題「新婚旅行」3 | |
京楽と白はまだ部屋にいた。 「ねー白、まだ見せてくれないの?水着。朝月もう海行っちゃったよー」 「うるっせえな、じゃあ入って来いよ」 「はーい!」 京楽が中に入ると、白は身体を白いパーカーで隠していた。 「何?意地悪しないでよ白」 「ふふ、日焼け止め・・・、塗ってくれよ・・・」 少し悪戯な笑みを浮かべて、日焼け止めを京楽に投げて渡した。 「白?」 手元から顔を上げるとそこには水着姿の白が居た。 「白・・・、綺麗だ・・・」 思わず息を飲んだ京楽を誘うように、寝そべると、 「早く、時間勿体ねえぞ・・・」 「うん、じゃ、じゃあ背中からね」 日焼け止めを塗っていく。 「ん・・・、冷た・・・」 「君はあったかいね・・・」 優しくまんべんなく塗り広げていった。 「白、足は?」 「ん、頼む・・・」 太腿の裏からふくらはぎを塗り終わり、白が仰向けになると、 「こっちも・・・」 「白・・・、どこまで塗るの・・・?」 「春水は・・、どこまで塗りたい・・・?」 白い指先で京楽の髭を触る白。 「さあ・・・、どこまでかな?」 白の肩や腹に日焼け止めを塗っていく。 「ん・・・」 「白・・・」 「あ、ん、ふぅ」 どちらからともなく口付けた二人。 口付けながらも日焼け止めを塗っていく京楽の手は太腿に伸びていた。 「ん、ふっ!はあ」 「足先まで塗っちゃおうね・・・」 と足の指先まで塗ると、水着の中に手を入れてきた。 「春水・・・、後でな・・・」 と京楽を止める白。 「白?そんなぁ〜」 「朝月が一人だろ?」 「後でっていつだい?夜?」 「ガキみてぇな事言ってんな・・・。早く海行くぞ」 「はあ〜い・・・」 ちょっと不貞腐れ気味の京楽と白が漸く浜辺に現れた。 「かか様!とと様!」 走ってくる朝月を受けとめた白が、 「ごめんな、遅くなって」 「ううん!かか様綺麗!髪飾りも似合ってる!」 「ありがと、とと様は何も言ってくれなかったけどな」 「う・・・キレイって言ったじゃない!」 「かか様!パラソル!みんなが立ててくれたの!こっちよ!」 「白、怒ってるの?」 「べっつにー?」 「気付かなかった訳じゃないよ。ただね、あんまり綺麗なんで言葉が出なかったんだよ」 「ふーん・・・」 サクサクと浜辺の砂を踏んで歩く白。パラソルの下に入ると、 「日焼け止め、腕に塗って無かったな・・・」 とポツリとこぼした。 「僕が塗るよ」 「ふん・・・」 その白い腕に日焼け止めを塗ってやる京楽。 「仲良いわねー、白のとこも、一護のとこも」 「いい事じゃないですか、夫婦円満が何よりですよ!」 「そっね!でもよく見とかないとね」 「何でですか?」 「この二組の夫婦は盛り上がるとね・・・。子供達はあたしらで見るようにしないとね」 「ああ、なるほど・・・」 くれぐれも気を付けようと他のメンバーは、ある意味 気を引き締めた。 一護が、バッグと幾望を抱いて、海の家の重國の所へ行くと清家も来ていた。 「あ、こんにちは!清家のおじいちゃんも来てたんだね!」 「こんにちは、若が行かれると言われましたので」 「ふうん、大変だねえ。あ、おじいちゃん、お言葉に甘えて幾望の事お願いします!」 ぺこり、と頭を下げる一護。 「えと、これがミルクとおむつが入ったバッグ。多分お腹が空いたら泣くと思うから、俺がやるね」 「気にするでない。今日は初めての海であろう?存分に楽しんでおいで」 「うん!ありがとう!」 床にバスタオルを敷いて、幾望を寝かせる。 「じゃ、後でね。おじいちゃんが居てくれるからね」 と頭を撫でて、剣八の元に戻った。 「んぷ〜、かあ」 「よしよし、今日はおじいちゃんと遊ぼうな〜。