題「結晶」7 | |
宴会の翌日。 気持ち良く目が覚めた一護は起きたと同時に空腹を覚えた。 「腹減ったなぁ・・・」 その声に隣で寝ていた剣八も起きた。 「起きたのか・・・」 「あ、おはよう剣八。うん、ご飯どうしようか」 「もうそろそろだろ・・・」 と欠伸をしながら答える。 一先ず顔を洗っていると、弓親が起きていた。 「おはようございます。隊長、一護君」 「おう」 「おはよ〜、弓親」 「良く眠れたかい?」 「うん。腹減った」 「ふふ!もう用意出来てるよ。部屋に持って行くかい?」 「どうしようかな?おかわりしたいし・・・」 「じゃああっちで食えば良いじゃねえか」 「じゃ、そうする」 と食堂に行くとほとんどの隊士が二日酔いの顔をしていた。 「おっす!一護珍しいな。こっちで食うのか?」 「ん、おかわりするならこっちのが良いだろ?」 「そうだな・・・、くぁああ・・・!」 大きな欠伸をしながら伸びをする一角。 「は〜い!ご飯の用意出来たよ〜」 「サンキュ!弓親!」 出されたのは焼き鮭に味噌汁、ご飯に野菜の煮付けだった。 「美味そ〜!いただきま〜す!」 ぱくぱくと食べる一護。あっという間に一杯目のご飯が無くなった。 「おかわり〜!」 「はいはい」 二杯、三杯とおかわりする一護。 「悪阻はまだまだのようだね」 とにっこり笑っておかわりを渡す弓親。 「うん、まだみたいだな。なんか安定期まで続くらしいけどな〜」 「大変なんだねぇ」 「ん。御馳走様!美味しかった!」 「お粗末さま、はい」 と出されたのは冷たすぎない麦茶だった。 「ノンカフェインだからお腹の赤ちゃんにも安心だよ」 「サンキュー!」 嬉しそうにお茶を飲む一護。 「剣八、今日の仕事は?」 「いつも通りだ」 「書類?」 「ああ、今日は一緒に居るか?」 「良いのか?邪魔になるんじゃねえの?」 と言っていると一角が、 「構わねえよ。最近は書類も少ないからな」 と言った。 「ふうん。じゃあ一緒に居ようかな」 「そうしろ、一人じゃ暇だろう」 「ん・・・」 隊首室に行くと、なるほど嘗てないほどに片付いている。 「すげえな、いつもだったらそこら中に書類が散乱してるのに」 「まぁな、討伐の代わりだ」 「ふうん」 とソファに座ろうとした一護。 「こら、お前はこっちだろうが」 と剣八に引っ張られた。 「へ?」 ふわっと着地した所は隊首席に座った剣八の膝の上だった。 「お、おい・・・!」 慌てる一護に剣八は、 「安定期まで手が出せねえんだ。触らせとけ・・・」 と耳元で囁いた。 「あ・・・」 その言葉に薄らと頬を染める一護は大人しくそのまま剣八の膝に納まった。 「いい子だな・・・」 そのまま仕事を始める剣八。まるで気にしていない隊士達。やちるでさえ何も言わなかった。 パサ・・・、パサ・・・、さらさら、さらさらと書類の擦れる音と筆の流れる音。隊士に指示を出す弓親や一角の声。 時計を見るともうすぐ11時になる所だった。 「あ、あの剣八」 「ん?」 「お茶、淹れて来ようか?」 「ああ、そうだな。頼む」 「うん」 剣八の膝から降りると給湯室へと向かった一護。 剣八は若干痺れた足を伸ばしては背筋も伸ばした。背骨がボキボキと音を立てていた。 少しして一護が隊首室に居る隊士全員分と自分達のお茶を持って帰って来た。 「ただいま。お茶とお菓子持ってきたから休憩な」 「ありがとう、一護君」 「気が利くな」 二つの湯飲みを乗せたお盆を持って剣八の所へ帰る一護。 「はい、剣八。お茶」 「おう」 ちょこん、と剣八の膝に座る一護の湯飲みには何やら白い物が入っていた。甘い匂いのするそれに剣八が、 「なんだ、お前は茶じゃないのか。何飲んでんだ?」 と聞けば、 「ん?ホットミルク。赤ちゃんの為にな」 と幸せそうに笑って答えた。その答えに、 「そうか・・・」 と剣八も満足げに呟いた。 この日から一護は仕事場に来るようになった。 第8話へ続く 11/2/5作 どこでもナチュラルにイチャつく様になった剣八と一護。ある意味進化? |
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