題「月食」3
 京楽と白の場合。
「し〜ろ!お月見しよ?」
「月見?ああ、別に良いけどよ」
と先程から京楽が座っている縁側にやってきた。
ぴたり、と背中を抱き込んで白の耳元で、
「朝月は?もう寝たの?」
と囁いた。
「ん、ああ、布団で丸まって寝てるよ」
「そう・・・、良い子だね」
と白の髪を梳きながら、思いついたように、
「少し寒いね、ちょっと待っててね」
と奥の間に下がっていった。

 しばらくして戻った京楽の手に何かあった。
「なんだ?それ」
「ん〜?これ?君が貰ったねんねこ半纏だよ」
と答えると白の後ろに座って半纏を掛けてやった。
「これであったかいでしょ?」
ふかふかの半纏と後ろの京楽の体温に安心する白。
「ん・・・。ぬくい」

 そのうち月が欠けてきた。
「やあ、始まったね」
「ああ、そうだな」
どんどん暗くなる空を見て白が京楽の着物を握りしめた。
「白・・・」
半纏の中に手を入れ、お腹を撫でてやった。
「ん・・・」
「今日しなくても大丈夫なのかい?」
「一日位なら飯だけでいける・・・から駄目だぞ」
「でも・・・」
白と自分の身体の間で揺れ動く尻尾が誘っているようで可愛かった。
「僕は心配だな・・・。元気な赤ちゃん産んでほしいもの」
耳元で囁き、耳朶を軽く食んだ。
「あっ!ん・・・!馬鹿、やめろ」
「やだ、だって白、今日すごく感じやすいんだもん」
後ろから首筋に唇を這わせた。
「は・・、あ、や、だ・・」
もじもじと膝を擦り合わせる白。
「ねえ、お蒲団行こうか・・・」
「う・・勝手にしろ!」
「はあい!」
白を姫抱きにして寝室へと運ぶ京楽だった。

 とさっ!と蒲団に押し倒された白は、言葉では拒みながらもその瞳には情欲の火が灯っていた。
「そんな目で見ないでよ白。手加減出来無いじゃない」
「そ、んな目ってなんだよ、知らねえよ!」
「意地っ張り・・・」

 優しく着物を脱がせ、絹の様な肌を撫でさすっていく。
「ふ、あ・・・春水・・・」
「白、綺麗だね、君のその尻尾も耳もとても好きだよ・・・」
ふわふわと尻尾を撫でた。
「ひんッ!あ、あ・・・!」
跳ねあがる白の身体。
「かわいい・・・」
白の首筋にちゅ、ちゅ、と口付け、きゅうっと吸っては跡を付けた。
「あ、はぁ、あん!あ!あ!」
口付けはどんどん下肢へと向かっていった。
「ふあっ!やあ!」
その白い茂みに口付け、舌を這わせた。

 くちゅ・・・、くにゅくにゅ、くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゅ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅるるる。
「あああん!はああ!あっ!あう!あう!しゅ!春水!だめだ!もうきて!」
「ん?もういいの?」
「うん!うん!も!いいから!はやく・・・、きて・・?」
待ちきれないと腰をくねらせる白。その腰を掴んで、滾る自身を宛がい中へと押し入った。
「あぁ・・・熱い・・・、ん、ん、あ、春水・・・」
「ふっ・・・!ああ、君の中はとろとろだ・・・、ん、このままで居たいよ・・・」
「や・・ああ、動い、て・・・!」
なるべく霊力を高くして、回数を減らそうと考えていた京楽。
「ん、行くよ白」
奥に居るであろう胎児に気を使いながらも白を快感に持って行き追い詰める。
「ふあああん!イク!イク!しゅんすい!イクゥ!」
「うん!僕もイクよ!」
二人同時にイッた。
「くああ!んああっ!」
「くう!」
そこで意識を手放す白。白を抱きあげ、風呂へと連れて行きその身を洗い清め、一緒に眠った京楽だった。

 次の日の朝、京楽の枕もとでは、不機嫌な顔をして座っている白が居た。肩からは京楽の女物の着物を羽織っていた。



怒ったような顔で旦那である京楽を見下ろしている。
「ど、どうしたのかな?僕の奥さんは・・・。朝からご機嫌ナナメだね・・・」
「・・・春水、鏡見て来い・・・」
「何だい?急に」
「いいから行け・・・」
傍の鏡台を覗きこむと、そこには立派な耳と尻尾の生えた自分の顔があった。
「俺言ったよな?そうなるから、ダメだって!ええ?!おもっくそ耳も尻尾も生えてんじゃねえか!!」
「ええ〜、言われたけどさぁ、結局折れたの白だよ?」
「おま、お前があんな事・・言う、から・・・」
「あんな事って?なあに?」
「うう〜〜もう知らん!!」
「し〜ろ!ごめんごめん。意地悪しちゃったね。でも僕ねぇ今とっても嬉しいんだ・・・」
「なにが・・・」
「だって、一時とは言え、君と同じ姿になれたんだもの。君と朝月とおんなじなんだよ?すごい事じゃないか」
そう言って白を抱きしめると耳元で、
「ああ・・・、この想いをどうやって伝えよう?幸福で幸福で泣いてしまいそうだよ・・・」
「あほ・・・」
白は京楽の肩口に顔を押し当て呟いた。
「こっち向いて?白」
「やだ・・・」
「今の僕をたくさん見てよ、いつまでこの姿で居られるか分かんないんだから」
「ばか春水・・・」
紅くなって俯く白の顔を両手で包んで、触れるだけのキスをした。

 京楽の耳と尻尾は髪と同じ焦げ茶色だったが、先だけちょん!と白かった。その事に更に機嫌を良くした京楽だった。
「ほらほら!僕達おそろいだよ!白!」

 朝食の時、尻尾と耳の生えた父を見て、目を丸くした朝月。
「とと様がかか様と一緒になった!あたしとも一緒!」
「そうだよー、とと様も一緒になったんだよー。期間限定だけどねー」
尻尾で朝月をくるむ京楽。
「うきゃあ!かか様!かか様!すごい!すごい!おっきな尻尾です!立派な尻尾です!」
「良かったな、朝月・・・」
少し複雑だったが朝月が喜んでるなら良いかと思う事にした白だった。


第4話へ続く




09/11/12作 さて、お次は一護夫妻の様子です。
イラストの白は男の子ですが、皆さんの萌フィルターで女の子にしておくんなせえ!


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