題「鰻屋」前半
 現在一護は結構忙しかった。現役の学生であり死神代行。だからと言って学業をおろそかには出来ない。
そんな一護の前には期末テストという大きな壁が立ちはだかっていた。

「そんな訳だからよ、しばらくは泊まれねえんだ」
「俺が知るかよ、ココに来たら顔出せ」
「俺の進級が掛ってんだよ!それに顔見せるだけじゃ済まねえだろ!お前」
「分かってんじゃねえか・・・」
蒲団の中で交わされる二人の会話。
「何もずっとって訳じゃねえよ、今週、来週だけじゃねえか。俺だってお前が遠征で居ない時我慢してんだぜ?」
「・・・」
「それにテスト終わったら、休みに・・・、数日は休みになるからさ、あの、その・・・」
「なんだよ?」
「その間、泊まれるからさ・・・」
もじもじと照れている一護に根負けした剣八。
「わあったよ!そん代わり終わったらすぐ来いよ」
「終わったらな」
それが先週の事。

後、一週間か・・・。などと考えてテスト勉強に精を出す一護。時折代行の仕事もしている。

「もうひと踏ん張りかー」
「何がだ・・・」
急に声を掛けられて驚く一護。
「うわあ!って、剣八!なんでここに居るんだ?」
不機嫌そうな顔で窓から侵入する剣八。
「おい?まあいいや、勉強の邪魔すんなよ?」
大人しくベッドに座る剣八。じっと一護を見ている。
一護の視線はノートと教科書を行ったり来たりで剣八とは交わらない。
その横顔を見ていると、時折シャーペンで唇を触っていたり、唇を舐めたりしていた。
「おい一護」
「んー」
生返事が返ってきた。
「腹、減った」
「んー」
「聞いてんのかよ」
「ちょっと待てよ、これ済ませるからよ・・・」
カリカリと何事かを書き込んでいく一護が、
「だー!ここでつまづくか!辞書辞書!」
机の後ろの方にある本棚から英語の辞書を取ろうとしていた。
身体を仰け反らせ、捻って取っていた。その時ちらりと見えた肌が目に焼きついた。
「え〜と?ここは・・・」
「おい、それ何の勉強だよ?」
「英語」
「えいご?なんだそりゃ?」
「外国の言葉だよ・・・」
「ふうん、何か役に立つのかよ?」
「さあな、分かんねえよ」
「ふん?おい腹減った」
「あー、ちょっと待ってろ」
ノートを書き終わると一護は部屋から出ていった。

剣八はのそりと立ち上がり、一護のノートを覗き込んだ。
意味の分からない文字が羅列されてあるだけの紙にしか見えなかった。こんなモノに一護との逢瀬を邪魔されているのかと思うと腹立たしかった。階下から、
「おにーちゃん?何してるの?」
「遊子、夜食作ってんだよ」
「言ってくれればあたし作ったのに」
「良いよ、お前は家の用事全部やってくれてんだから。こんぐらい自分でやるよ」
「じゃあ、卵焼き作ってあげるね!」
「良いって」
「だって、お兄ちゃん今週いっぱいテストでしょ?大変じゃない!これくらいどってことないよ!」
「あんがとな、遊子」
そんな会話が聞こえてきた。
妹か?確か二人いると言ってたな・・・。
「はい!お兄ちゃん!」
「サンキュ!もう寝ろ、片付けは俺がやるから」
「うん、お休みお兄ちゃん。無理しないでね」
「おやすみ、遊子」
一護は自分で作ったおにぎりと、妹が作った卵焼きと、麦茶を持って部屋へと帰った。
「ワリいな、待たせた」
「別に・・・」
「ほら、おにぎり、喰えよ」
「おう」
いびつな形のおにぎり4つと卵焼き。1つ一護が食べた。
「食わねえの?」
「喰うよ・・・」
二つのコップに麦茶を注ぐ一護。
「ん、お茶」
「ん・・・」
もぐもぐと食べる剣八。
「卵焼き美味いか?」
と聞いてきたので、
「ああ、握り飯もな」
「へへ・・・」
と、笑い指に付いた飯粒を舐めて取っていた。
その仕草に目が釘付けになる剣八。
「一護・・・」
「ん?お茶か?」
「いや・・・、その勉強ってやついつ終わるんだ?」
「あー、今日はもう終わりかな。明日はさっきの英語と物理のテストだからな」
「ふ・・・ん・・・」
「で、お前何しにここに来たんだ?急用でも出来たか?」
「・・・そうでもあるし、そうでもねえ・・・」
「んだそりゃ?まあいいや、飯喰ったら帰れよ?やちるが心配すんぞ?」
そう言うと着替えを出して部屋を出ていく一護。
「どこ行く?」
「あん?風呂だよ、机に向いぱなしで肩が凝っちまった。じゃな」
パタンとドアを閉められた。部屋に取り残された剣八は残りのおにぎりと卵焼きを平らげた。

