「まぁ良い事じゃないか」
「まーな」
と恋次、弓親、一角。

 その頃の二人は、誰も来ない古い部屋に雪崩れ込んでいた。
「んっ!ちょ、剣八!ん、んん!」
「はっ!良いからコッチに集中しろ」
死覇装の袷から入りこんだ手が胸を這いまわり、小粒を摘まむ。
「きゃんッ!あ、あ、あっ!」
「は・・・っ!さすがに敏感だな」
それだけで固くなっている一護の中心を口に含むと性急にイかせる。
「は!は!も、ばかっ!」
「いいからこっち」
「うう〜」
唸りながらも剣八の中心を口に含み懸命に奉仕する一護。
「ん・・・、ふ、あ、ん・・・」
ぺろぺろと先端を舐めては喉深くまで咥えていく。
「美味そうに舐めるじゃねえかよ」
「んん!美味しいよ?剣八だもん、ん・・・」
ちゅうッ!と溢れる先走りを啜り、括れに軽く歯を当て吸い上げる。
「く・・・!」
「んっ!くふッ、ん、んく、んく」
コクコクと喉を鳴らして飲み下していく一護。
「んっ、あ、多いね」
ぺろぺろ、ちゅうちゅうと周りを舐め清めていく。
「夜まで保つ?」
「ああ、多分な」
「良かった、後は夜ね」
ちゅ、ちゅ、と口付け合う二人。

 昼間に白の所に行くと断って遊びに行くと、
「おい、一護お前まだ収まってねえのか?」
と訊かれた。
「あ、うん。我慢してるんだー」
「はん?あんなもん満月の次の日にでもヤりゃ済む話だろうが」
「んーとね、剣八の誕生日までは頑張る」
「ああ、なるほどな・・・」
双子ゆえか一護が何を言いたいのか汲み取った白が、
「ちょっと待ってろ」
と席を立つと部屋に消えた。
「なんだろ?」
と待っていると手に何か持っている。
「ほれ、これやるよ」
と手に持っていたのは小さな丸薬。
「なあに?これ」
「春水が使ってる精力剤だよ。やる」
「剣八に?」
「あほ!アイツにやったらお前が壊れるわ!・・・ちげーよ、お前が飲むんだよ。そんだけ溜まってたら激しいだろうし、お前も発情期で収まんねえだろ?」
「あ、そっか!ありがとう!にぃに!」
懐紙に包まれたそれを大事そうに懐に仕舞うとお礼を言い、帰って行った。

 そして11月19日。
昼間から道場で宴会が開かれ、学院に行っている子供達からはお祝いの手紙が届いた。
「残念っすね、今日ぐらい帰って来れたらよかったのに」
「もうひと月もすりゃ帰ってくんだろうがよ」
と子供達の手紙に目を通す剣八。その胡坐の中で一緒に読んでいる一護。
「わあ!朔は鬼道と白打が上達したんだって!」
「十六夜は剣と鬼道が上達したみてえだな」
「グリは?勉強より白打の方が楽しいってさ!」
「ノイは?」
「ノイはね〜。剣が良いって!きっと帰って来る頃にはもっと大きくなってるね!」
と喜びあっていると、幾望がやって来た。
「かか様!とと様!」
「幾望!とと様にプレゼント?」
「うん!誕生日おめでとう!とと様!」
と差し出したのは小さな箱。中に入っていたのは十一個の鈴だった。
「へえ、良いモンくれたな。ありがとよ、幾望」
わっしゃわっしゃと髪を撫でてやる剣八。
「えへへへへ〜っ!」
と嬉しそうに笑う幾望。
夜半まで続いた宴会も終わりを迎え、一緒に風呂に入る剣八と一護。
「じゃ、俺先に部屋に居るね」
と一足先に部屋に戻ると白から貰った丸薬を飲み、頭に赤いリボンを結んで剣八が来るのを待った。


中編へ続く



13/03/29作 182作目です。去年から書いて放置してました。次はエロなんですが書けるかな・・・?




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