題「月食」5
 「お待たせ」
縁側で待っていた剣八の元に一護が盆に乗せた酒器と肴を持ってきた。
「おう、なんだ今日はいつもと違うな」
「うん、これも教えてもらったの。菊酒だって、はい」
「ん・・・」
赤い漆塗りの酒器から同じ材質の杯に酒を注がれ、飲み干すと仄かに菊の香が香った。
「で、肴は?」
「これはね、ホタテの山葵和えだよ。あ〜ん」
と箸で摘まんで剣八の口元へと持っていった。
「あ。・・美味いな」
「えへへ!良かった!コレね、にぃにに教えてあげたの」
「さっきのか?」
「うん、・・あ・・・」
剣八が尻尾で一護の尻尾を絡め取る。
「ん・・・、だめ、こんなとこじゃ・・・」
は・・・、と息を微かに乱しながらも窘めるがその顔の頬は上気し、目元は潤んでいた。
「まあ、この肴食ってからな」
と箸を付けては酒を飲んで行った。
「ね、お酒は気に入った?」
「そうだな、悪かねぇ」
「ふふ、良かった」
一護も剣八の尻尾に自分の尻尾を絡ませ、肩口に頭を乗せた。

酒の肴も粗方無くなり、一護が甘えるように顔を擦り付けると、
「くくっ!もう蒲団に行くか?」
と耳元に熱い呼気を流し込んだ。
「う・・ん」
更に赤くなった一護が片付けだし、剣八は先に寝室へと入った。

「お待たせ」
と一護が入ると剣八は蒲団の上で胡坐を掻いて座っていた。
「おう、早くこっち来いよ」
と手招く。
「ん・・・」
と手を差し出すと掴んで引き寄せた。
「冷てぇな、あっためてやる・・・」
「ん・・・剣八、今日、すごくいい匂いするね、なんでだろ・・?」
と呟きながら剣八の寝巻を脱がせていく一護。笑いながら好きにさせ自分も一護を脱がせていく。
「ん・・・剣八・・・」
と珍しく一護からキスをした。



「どうした・・?今日は積極的だな?飲み過ぎたか?」
くっくっと楽しそうに喉の奥で笑いながらも、片手は一護の腰に回されていた。
「あ・・ん・・、剣八、どうしよう・・・?剣八の匂い嗅いだら・・、身体熱いの、疼いちゃうの・・・」
キスをするよりも、その頬をぺろぺろ舐めている一護。
「くすぐってぇよ・・・」
くっ、と腰を引き寄せながら、尻尾を絡ませる。
「あぁ・・・、剣八・・・」
一護も剣八の腰に手を付き、首筋に顔を埋め舐めていった。
「ん、ん、剣八、剣八、いい匂いする・・・」
「くくっ、可愛いな一護」
するりと尻尾を撫であげる。
「ああん!」
剣八の鎖骨を甘噛みしていた一護が声を上げた。
「おい、これだけでもう濡れてんじゃねえか」
と一護の中心に指を伸ばす。くちゅ・・・、という濡れた音に、触れられた事に感じてびくり、と腰を震わせた。
「あ、あ、だってぇ、身体おかしいんだもん・・・、なんで?すごく感じちゃうよ・・・?」
一護の先端をくちゅくちゅと弄りながら、自身も一護からの匂いに興奮している事は黙っていた。
「あっ!あっ!だめ!そんな激しく!しちゃ!あん!剣八の身体触れない・・・!」
ふるふる、と震えながら、啄ばむ様なキスを降らせる一護。その一護の首の後ろを掴んで深い口付けをする剣八。
「ん、ふぅ、は、あ、んん、ちゅ、ちゅく、んん・・」
こくり、と喉を鳴らし互いの唾液を飲み干す一護。
「あまい・・・」
くちゅ、と音を立て離れると剣八が一護を押し倒した。
「あん!剣八・・・」
その細い首筋に噛みつき歯型を残す。そのまま縦に滑らせ、肩にも喰いつく。
「ああっん!んん・・・」
その跡を丁寧に舐め、鎖骨を噛み、吸いつき赤い跡を付ける。
「一護・・・一護・・・」
ちゅっちゅっと態と音をさせ、胸に吸いついていく剣八。そしてすでに硬くなっていた小粒に舌を這わせた。
「はあっ!剣八ぃ・・・!んや!噛んでぇ?あっ!あっ!いやいやっ!ねぇ、剣八ぃ」
とろり、と蕩けた目で強請るも剣八は、ゆるゆると舌を這わせては唇で食むというのを繰り返した。
「やあっん!いじわるぅ・・・!」
更に強請るように腰が揺れている。
「そんなに腰振ると滴が垂れるぞ・・・?」
と一護の下肢に目を落とす。そこはすでに蜜を溢れさせ、プルプルと震えながら何かを待っている。
「やっ!だってぇ、剣八がいじわるするんだもん・・・きゃっ!」
カリッと予告もなしに噛んでやると、ぴゅくぴゅくと白濁をまき散らした。
「あ・・・!はあ・・・!」
「こら、勝手にイクな」
「だって、我慢出来ない・・・」
ぺたんと耳を寝かせる一護が可愛く、もっといじめたくなった剣八。
「しょうがねえな・・・、ちっと鍛えてやるよ・・・」
と言うと顔を一護の中心に埋めた。
「あっ!や!だめ!あ!ああ!」
抵抗するより早く口に含まれた。
「ああ・・・!あ、剣八、だめ、汚いよ、出ちゃったのに・・・」
ふるっふるっと腹を震わせながら言うと、
「毎日やってんだろ、今さら言わせんな、汚くねえ」
「うう・・・、んあ!あ!あ!や!イ、く・・・!」
その時剣八が根元を押えて堰き止めた。
「うああ!なん!なんでぇ・・・?」
「我慢しろよ、鍛えてやってんだからよ」
「やだぁ・・・、イキたい、イキたいよぅ・・・」
剣八の頭を押え、腰を振る一護に苦笑しながら解放はさせてやらなかった。
その間も先端からは先走りがてらてらと溢れては剣八の手を自身を濡らしていった。

