題「恋する人形」4 | |
翌朝、一護は早朝5時に起きて身支度を整えた。 普通は通常業務は8時か9時に始まるので、それまでに隊舎に着いていればいいのだが・・・。 「さて、片付けますか」 案の定と言うか、昨日の宴会の後、そのままの道場を片付ける一護。 空になった酒樽や酒瓶、食器や寿司桶などを集めては隊舎の台所に置いた。 道場の床掃除を済ますと、台所に戻り、先ずはそこの片付けと掃除を始めた。 「ふう!結構な量ですね・・・。でもこれを片さないと・・・」 汚れた食器を全て洗い終わると、竈を整備していった。 「よし!これで使える!」 冷飯を洗い、野菜を細かく切っていく。 「次は、野菜か・・・」 と切っておいた野菜をどざっと鍋に入れた。塩とダシで味付けし、弱火にしてクツクツ煮込んでいった。 煮込んでいる間に食堂の掃除を始めた。 「結構使われるんですね・・・。綺麗にしなきゃ」 床を掃き、食卓を綺麗に拭いて終わった。 台所へ戻り、手を洗うと鍋を見た。程よく煮えている所へご飯を入れた。 良い匂いが隊舎中に漂い始め、醤油で味を調え最後に溶き卵を入れて完成した。 「ん〜、これで良い・・かな?」 と竈の火を消して鍋を置く。 「よいしょっと!重いな」 鍋を食堂に持って行く。 「ふうっ!これでよし!後は皆さん食べて下さいますかね?」 「おはよう!一護君!美味しそうな匂いだねぇ」 「おはようございます、綾瀬川様」 「何か作ってくれたのかい?」 「あ、はい。雑炊を・・・。皆さん今日は軽い物の方が良いと思いまして・・・」 「そう、ってあの台所で?」 「?はい」 二人で台所に行く。 「う、わあ〜!綺麗になったね〜」 と驚いていた。 「さっきの食堂もだけど、もしかして一護君が?綺麗にしてくれたのかい?」 「はい、俺は看護士ですから、隊士の皆さんの健康管理も仕事の内です。それにはまず、清潔な衣食住と教わりましたので」 「ありがとう。隊長達起こして来るね!」 と皆を起こしに行った弓親。 すぐに戻ってきて、 「運ぶの手伝うよ!」 と全員分の雑炊を二つの大きな鍋で作った一護の手伝いに弓親と一角が現れた。と言っても先に一つ運んだ後だったが。 「っあ〜・・・ダリ〜」 「大丈夫ですか?斑目様」 「おお、後で薬くれよ一護・・・」 「はい!」 元気良く返事する一護だった。 食堂へ行くと既に全員が揃っていた。皆が皆、二日酔いの様でひどい顔色だった。 「おっはよう!いっちー!」 元気よく飛びついて来たやちる。 「おはようございます、草鹿様」 「美味しそうな匂い〜!今日の朝ごはんなに〜?」 「雑炊です、お口に合うとよろしいのですが・・・」 「それだけ?あたしもうちょっとおかず欲しいな〜」 「そうですね、綾瀬川様も二日酔いでは無いですし・・・。卵焼きでもよろしいですか?」 「うん!甘くしてね!いっちー!」 「はい。綾瀬川様は?」 「僕は普通ので」 「では少々お待ち下さいね」 と台所に消えた一護。その後に付いて行くやちる。 「ふふ、可愛いなぁ」 と和んでいた弓親。 「ねーねー、剣ちゃんの分も作った方が良いと思うよ」 「そうですか?では3人分で良いですね」 最初にやちるの分を焼き、次いで二人の分を焼いた。 「わぁ〜!美味しそう!早く行こ!」 「はい」 食堂に行くと全員が揃っていた。 「おう、遅かったな」 「更木様おはようございます。お待たせして申し訳ありません」 ことり、と皿を前に置くと挨拶をした。 給仕は各々が勝手にやっている。 「くあ〜!胃に染みるぜぇ〜」 「重くなくていいよね」 と言いながら一角と弓親が食べている。 「いっちー卵焼き美味しいよ!」 「ありがとうございます」 「ね!剣ちゃんもそう思うよね!」 「ああ?悪かねえよ」 「素直じゃないですね」 「うっせえよ」 「良かったです。昼食はどのように?」 「ほっとけ。てめえらで食いに行くなりすんだろ」 「分かりました」 「ねえねえ、お昼はあたしと一緒に食べよー?」 「良いですよ。楽しみにしていますね」 と和やかに食事を済ませ、仕事に移る隊士たち。全員が一護に二日酔いの薬をもらっていた。 午前の書類仕事は皆がだらけて思う様に進まないので、剣八がイラついて、 「酒ぐらいとっとと抜いてこい!全員で稽古してきやがれ!」 と叩き出した。 「よろしいのですか?」 一護が隣りに居た弓親に尋ねると、 「良いの良いの、いつもの事だよ。それより悪いけど一護君にも手伝ってもらえると嬉しいんだけど・・・」 「俺に出来る事があるのでしたら喜んで」 と書類整理と作成を手伝って行く一護。隊長印が要る物と要らない物に分け、すぐに処分しないといけない物をすぐに仕分けた。 「すごいね・・・」 と弓親。 「ありがとうございます。あ、少し道場を覗いてきます」 「怪我人が居ないか?頼むね」 「では行ってきます」 そう言って一護は愛用の救急箱を持って道場に向かった。 「気になりますか?隊長」 と弓親が訊けば、 「は!知るか」 と答え、判子を押していく剣八。 (その割には判子を押す早さがすごいんですけど・・・) 剣八は書類を片付けると、 「出掛けてくらぁ」 と隊首室を出て行った。向かう先は道場だと弓親も一角も分かっていた。 「行ってらっしゃいませ」 と送りだした。 第5話へ続く 10/06/18作 朝ごはんの用意と仕事のお手伝い。雑炊じゃ剣八とやちるはすぐにお腹空きそうですね。 次は一護のお仕事風景です。 |
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