お主のかか様は今日はお休みじゃ」 「むう〜」 ちょっとむくれながらも納得したご様子の幾望。 「おい一護、幾望大丈夫なのか?」 「うん?何が?ミルクはさっき着いた時にあげておむつも替えたよ。だから後3時間は大丈夫だと思うけど」 「なら、いいけどよ、今日は暑いからな。水とかよく飲むんじゃねえのか」 「あ、そっか、じゃあ気をつけとこ」 と言っている内に幾望が泣き出した。 「ホレ、行くか」 「うん」 「うぅああん!あぁああん!あああん!」 「おお、おお、どうした?幾望?」 「やああー!あああん!」 「総隊長殿、わたくしめが代わりましょうか?」 「いいや、一護より預かったのは儂じゃ、何よりあの子は儂の孫のようなもの」 「いえいえ、それより私は若のお守りでなれております故」 等と、じいじsが不毛な争いをしていると、 「どうしたの?おじいちゃん達」 一護が傍に立っていた。 「ガキが泣いてんのに、喧嘩してんなよ」 「むう」 「よしよしどうした?幾望。んー?喉渇いたのか?」 「まあー」 ひっく、ひっくと泣きながら一護を離さない幾望。 「ほれ、麦茶買って来たぞ」 「ありがと、剣八」 程よく冷えた麦茶を哺乳瓶に移して幾望に飲ませる一護。 んっく、んっく、と勢い良く飲んでいる。 「のう、一護や、儂にもやらせてくれんか?」 「いいですよ」 重國の腕に移されても一護の顔が見えているので大人しく飲み続けている。 「んぷっ!」 「ゲップしような」 一護が幾望を抱いて背中をポンポン叩き、ゲップをさせた。 「けぷっ!ふぅ〜、まぁ〜、むにゅう・・・」 「ふふ、おねむだね。おむつは・・・、大丈夫」 一護が抱きながらゆらゆら身体を揺らしている内に眠ってしまった幾望。 バスタオルの上に寝かせて、 「じゃ、後お願いします」 「うむ・・・」 「よかった、すぐ飲んでくれて」 「そうだな」 パラソルの下で寛いでいると、白が遊びに誘いに来た。 「一護、遊ぼうぜ」 「にぃに!良いよ!何して遊ぶの?」 「このボール使って遊ぶんだと」 その手には大きなビーチボールを持っていた。 「おい一護、帽子飛ばされっからここに置いてけ」 「あ、うん。じゃ行ってくるんね、剣八」 「あー、怪我すんなよ」 「はぁい!」 二人でメンバー達のいる方へ走って行った。 「やれやれ・・・」 剣八は麦藁帽子を顔に被せると昼寝に入った。 「一護連れて来たぞ!」 「良くやったわ!白!これでメンバーが全部揃ったわね」 「いっちー!やっほー!」 「やちる!今日は皆と居たんだ」 「うん、いっちーと白にぃは海初めてでしょ?だから旦那さんと一緒が良いかなって」 「ありがと、やちる。で、何やるの?」 「ビーチバレーよ、負けた方は勝ったチームにかき氷を奢ること!良いわね!」 女性メンバーの中に男性も入っていた。 白哉、恋次、檜佐木、吉良、一角、京楽、だった。弓親は日焼けしたくないと審判に回った。 突然、白が持っていたボールを京楽に思い切りぶつけた。 「へぶっ!」 「うわ、すごい音したよ、今」 「な、なにするの、白」 「デレデレ鼻の下伸ばしてっからだ!」 フンッ!とそっぽ向く白。 他の女性陣の水着に目を奪われたのが原因のようだ。 「にぃに・・・」 「ハイハイ、夫婦のじゃれ合いは部屋でね」 乱菊が割って入ってチーム分けをする。 「俺は一護と一緒が良い!」 「わがまま言わないの!グーパーで分かれるわよ?せーの!」 グーと、パーで分かれましょ! 「やった!一護とおんなじだ!」 「ハイハイ、良かったわね」 京楽は敵側だが、気にしてない様子。 「ああ、白が敵になっちゃったよ」 「すぐ終わるでしょ?どうせこっちの負けですよ」 と恋次。 「なんで、ああ、白哉君もあっち、松本君もあっちかぁ。