題「人魚の嫁入り」2 | |
岩場に居る剣八をやちるが見つけた。 「剣ちゃん見ーっけ!」 「隊長!大丈夫っすか!」 「風邪を引いてしまう前に宿に帰りましょう」 と剣八の無事を喜び、宿へと戻って行った一行。 討伐も済み、すぐに帰るのかと思っていると、 「もう暫く此処に居る」 と海水に濡れた死覇装を洗濯に出し、風呂から上がった剣八が言う。 「なんでです?虚はもう倒したのに」 「何でも良いだろうが。期日ギリギリまでだ。文句言うな」 「はあ」 「あたしは良いよ〜!お魚とか貝とか採って遊びたい!」 やちるは大はしゃぎだ。 「何だろうね?」 「さあ・・・?」 「初めて人間と喋っちゃった・・・!」 一護はクルン、クルン、と回りながらはしゃいで泳いでは浮かれていた。 「あ、でもハリベルとかには言えないな。怒られちゃう」 秘密秘密、と嬉しそうに笑っている。 「どうした一護?えらく御機嫌だな」 「え〜?何でもな〜いよ!」 「そうか」 と優しく笑って髪を撫でてやった。 深夜になり、海岸へと出掛ける一護。 昼間の岩場で歌を歌って剣八が出て来てくれるのを待つ。約束なんてしていない。出て来てくれれば話が出来る。 自分の知らない陸の話が聞きたい。 一護が歌い始めて数分後。 岩場に現れた人影に一旦隠れる一護。その正体を見極めて声を掛けた。 「剣八」 「やっぱお前か、夜行性か?お前」 「違うよ、剣八とお話がしたかったんだ。色々聞かせてくれよ、お前の住んでる世界はどんなのだ?」 「そうだな、歌の礼に話してやるよ」 その晩から仲良くなり、毎晩のように逢っては話をする二人。 「お前って昼より夜の髪型の方がカッコイイな」 「そうか?」 「うん。なあ今日はどんな話を聞かせてくれるんだ?」 頬杖を付いて期待に目を輝かせて見上げる一護。 「そうだな・・・」 と話を始める剣八。 逢って話をする度に惹かれていくのが分かる・・・。 俺は剣八が好きだ。下から見上げる顔の角度も、顔に残る傷跡も、唇の上を走る傷も全部好きだ。 心地良い低音美声を聞きながら一護はうっとりと呟いた。 「剣八・・・」 「あん?」 話の途中で呼ばれた剣八が一護を見遣る。 「俺、剣八が好きだ・・・」 と目を潤ませながら告げた一護。 「あ、ああ・・・」 「また明日な!」 返事を聞かずに海に帰る一護を呆然と見送る剣八。 好き・・・?アイツ好きつったか?今・・・。 頭の中で反芻する剣八。 「面白ぇ。人の返事も聞かねえで帰りやがって・・・。明日聞かせてやるよ」 と笑いながら宿へと帰った剣八。 海の中では、熱くなった顔を冷ます様に泳ぐ一護が居た。 気持ちを言ってしまった事が恥ずかしかったが、心がウキウキと静まらなかった。 「どうした?一護、顔が赤いが熱でもあるのか?」 「あ、ハリベル。何でもないよ、散歩に行って全力で泳いでただけ」 「そうか?なら良いが、藍染様からの手紙だが・・・」 その名前を聞くと途端に気分が急降下した。 「ああ・・・。なんだって〜?」 「近日中にこちらへ来るそうだ。その時にでも返事を貰いたいと」 「始めから断ってんじゃん!知らないよ!もうっ!」 さっきまでの良い気分はどこへやら。 「そう言うな。お前の幸せの為だ。延いては一族の為にもなるだろう?」 「幸せって、俺の幸せは俺が決めるんじゃないの?俺はそいつに会ったことも無いのに・・・」 「一護・・・」 「もう寝る・・・」 幸せ、幸せ、俺の幸せ。 俺は今でも幸せだ。これ以上の何を望むんだ? ハリベルも、かしまし娘も居るのに。 あぁでも、剣八に傍に居てほしいな。 「今日も良い夢見れると良いな・・・」 見たことも無い陸の話を聞いた夜は不思議な夢を見る。 行ったことも無い風景や、森の夢・・・。 「ああ・・・。俺も行きたい・・・。森はどんな匂いがするんだろう・・・。隣りに剣八は居てくれるかな・・・?」 おやすみ、と呟いて眠った一護。 翌日の夜、剣八の話を聞いている一護の様子がいつもより沈んでいる事に気付いた。 「なんだ、辛気臭え顔して・・・。何かあったのか?」 「剣八・・・。ん、あのな、俺・・・実は求婚されてんだ・・・」 「・・・ほぉ・・・」 「でも、そいつと逢ったこともねえんだ・・・。知らない奴と結婚しろって言われても、しかも男なんだ」 「男?お前、女じゃねえよな?」 「俺も男だよ!ちゃんと付いてんだろ!・・・皆は俺の幸せの為にも受けろって言うんだ。でも俺の幸せは俺にしか分かんないんじゃねえかな・・・?」 