題「ORANGE・TAIL」6
 隊首会が行われている部屋に連れて来られた一護は注目の的だった。
一護たちが来る前に粗方の説明がされていたのだろう。じろじろと見られて居心地が悪い一護。
「ね、ねぇ、なんでこんなに見られてるの?」
「さあな、ちっとの我慢だ」
「うん・・・」
剣八の隊長羽織りをきゅっと縋る様に掴む一護は剣八の後ろに隠れた。
「更木よ、その子供が件の・・・」
と総隊長が口を開いた。
「あ、おじいちゃんだ・・・」
小さく手を振る一護。
「本当にあの仔猫なのか?」
「ああ、何度もヒトになったり、猫に戻ったり繰り返すから十二番隊に連れてったんだよ」
「で、何故ヒトに?」
「こいつがそう望んだからだよ」
うんうんと頷く一護。
「お、俺!剣八と一緒に居たかったの!この姿だとお話できるし、ずっと居れるでしょ?」
「ふうむ、話はともかく、一緒に暮らすのには猫のままでも良かったのではないかのぉ?その様な噛み傷をつけられる事も無かろう?」
「これは、俺が、その、お願いしたから・・・」
もじもじと赤くなって俯いてしまった。
「おい、何が言いてぇんだ?じいさん」
「更木・・・。何だその口の聞き様は・・・」
隣りの狛村が窘める。
「ああ?コイツが自分で望んだことに口出しすんのは良いのかよ?」
険悪な二人を見ておろおろする一護。
「剣八・・・、だめ、けんか、だめなの・・・」
「喧嘩じゃねえ」
「更木よ、その姿を維持するのに、交接するというのは本当か?」
「ああ・・・」
「マユリさまが言ってたよ!」
「・・・一護は嫌ではないのか?」
「何が?剣八とする交尾のこと?嫌じゃないよ!ていうか剣八じゃないと嫌」
「ほう・・・、更木はどうじゃ?」
「いやじゃねえよ・・・」
「フン、獣同士丁度良いじゃないカネ」
「?剣八は人だよ?変な事言うね、マユリさま」
「しかし、何も知らん子供相手に・・・」
「うるせえな、ガキって姿か。元服する年頃だろうが・・・!」
周りからも、年幼く見える一護に同情が集まった。
「せめてもう少し待てなかったの?」
「年下が趣味とはな」
等と言われ、切れた。
「うるせえぞ!テメエら!これはこいつが望んで俺も承諾した事だ!とやかく言うんじゃねえ!」
「剣八・・・」
「だからと言ってだな!」
「やーー!やーー!ケンカやーなのーー!」
と一護が叫ぶなり、濃密な霊圧がそこを支配した。
「何でけんかするの?俺が猫の時はみんなやさしかったのに!ヒトになったらけんか始めた!嫌い嫌い!けんかするみんな嫌い!なんで!なんで!そんなに悪いの?俺は悪い子なの?」
「一護、お前は悪くねえ、落ち着け・・・」
「でも、みんな俺がヒトになったから怒ってるんでしょ?!俺が悪いんだ!一緒に居たいって、なりたいって思ったから!わあぁあ〜ん!あぁああん!わあぁあん!あぁあん!ひっく!ひっく!えっ!えっ!」
「満足かよ・・・、こんだけ泣かせてよ・・・」
「ごめんなさい・・・、ごめんなさい・・・、でも猫に戻る方法分かんないの・・・、ひっく、出て行くから、出て行くからぁ・・・、もうけんかしないでぇ・・・」
「お前が出ていくこたぁねえ!ここに居ろ!」
「そうです、一護君。貴方が悪いわけではありませんよ」
「剣八も?悪くないよ・・・」
涙に濡れ、真っ赤になった目で周りを見渡した。
「すまんかったのぅ、一護や。時にお主、親はおらんのか?心配しておるのではないのか?」
「かーちゃん死んだよ。怖いお化けに殺されたの」
「そうか・・・」
「かーちゃんは痩せっぽっちで俺も痩せっぽっち。あんまり狩りが上手くないからお乳もあんまり出なかったの。でも俺かーちゃんのお乳ばっかり吸ってた。何にも出なくてもかーちゃんの匂いがして安心できたし、温かかった。胸から聞こえる音も気持ち良かったよ。でも切られて口から血がたくさん出て、死んじゃった・・・」
みんな黙って聞いている。
「俺、かーちゃんの身体の下に潜り込んだの。まだぬくくて、胸の音もしてたけど、ゆっくりしなくなってどんどん冷たくなった・・・。そんで、固くなって、やらかくなったら、嫌な匂いになった、あんなに良い匂いだったのに・・・、なんで?かーちゃんどうなったの?」
「それは・・・」
「お前のかーちゃんは死んだ。死ねば腐る。それだけだ」
「更木!もっと言いようがあるだろう!」
「かーちゃん俺の前にも子供居たけど育たなかった。人間に取られたり、野犬に食われたって。おんなじ?」
「まあそんなもんだ」
「ふうん。俺は生きてるんだね・・・。かーちゃんが護ってくれた。でも俺が居なかったら生きてた?」
「お前のかーちゃんはお前になんて言ってたんだ?」
「んとね、俺に何かあったらかーちゃん生きていけないって言ってたよ・・・」
「それが答だろ。お前が大切だから護った。死んじまってもお前さえ生きてりゃあいいんだ。お前が幸せになりゃあな」
「・・・、しあわせってなに?見えるもの?良い匂いのするもの?美味しい?あったかい?触ると気持ち良い?」
「全部だよ・・・」
「じゃあ、俺しあわせなんだね。剣八居るもん」
良かったぁ、とにっこりと笑う一護に何も言えなくなったのはその場にいた全員。
「剣八が居れば俺は幸せ、剣八は?」
「ああ、幸せだよ・・・」
「えへへ、嬉しいな。ねぇお話終わった?おなか減ったよ?帰ろ?」
「ああ、そうだな。帰るぜ、じいさんよ」
「ああ、うむ・・・」
「ばいばい、おじいちゃん。また遊んでね」
「うむ・・・」