ある意味最強だよね」 「ですよね」 恋次の預言?どうり一護チームの圧勝だった。 「やったぁ!俺かき氷って初めて!」 「あら、そうなの?海で食べるかき氷は一味違うわよ一護」 「楽しみ!ね、にぃに!」 「ああ」 皆で海の家に行く。全員でかき氷を頼む。 「あ、いちご味ってある」 「一緒に買うか?」 「うん!」 兄とお揃いで嬉しい一護。 「はいよ!」 「わあ!真っ赤だぁ!」 「ん、美味い!つめてぇ!」 「あ、乱菊さんのはなぁに?真っ青だ、にぃにの水着みたい」 「ブルーハワイよ、一口食べる?」 「うん!」 あーん、と口を開ける一護に一口あげる乱菊。 「おいしーい!」 「ほら、白も」 「あ」 シャリと味わう。 「おお、美味いな」 「ねー」 「いっちー!こっちも食べる?」 「わあ!やちるすっごーい!」 メロン味にアイスや練乳が掛っていた。 「はい、アーン!」 「あーん!美味しい!この白いのなあに?」 「練乳だよ、言ったら掛けてくれるよ」 一護は手つかずの自分のかき氷ともう一つかき氷を注文した。 「あのね、こっちのかき氷に練乳お願いします、それから、えっとブルーハワイ一つ下さい」 「はいよ、おじょーちゃん可愛いからおまけだよ」 とおもちゃをくれた。 「わぁ、ありがとおじさん!」 二つのかき氷を持って、 「俺剣八のトコ行ってるね〜」 「はいは〜い!どんどん可愛くなってくわね、あの子」 「ねー!もううちのアイドルですよ」 と弓親。 両手にかき氷を持って歩いていると、前から知らない男が数人立ちはだかった。 「? あの、通れないんだけど」 「おじょーちゃん、かっわいいね、お兄さんたちと遊ばない?」 「遊ばない、早く行かなきゃ行けないの。どいて?」 「つれないねえ。良いから良いから。イイとこ連れてってあげるから」 腕を掴まれた瞬間、 「やだっ!剣八!」 ドゴォ!と横からすごい蹴りが入って男が一人飛んでいった。 「あ、剣八!」 「な!何だよ!てめえ!」 「・・・腕離せ・・・。そいつは俺の女房だ、汚ねぇ手で触んじゃねえよ・・・」 「んな!」 「隊長、こんな奴ら俺らに任せて一護と遊んでやって下さい」 「一角か・・・、でもこいつまだ手ぇ離してねえぞ」 「あ、うわあ!」 慌てて離すが時すでに遅し。剣八の拳で砂に埋もれたチンピラ。 「行くぞ、一護」 「う、うん」 残された者達はそれぞれ手酷い目に遭わされた。 「ったく、油断も隙もねえな」 「ご、ゴメンね。あのこれかき氷、一緒に食べようと思って・・・」 半分溶けた一護のかき氷を食べる剣八。 「あ、それ俺の・・・」 「お前はそっち喰え、まだ残ってんだろ」 「う、うん」 「初めて喰うんだろ?たくさん喰えよ」 「あ、ありがと」 赤くなりながら青いかき氷を食べる一護。 「ご馳走様」 「一護、舌出してみろ」 「?」 ぺー、と出すと、 「くく、今だけ兄貴とお揃いだな」 「へ?あ、ほんとだ!」 一護の舌がブルーハワイで青く色が付いていた。 「見せて来いよ、喜ぶんじゃねえの」 「うん!行ってくる!」 「にぃに!」 「あ?どうした一護」 「あのね、俺今にぃにと同じ色の舌になったの」 「はあ?」 「ほら!」 ぺー、と舌を見せる一護。 「ほんとだ、なんでだ」 「さっき青いかき氷食べたからだと思う。えへへ、お揃いだね」 「そうだな」 嬉しそうに一護の頭を撫でる白。 「ねえ、子供達は?」 「えーと、あ、あそこにいるよ!」 3人が集まって何かしている。 第4話へ続く 09/07/08作 小悪魔な白と天然な一護でした。初めての海で初めてのかき氷。 ナンパも初めての初めてづくし。 |
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