「そうだな・・・。何が幸せなんて本人しか分からねえな」 「だよな!俺は剣八が好きで、ずっと居たい。けどそれは無理なんだよな・・・」 ぱちゃん!と尾ひれで水面を叩く一護。 「俺は海、お前は陸(おか)で暮らすしかないんだ。でも、俺はお前に会えて嬉しいし、幸せだ」 「俺もだ。なぁ、一護、お前昨日の返事聞かずに帰ったな」 「あ?うん・・・」 「俺もお前が好きだぜ。初めて見た時からな。ほれ、コレやる」 と差し出された物は、二つの鈴だった。 「あ、すず・・・」 「こっちは髪に付けろ。これは・・・」 「ひゃあ!」 ぐいっ!と抱き上げると一護の尾ひれの付け根にそれを括りつけた。 「赤い、なにこれ?」 「組紐だ、良い色だったんでな。お前の鱗に合うだろ?」 「うん!うれしい!綺麗だなぁ」 ちりん、ちりん、と鳴る鈴に喜ぶ一護。 「可愛い音・・・。欲しかったんだ、これ。今まで貰った贈り物より一番嬉しい!」 やっと笑った一護の顎を優しく掴んで上向かせると、ちゅ、と口付けた。 「ん、なに?」 触れた所からジンジンと痺れる様な感じがする。 「口付けつってな、好きなもん同士でやるんだよ」 「ふうん。ね、も一回」 「ああ」 今度は深く口付けた。 「ん、んん、う、ん、ん」 上手く息が出来なくて苦しかったが、剣八の熱い舌が自分の冷たい舌に絡み付いてくるのが気持ち良くて、目の前の体に縋ってしまった。 「ん、んく、ん、ちゅ、は・・・」 混ざり合ったお互いの唾液を飲み干すと、漸く解放された。 「あ、あ、はあ、はあ・・・」 吸われ過ぎて、ぽってりと赤くなった一護の唇を啄ばむ様に吸うと、ピク!ピク!と跳ねた。 「くく、初心な反応だな・・・」 「だって、口なんて吸われたの初めてだもん・・・」 「そうか、じゃあこっちはどうだ・・・?」 と緩やかに頭を擡げている一護の中心に指を這わせた。 「あ!ああ!や、だ!触っちゃ、だめ!」 剣八の膝の上に座らされて、逃げる事も出来ない一護。 「怖がんなよ、痛くねえからよ。気持ち良いだけだ、こんなままで帰れねえだろ・・・?」 「あ・・・」 見てみるともうすっかり勃ちあがっていた。 「な、なんで?こんなになってるの?あ、あ、変な感じ・・・!」 「お前が大人になってる証拠だ。一護・・・」 剣八が寝巻きを脱いで、岩場に敷き、その上に一護を寝かせた。 「あ、なにするの?」 「こうするんだ・・・」 剣八はぱくりと一護の中心を口に含んだ。 「んああ!あっ!熱い!剣八のお口熱いよぉ!」 「お前のココも熱くなってきてるぜ」 下から上に舐め上げ、先端を舌で攻める。 「や!やあん!痺れる、よぉ!どうしよう、お腹痺れてる・・・!」 先端に舌を捻じ込む度に、こぷこぷと溢れる蜜をじゅっ!と音を立てて吸い取った。 「ああ!あ!いや、何かでる!あ!だめ!離して!漏れちゃう!」 「あ・・・?」 剣八の頭をグイグイ離そうとする一護。 「だから!おしっこ漏れちゃうの!離してってば!」 「・・・お前・・・、もしかしてココ弄った事ねえのか」 「無いよ!なんでこんなに固くなってるの?お腹痺れて力入んないし・・・ああっ!」 キュッ!と握られて声をあげる一護。 「小便じゃねえ。良いから俺に任せてろ」 「え?ああ!」 再び始まった口淫に一護は身を震わせるしか出来なかった。 「あ!あ!で、出る!剣!八!」 ちり!ちり!ちりん!ちりんッ! と鈴の音が響く中、一際大きく鈴が鳴った。 ちりりんッ!! ドクン!と一護が剣八の口の中に吐精した。それを零さず飲み干した剣八。 「あ、はあ、はあ、はあ・・・、ん、は・・・」 「気持ち良かっただろ・・・?」 「ん・・・、真っ白になった・・・。剣八、口の端に白いの付いてるよ・・・?」 「ああ、お前の出したやつだな」 「ふうん・・・」 つい、と拭うとぺろりと舐めた。 「うえ、まず・・・」 「そうか?俺にゃ美味かったがな」 「なんで?不味いの好きなのか?」 「ばーか、ちげえよ。お前のだからに決まってんだろうが」 と笑いながら一護の髪を梳いてやる。髪に付けた鈴が、ちりんと鳴った。 「あ、もう帰らなきゃ。また明日、逢えるか?」 「ああ、もちろんだ」 だが、剣八が護廷に帰る日は近づいていた。 第3話へ続く 11/03/01作 剣八と思いが通じた一護。初めてで口って剣ちゃん・・・。 さて次は御大の登場です。 |
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