丹念に、丹念に舐めて、袋も舐めては優しく揉んだ。
「ひいっん!もう!もう!」
何度も絶頂の波は来てるのに、悉く堰きとめられその欲望は内で燻ぶった。
「おねが!お願い!もうイかせて!壊れちゃうよぅ!」
「しょうがねえな・・・」
と戒めを解き、喉奥深くに含むときつく吸い上げた。
「ああん!きゃひいンッ!」
獣じみた声を上げ、達した一護。その余韻に浸ろうとするが更に吸い上げようとする剣八に、
「やあ・・・、も!う出ないよぅ・・・」
くしゃくしゃと髪を掻き混ぜる。
漸く顔を上げると、一護の耳元で、ごくり、と喉を鳴らし出されたモノを嚥下した。
「ひん!ばかあ!またそんなことして!」
顔を真っ赤にする一護。
「お前だって俺の飲むじゃねえか」
「お!俺は良いの!好きでやってるん、だから・・・」
「俺もお前が好きでやってんだよ」
と真顔で言われて気絶しそうなくらい嬉しかった一護。
「さて、お次はこっちだな」
と誘うようにヒクついている蕾をちょん!と指で突いた。
「あん!け、剣八?」
身体を起こそうとする一護より先に、そこに舌を這わせる剣八。
「やあっん!だめ!だめ!それダメェ!」
「なんでだよ・・・」
動かす舌は止めずに聞いて来た。
「だっ、て、は、恥ずかしい、よ。舐められただけで、その、イッチャうし・・・」
くちゅくちゅと音を立てては、中を抉るように舌を差し込んだ。
「いああ!あ!あ!もう、だめ・・・」
つと、そこから離れた剣八。
「あ、はあ、はあ・・・剣八、剣八のも・・・」
と一護が剣八の中心に顔を埋めた。

びくり、びくりと脈動するソレに舌を這わせ、溢れるモノを啜り、飲み込んでいく。
「んく、ちゅ、ぴちゅ、んん、剣八・・・」
懸命に自分に奉仕する一護の頭を撫で、尻尾の付け根を摘まんでやった。
「きゃあん!」
「こら、出すな・・・」
「だって、あん!そこ触らないで・・・」
「しょうがねえな・・・」
と指を離すと、さらに奥の蕾に指を入れた。
「ひぃっん!剣八ぃ」
「くく、もうとろとろだな、早く中に入れてえよ、こっち来い・・・」
「うん・・・」
一護の身体を反転させると腰を持ち上げた。尻尾を高く持ち上げ待つ一護。
ヒクヒクと誘うそこに擦りつけながら、行燈の揺れる光で浮かびあがる一護の背は汗で光っていた。
その項から背骨に舌を這わせ、吸いついた。
「あ、あん、剣八?」
「甘えな、お前の身体は・・・」
首だけで後ろを振り向き、先を強請る一護が腰を擦り付けた。
「くくっ!可愛いな・・・」
一頻り背中を舐めると、一護が待ち望んでいるものを宛がいゆっくりと沈めていった。
ぐぷぷぷ、と貪欲に飲み込んでいく一護。
「んん、ああぁああん・・・!剣八ぃん!お、おっきいよぅ・・・、ああ!奥が、奥まで来てるぅ・・・」
「そんな締め付けんなよ、動けねえぞ?」
「やあん!動いてぇ?」
「くくっ!今日はいやに素直だな」
「だって、剣八の匂い嗅いだらこうなっちゃったんだもん・・・」
ぱふぱふと尻尾で剣八の胸を叩く一護。
「・・・動くぞ」
と言うとずるると引き抜くと一気に奥まで貫いた。
「あああ、ああンッ!あ、あ・・」
その一突きで吐精した一護。
「もうイッたのかよ、これからなのによ」
ぐちゅぐちゅと中を掻き混ぜ、奥を突く。
「はあんっ!ひん!いい!気持ち良いよぅ!あっ!あっ!剣八ぃ!剣八も出して!」
「一護・・・!クッ!」
どくん!と奥に熱を注ぎ込む剣八。
「んああ!熱い、もっとぉ・・・」
へなへなと顔から蒲団に突っ伏す一護。