シャーッというシャワーの音が聞こえ出した。
髪を洗っているのだろうか?パシャパシャと音が聞こえはじめ剣八の我慢も限界に達した。

「ふぅっ!さっぱりした!後は湯に浸かって寝るか・・・」
身体を洗い終え湯に浸かる一護。
ガララ、と突然風呂の戸が開けられた。
誰だ、と振り返るとそこには剣八が居た。
「な、何やってんだ!お前」
「俺も入る」
「って、俺もう出るんだけど・・・」
「別に一緒に入ってりゃいいじゃねえか」
死覇装を脱いでずかずかと中に入ってくる。
「小せえ風呂だな・・・」
「悪かったな。俺は出る、俺が出りゃいくらかマシだろ」
出て行こうとする一護を捕まえる剣八。
「何すんだ・・・」
言い切る前に口付けられた。
「んっ!んん!んー!」
「んだよ・・・」
不機嫌な剣八に
「何だよ、じゃねえよ!お前こそ何考えてやがる!」
「夜中に騒いで、誰か来ても知らねえぞ・・・」
「あ!・・・ひ!」
剣八が一護の中心に手を伸ばした。
「テスト、あるって、言ったじゃねえか!じゃ、邪魔すんなよ!」
「してねえじゃねえか。ベンキョウは終わったんだろ?」
「テストは明日なんだよ!こんなコトしてる場合じゃねえよ!」
キュッと握る力を加えた。
「ひゃ!」
「言いながら溜まってんじゃねえか?もう勃ってんぜ・・・」
「あ、やめ・・・」
「やめねえ・・・」
くちゅくちゅ、と風呂場に淫らな音が響いた。
「ほれ、もうぐちゃぐちゃだ・・・」
「い、や・・・、剣八、だめ・・・お願い・・・」
「無理だ・・・、一護!」
「あっ!」
一護の先走りを掬って蕾へと指を這わす剣八。ぷつり、と指が侵入し性急に解されていく。
「あ、あ、あ!だ、だめぇ」
「駄目って、もう3本も指飲み込んで、グチュグチュじゃねえか、ここでやめていいのか?」
「あ、うう、でも・・・テスト・・・」
「テスト、テスト、うるせえよ!そんなに大事なもんかよ!」
言うなり、剣八は滾った自身を一護の中に入れた。
「え、あああ!」
ガクガク震える一護の悩ましい顔に抑えが効かない剣八。
「一護、一護!ああ、くそ!止まんねえ!」
「やああ!剣八!剣八!馬鹿ぁ、我慢してたのにぃ!」
「一護!」
「ふああ!ダメ!もう!イクゥ!」
「イッちまえ!俺もイク!」
「あぁ!クアアッ!」
「くう!」
ドクドクと久し振りに奥に剣八の熱を感じた一護。
「ああ・・・、剣八ぃ・・・」
と呟くと連日の疲れもあってか眠ってしまった。

剣八は一護の身体の処理を終え、着替えさせて部屋へと連れ居て行き、ベッドに寝かせた。
「う、ん、剣八?」
「起きたのか・・・」
「ばか・・・、一個でもテストの点数悪いと休みそっちのけで追試なんだよ・・・」
「・・・悪かったよ・・・」
「ふん・・・」
「一護・・・、機嫌直せや・・・、今度あっちでウナギでも食わせてやっからよ」
「うなぎ?ほんとか?」
「ああ、だからテストが終わったら・・・」
「すぐ行く!うなぎかぁ、うちじゃ土用の丑の日ぐらいしか喰わねえよ」
約束な!と嬉しそうな一護に子供だなと思った剣八。

テストが終わるまであと一週間。


後半へ続く



09/06/15作 第96作目です。一護は鰻屋の別の使い方を知りません。

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