題「かごめ、かごめ」後編 | |
四番隊へ行くと、銀色の腕輪の様な物を渡された。 「これが?」 「ええ、その眼帯と一緒に付ければかなり抑えられるはずです」 「おめえ、怒ってたんじゃねえのかよ・・・」 「怒っていますとも・・・、合意なしで女性を組み敷くなど言語道断です!」 「ぐう・・・!」 「ですが、彼女を救う事が出来るのは貴方だけの様ですから」 「どこにいんだよ、あいつは」 「乱菊さんに付いて行けば分かります・・・」 「つー訳だ、よろしく頼む・・・」 「あたしは良いですけど・・・」 と流魂街の外れにあるぼろぼろの屋敷に着いた。 「ここです」 「なんだよ・・・、ここ」 「一護が昔暮らしてたとこだそうです。行きますよ」 「おお・・・」 「一護、会いにきたわよ」 「乱菊・・さん・・・」 「一護・・・」 「なんで・・・?剣八が此処にいるの?」 「お前に会いたかったからだ!」 「ひ!」 「抑えて下さい。今の一護は傷付いてるんですから・・・!」 「ち!」 「ごめんなさい・・・」 「俺も悪かった・・・」 「あたし帰るわね」 「そんな、乱菊さん!」 「大丈夫よ・・・、一護」 「上がるぞ・・・」 「あ。どうぞ・・・」 中は意外にもキレイだった。 「へえ、外とは大違いだな・・」 「うん、わざとそうしてあるんだ・・・」 居間へと案内すると、 「お茶入れてくるね・・・」 と消えた。 「お待たせ・・・」 「お。おお」 沈黙が流れた。 「なぁ、一護・・・、なんでお前俺に妊娠の事言わなかったんだ?」 「・・・怖かったから・・・」 「何が?俺がか?」 「違う・・・、始めは嬉しかった・・・、でも後からすごく不安になった、もし、喜んでくれなかったら?要らないって言われたらって!」 「嬉しかった・・・?」 「ん、だって俺はお前が好きだったんだ・・・。あの晩はお前酒に酔ってたけど、俺もそれを利用したんだ・・・。次の日には忘れてるかも知れない、でもそれでも良かったんだ・・・。でもあんなに痛いなんて思わなくて・・・」 「悪かった・・・」 「それで、あの一回で子供が出来て、ホントはちゃんと言いに行こうと思ったんだ!でも途中で・・・」 「途中で何があった?一護!」 「酔っ払った死神に絡まれた。お前のこと悪く言われて、カッとなって腹・・・、蹴られたんだ・・・」 一護はお腹をさすった。 「血を吐いて倒れて、卯ノ花さんに流産したって言われた。俺のせいだ。俺は・・・、人殺しだ・・・」 「お前は悪くねえだろ!」 「ううん。もうここに宿ってたんだ、産みたかった。ねぇ、剣八。産んでも良かった?」 「当たり前だ!何言ってやがる!これからも産めよ!」 「でも、お前は俺の事・・・」 「好きだ!」 「え?」 「一護・・・、順番が逆になっちまったが、今ここで言う。俺はお前が好きだ。こんな感情今まで知らなかったんだ、誰にも感じなかった、お前が初めてだ。一護、愛してるんだ、戻って来てくれ・・・」 「あ・嘘・・・、そんな・・・」 「嘘なんかじゃねえ!確かに俺はひどい男だ・・・!でもお前だけなんだ、抱きたいんだ、抱き締めたいんだ、傍にいるだけで安らげるなんて、今までの俺じゃありえなかった!」 「本当に・・・?」 「ああ、一護、俺と一緒になってくれ」 「だって、あの嫌じゃない?邪魔じゃない?」 「ああ!お前だけだ!傍にいてくれよ・・・。頼むから・・・!」 「でも、まだ帰れない・・・、傷が・・・」 「ああ、分かってる。毎日俺がここに通う。ちゃんと制御装置付けてな!」 「・・・剣八!俺も、俺も剣八が好きなの!ずっと、ずっと好きだった!」 「だったじゃねえ。これからもだ」 「うん・・・!」 「今日は、帰る、明日また来るからよ」 「うん。またね」 その後、乱菊が訪れて、 「で、想いは通じたの?」 「うん・・・!」 「そう、良かった。これ無駄になるかと思ったわ」 「なに?」 「女物の着物よ。アンタってば普段着も地味なんだもの」 と広げられたのは、若草色の地に野の花が描かれた着物だった。 「そんな!こんなの似合わないよ!俺なんか・・・!」 「良いから!明日はこれを着て更木隊長に会いなさい!良いわね!」 「は、い・・・」 翌日、仕事が終わると早々に一護の屋敷へと向かう剣八。 「一護、入るぞ」 「あ、うん。えと、お帰り?」 あの着物を着ている。 「・・・・・・」 「あの、剣八?」 やっぱり変なのかな・・・?と思っているといきなり抱きつかれた。 「きゃ・・・」 「一護、可愛い格好だな・・・。さらっちまうぞ」 「どこに・・・?」 くすくす笑って返す一護。 「そうだな、お前を誰にも見られないとこならどこでも良いさ」 「それじゃあ、十一番隊に帰れないじゃない・・・」 「それもそうだな」 「やちるにも会いたいのに・・・」 「ああ・・・」 「ね、中に入ろう?」 「ん・・・」 「ご飯作ったけど、食べてきた?」 「いいや、すぐこっちに来た」 「良かった一緒に食べよう」 「ああ」 初めて一護の手料理を食べた剣八。 「お前、もう俺の嫁になれよ・・・」 「剣八が望むなら・・・」 「よし!お前の傷が治ったら婚礼だ!それまで俺はここに通うからな!」 「何言っても聞かないね・・・」 幸せそうに呟く一護。 「ねえ?アレってずっと痛いままなの?」 「アレ?」 「その・・・、えっち・・・」 「いや、慣れれば、気持ち良くなるだろ・・・、うん・・・」 「良かった・・・!」 「何がだ・・・?」 「俺、頑張るからさ、次の子はちゃんと産みたい・・・」 「そうだな・・・、慣れるまでの辛抱だからよ・・・」 「うん!たくさん欲しい!」 「良いけどよ、産むのお前だぞ・・・。産むのも痛えぞ・・・?」 「でも、剣八の子供産みたい」 「そうかよ、じゃあもう、ぽこぽこ産め!」 胡坐の中に一護を納め、ガシガシと頭を撫でる剣八。 心から幸せそうに笑う一護。 終 09/06/12作 第97作目でした。いかがですか?白雪さん。宜しければお持ち帰り下さい。白雪さんだけですよ。 その後へ続く |
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