題「月食」6
 京楽邸。
「いや〜、やっぱり剣八さんも我慢出来なかったんだねえ〜」
とにやけながら食後に酒を飲んでいると、白が立って出て行くと手に何かを持って戻って来た。
「ん・・・」
コトッと膳に置いた。蓋つきの入れ物だった。確か一護の所で持っていたなと思い出していた。
「なあにこれ?」
と首を傾げて聞いた京楽。
「ん!」
グイ!と押し付けるので蓋を開けると、酒の肴であろうホタテの山葵和えが入っていた。
「白?もしかして、き、君が作ってくれたのかい?!」
「お、おかしいかよ・・・」
照れたようにぶっきらぼうに言うとぷいっと横を向いてしまった。
「食べても良いかい?」
「そのために作ったんだよ」
そんな様子に笑みを浮かべながら箸を付ける京楽。
ドキドキしながらその様子を見ている白。
「ん!美味しいねぇ!」
「ほんとか!」
「うん、白も食べる?」
「う、うん」
「じゃこっちおいで」
と白を膝の上に抱いた。
「わ、ちょ!おい!」
「もう朝月は寝てるよ」
渋々大人しくなる白。
「はい、あ〜んv」
「あ〜」
と二人で晩酌を交わしていると、
「あ〜!とと様とかか様だけずるい!」
と朝月が起きて来た。
「おや、もうおねむの時間じゃないのかな?朝月」
「厠に行くのに起きたら声がしたからこっちに来たの!」
二人の隣に来ると、
「何食べてるの?」
と器を覗きこんだ。
「ん?かか様が作ってくれたお酒のおつまみだよ」
「かか様が!あたしも食べたい!」
「え?良いけど、辛いよ?」
「大丈夫!」
ホントに大丈夫かなぁと思いながらも食べさせてやった。
「はい、あ〜ん」
「あ〜ん」
と一口食べると次第に涙目になっていった朝月。
「からぁい!なんでこんなの食べれるの〜!」
白が朝月に湯ざましを飲ませた。
「大人だからねぇ。大人の味なんだよ」
とまた一口食べる京楽。
「う〜、とと様ずるい!」
「んん〜?しょうがないなぁ、今から違うの用意してあげるから待っててね」
と白を膝から下ろしてどこかへ行った。
「とと様どこ行ったの?」
「さあな、待ってりゃ帰ってくんだろ」
と朝月の頭を撫でる白。

「お待たせ〜」
と何やら大きな物を抱えて帰って来た。
「なんだそれ?」
「これかい?コンロだよ、中に炭が入っててね、火を熾して物を焼くんだ〜」
と炭に火を熾し、カンカンに熱くなるまでにまた出ていった。
「すごいねぇ、かか様」
「ん」
戻って来た京楽は板の他に何やら持っていた。
「やあ、丁度いいねえ」
とコンロの上に板を乗せた。
「なんだ、その板?」
「杉の板だよ、今からこの上で鯛を焼くんだ〜」
と薄く切られた鯛の身を並べていった。
その間に小皿に醤油をいれた。
「朝月はわさびがまだダメだからこっちの醤油でね」
と自分達にはわさびも用意していた。
部屋に杉の良い香りが漂い、鯛の身の色が変わったところで、
「はい、朝月、食べてごらん」
と取ってやった。
「は〜い!」
醤油を少し付けて一口で食べた。
「〜!おいしい!」
「そりゃあ良かった、ハイ白」
と白にも食べさせる。
「あ」
と食べ、鼻孔を抜ける杉の香りと鯛の味に舌鼓を打った。
「美味い」
「良かったぁ、君達が喜んでくれて」
と顔を綻ばせながら酒を飲む京楽は白の作った肴を食べている。
「春水は良いのか?」
「僕には君の作ってくれたこれがあるからね!」
とにっこり笑った。

 京楽が酒を飲み終わる頃には鯛も残らず食べられ、朝月はまた夢の中へ入っていた。
「ふふ、可愛いねぇ」
「ああ・・・」
白が朝月を抱きあげ部屋に運んで行った。その間に京楽は片付けをした。

「おう、なんだよ、あんたが片付けたのか」
「うん、熱くて危ないからね」
「良かったのか?あの鯛、あんたが喰うのに買ったんじゃねえのか?」
「うん?僕が食べようと君達が食べようと同じだよ。美味しそうに食べてくれて嬉しかったよ」
と白を抱き寄せ、その額に口付けた。
「ん・・・」
「ね?今日は?いい?」
「もうそんなんなってんだから今更一緒だろ」
と言うと京楽の首に腕を絡ませ甘えてきた。
「しろ・・・?」
「腹ん中のガキが腹減ったってよ・・・」
「じゃあたくさんあげないとね・・・」
白を姫抱きに抱えると寝室へと向かった。

 蒲団へ優しく下ろすと髪を梳きながら着物を脱がせていった。
「ん・・、さむ・・・」
「もうそんな季節なんだねぇ・・・」
とその身体を抱き寄せた。はふ、と息を吐く白が、
「あんたが、春水がぬくめりゃ良いんだよ・・・」
「そうだねぇ・・・」
くすくすと笑いながら白の首筋に吸いつき赤い跡を付け、舌を這わせていった。
「あ・・・はぁ・・」
白の口から甘い吐息が零れ落ちる。
「お腹、少し目立ってきたねぇ」
と愛おしそうに撫でる京楽。
「んん・・・気持ちいい・・・あん!」
京楽が自分の尻尾で白の尻尾を絡め取った。
「く、くふん・・・しゅんすい・・・」
「白、白・・・」
ちゅ、ちゅ、と身体中に口付けを落とし、乳房の頂点にも吸いついた。
「ふあっ!あ!あ!」
ピクッピクッと白に背が撓った。白い茂みに指を這わすと既に十分過ぎるほどに潤っていた。
「ああ白、もう入れてもいい?」
「ん・・・こい、よ」
京楽は熱く滾っている自身を宛がうとゆっくりと奥まで這入っていった。
「あ、あぅ、熱い、しゅんすいの・・・」
「君の中はあったかいね・・・、安心するよ」
ときゅっと抱きしめた。
「う、動いて、春水・・・!」
「うん・・・」
くちゅくちゅと音が響いていつもより聞こえる耳に興奮する京楽。
「んあ、お、おっきくなったぁ・・・!」
はあ、はあ、息を乱し全身で感じている白を絶頂に導く京楽。
「あっ!あん!ンンッ!いい!イク!イク!春水!春水!ふあっ!ああっあーーッ!」
きゅっきゅうんと締め付ける中に全てを注ぎ込む京楽。
「ああん、熱いの来たぁ・・・」
「はあっ、まだイケる?」
「うん・・・」
この日も白の意識が途切れるまで続いた。

気絶した白を風呂に入れ、キレイにしてから一緒の蒲団で眠る京楽だった。

翌朝、お腹は膨らんでいた。
「早く生まれないかな〜」
と朝月が白のお腹に耳を当てていた。


第7話に続く。




09/12/02作 京楽夫妻でした。お腹の子はどんどん大きくなっていきます。




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