はふっ、はふっと息を整える一護の身体を反転させ胡坐を掻いて中に納める。
「はあん!ふ、深ぁい・・!」
目の前の剣八の胸にしな垂れ掛かり、首に腕を絡ませる。
「ん、ん、剣八、キスちょうだい?」
一護の小さい顎を掴んで上を向かせると深い口付けを与えた。
「ん、くふうん、ん、ちゅ、あ、はぁ・・・」
剣八の腰に足を絡ませ、尻尾で背中を撫で始めた一護。
「擽ってえよ一護、ほれ・・・」
と同じように剣八も尻尾で一護の背中を撫でてやった。
「あぁ・・・、気持ちいい・・・、ん、大好き、剣八・・・」
もっともっと、と身体をくっ付ける一護を愛おしげに見つめつつ、腰を掴んで持ち上げると、ズグッ!と奥まで突いた。
「やあぁん!」
「やだじゃねえよ、まだ終わんねえぞ」
汗ばむ身体を擦りつけ合い只管奥を目指し突いた。
「あっ!ああっ!やっ!ああっ!イッ!イク!イクゥ!うあああん!ああっあーーっ!!」
達した一護の締め付けで中に出した剣八。お互い抱きしめ合っていた。
「あ、ああ、剣八・・・、好き・・・、あいしてる・・・」
そんな甘い声音で耳元で囁かれて剣八は一護の中で大きさと硬さを取り戻した。
「ふあ!ああ!おっきくなったぁ!」
「テメェがそんなこと言うからだ!」
と押し倒した。
「も、もう無理だよぉ・・・」
「そうでもねえだろ?」
ゆるゆると前立腺を刺激すると一護の中心も上を向きだした。
「ばかぁ・・・」
耳をピコピコ揺らしながら頬を染める一護の腰を抱え上げ、最奥まで突く。
「ああッ!はッ!もっと奥にきたよぉ・・・」
一護の髪を梳きながら、
「イイだろ、もっと感じてろよ一護」
ねっとりと耳を舐め上げ、甘く噛んだ。
「ひンッ!あ?あああンッ!ダメ!ダメ!壊れちゃう!ああん!ひいん!お、おかしくなっちゃうよぅ!」
「はッ!なっちまえよ!もっと俺に狂っちまえ!」
「剣八!剣八!ひう!ああっ!ああっ!」
剣八が奥を突く度に濡れた音が部屋に響き一護の耳を犯した。

ぐちゅっぐちゅっ、ぷちゅっ!ぷちゃ!ぐしゅんッ!ぐじゅ!ぐじゅ!
「やああん!きゃああん!きゃううん!」
前立腺を抉る度一護の声が甲高くなり、締めつけも強くなる。
「くく、もうイクか?一護」
「ひん!やあ!やっ!変だよ、奥からなんか来る!あ、ああ・・・、あぁああぁああーーっ!!やあぁあー・・・っ!」
剣八に背中に爪を立て、痛いくらいに締め付け、背骨が折れるんじゃないかと思うほど背を撓らせた。
「んあ、あああ・・・、あ、あう、う・・・」
「一護、おい一護!」
ぺちぺちと頬を叩く剣八。
「どうした、おい、大丈夫か?」
「うあ・・・、剣八ぃ・・・、すごかった・・よぉ・・・」
ぴくっぴくっと痙攣する一護。
「一護、俺はまだイッテねえんだがよ・・・」
「ん・・・、きて・・・中に出して、いっぱい出して?」
「お前は・・・!」
「おれ・・・、さっき出してないから、出したい・・・」
「そういやそうだな」
と気を取り直して、腰を突き動かした。
「ひん!善い!ああ!イク!もうイクよお!」
「イケ!俺もイク!」
「うん!うん!イク!ああ!ああっあーーっ!!」
「くう!」
二人同時に達した。剣八は一護の中に、一護は自分の腹と顔に撒き散らした。
「んああ・・・、善い、剣八の、気持ちいい・・・」
うっとりと潤んだ目で呟くと意識を手放した。
「一護・・・」
剣八は一護の顔に掛かった精液を舐め取り、風呂に入れ、洗い清めると二人で新しい蒲団に入ると朝まで眠った。

翌日もまだ耳は健在だった。一護は、
「腰痛くて起きれない・・・」
と申し訳なさそうに言った。
「今日は一日寝てろ。俺もやり過ぎた」
と尻尾で包んで抱きしめ、仕事をさぼって一護の傍に居た。誰も邪魔には来なかった。

子供達は弓親が面倒を見ていた。食事も部屋の外に置くだけで、声を掛ける事もしなかった。
その日一日、剣八と一緒でご機嫌な一護だった。
「なんか久し振りだね、こんなの」
「ガキが出来て以来か・・・」
と一護の額にちゅ、とキスをしては甘やかした。


第6話へ続く。





09/11/28作 やってるだけ。分かりにくいですけど一護、ドライでイッてます。

漆塗りの酒器は、お屠蘇を入れる感じのやつです。蓋付き。江戸時代にもこういう飲み方されたそうですよ。
デパートの野菜売り場で食用菊があったら出来るかも。




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