「今日のお昼何かなぁ?お箸の練習しなきゃ駄目かな?」
「ゆっくりでいい、飯喰ってデカくなれ」
「うん!ねえ剣八・・・」
「あん?」
「その、今日も?するの?」
潤んだ眼で見上げてくるその顔は蠱惑的にすら見えた。
「くく、したいのか?なら存分に可愛がってやるぜ?」
「うん・・・、たくさんしたい・・・」
「くっく・・・、ちゃんと夜まで待てよ・・・」
「ん・・・」
昼食も夕食も済み、夜になると一護と剣八は一緒に風呂に入り、寝室へと向かった。

「ほら来い、一護・・・」
「うん」
剣八の胡坐の中に納まると、一護は自分から剣八の唇を舐めた。
ぴちゃぴちゃと音が響く中、一護の寝巻きの袷に手を入れていく剣八。
「ん、あ、剣八の手、熱いね・・・」
はむはむと唇を食みだす一護に口付けを深くする剣八。
「ん、んぁ、んちゅ、ちゅ、くちゅ」
クリッと胸の飾りを摘まむと、
「んあ!」
と声を上げ口を離す一護。
「くく、昨日の跡も消えてねえな・・・」
と首筋の歯型に指を這わす。ふるるっと震える一護。

「あ、あ、剣八ぃ・・・」
「苦しいか?」
「ううん、大丈夫・・・、お腹の中あつい・・・」
ふ、ふ、と息を吐きながら剣八にしがみ付く一護。くちゅ・・・、と使ったジェルが音を立てた。
「全部、入ったぞ一護・・・」
「あ、あ、うん、うん、剣八ぃ・・・き、気持ちいいよぉ・・・」
「動くぞ、掴まってろ・・・!」
「う、うん、ひあ!」
グッ、グチュ!グチュッ!と奥を突かれる度にビリビリと頭まで快感が走り抜ける一護。
「やっ!やあぁん!んなあぁあん!」
ぴゅっ!ぴゅく!ぴゅくん!と吐精した一護。余韻に浸る間も無く揺り動かされた。
「ひっ!ひゃあん!ま、待っ・・剣八・・・」
「駄目だ、待たねえ!イクぞ一護・・・!」
「あ、ああ!んあぁああ!」
「く、う!」
同時に達した二人。
「はぁん・・・、奥に、熱いの、きたよ・・・」
「今日はここまでな・・・」
「うん・・・、ねぇ、これも、しあわせ?」
「うん?ああ、そうだな」
「おれ、しあわせ・・・」
と呟きながら眠った一護。その髪を数回梳き、風呂に入れてやった剣八だった。


第7話へ続く





09/08/30作 もうちょっと続きます。しやわせ一護でした。




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