題「新婚旅行」2
 一護たちが水着を買って帰って来た。
「ただいまー」
「ただいまー!楽しかった!」
興奮気味の娘とやや疲れ気味の一護。
「おう帰ったか。どんなの買ったんだ?」
「へへー!海に行くまで内緒だよ!ねー!かか様」
「うん、内緒。楽しみにしててね!あ、でも剣八の水着要らないって言ってたから買ってないけど良かったの?」
「ああ、要らねえ、褌でいいだろ」
「俺は気にならないよ」
「ならいいじゃねえか」
「そうだね、用意しとこっと」
一護は自分達と子供達の着替え等を鞄につめて用意した。
「ん〜と後は・・・」
「おい、別に向こうで手に入るもんは向こうで買えばいいだろ」
「そうだね、楽しみ!ね!朔、十六夜、幾望」
「「うん!」」
「あい!」

 当日。
京楽一家に、剣八一家は当然として他に、女性メンバーに、一角、弓親が居た。さらに総隊長、白哉、恋次、檜佐木、吉良なども居たが、やはり狛村は来ないと言っていた。
「えー!狛むーだけつまんないじゃない!」
「そうでもない。それに護廷をカラにするわけにもいかん」
「ぶう!」
「お主たちは楽しんで来れば良い。後で話を聞かせてくれ」
「うん!良いよ!写真もいっぱい撮ってくるからね!楽しみにしててね!」
「うむ、気を付けてな」
「はあい!」
「良かったんですか?隊長」
「うむ、まあ儂が行っても暑苦しいだろう」
(そうやないんですわ、あかん十六夜の事気付いとらんわ・・・)
射場は心の中で呟いた。

「で、どっちに海に行くんだ?現世か、こっちか?」
「この人数で現世は無理でしょ?いつものトコだよ」
「ああ、あそこか」
と剣八と京楽が喋っている。
「剣八はどこか知ってるの?」
「ああ、何回か行ったことある旅館だ、海のすぐ傍だから便利だぜ」
「ふうん、俺早く海見たい!」
子どもと一緒にはしゃぐ一護。

 京楽が白と朝月に、
「海で知らない人に声掛けられても付いてっちゃ駄目だよ?」
「はぁい!とと様!」
「馬鹿言ってる暇があるなら荷物持てよ」
などと喋っていた。
「朝月ー!」
「あ、いっちゃん!朔!おはよー!」
「おはよー!」
「おはよ!」
「海楽しみねー!」
「ねー!」
「ねぇねぇ、朝月のトコとと様に水着見せた?」
「ううん!見せてない!かか様もね、とと様に内緒だって!」
「うちもよ!でも早く着たいわ」
「ねー、あの水着いっちゃんによく似合ってるもの」
「ありがと!朝月も似合ってるわ!」
「僕まだ見てないから楽しみだな〜」
「かか様の水着も可愛いのよ、朔にぃ」
「ねっ!うちのかか様は綺麗なの!」
「すっごくね!」
「何の話してるのー?」
「かか様!あのね、水着!早く着替えたいって話とかか様の水着姿が可愛いって言ってたの!」
「ふふ、ありがと。もう出発だって」
「「「はーい!」」」

 瀞霊廷を遠く離れ、半日掛けてやっと海まで辿り着いた。旅館の前で京楽が、
「ほら、白、朝月。あれが海だよ、大きいだろう?」
と海を指差して言った。
「わあ!おっきい!」
「すげ・・・。向こうなんて見えねえ・・・」
その大きさに圧倒されて何も言えない白。
「着いたら、水着姿見せてねー」
「あ、おう」
はっ、と我に帰り一護の方を見ると、一護も剣八に海の方を示され驚いた顔をしていた。

「ほれ、あれが海だ。水たまりなんてデカさじゃねえだろ」
髪を下ろし、後ろで束ねている剣八が一護や子供達に教えている。
「わあ、ほんとだぁ、すごいおっきいね」
「かか様、何だか変わった匂いがします」
「ん、あ本当だ、なんだろ?」
「潮の香りだ。まぁ、海の匂いだな」
「へぇ〜、とと様何でも知ってるのね!」
「これからお前らも何でも識っていきゃあいいんだよ。ガキは何にも出来ねえ時もあるが、何でも出来んだからよ」
「? 良く分かんないわ」
「はい」
「可能性があるって話だよ。知らない事を知って、出来なかったことが出来るようになるんだよ」
幾望を抱いた一護が言った。
「そっか!じゃあ今日は海の事を色々勉強しよ!」
「うん!」
そんな二人の子供の頭をガシガシ撫でる剣八。

 各々が割り当てられた部屋に荷物を置いて水着に着替えだした。
「剣八、俺着替えたら子供達に日焼け止め塗るから、先に幾望と海に行っててくれる?」
既に着替えて紺色の六尺褌を締め終わっている剣八に言うと、
「あー、こいつはまだ泳がせねえんだな?」
「うん、まだ危ないからおじいちゃんが見ててくれるって」
「へえ・・・、おいコレも持っていっとくぞ」
幾望のミルクやおむつの入ったバッグを持って、幾望を抱き上げた。
「ありがと、剣八」
「早く来いよ」
「「「は〜い!」」」
子供達はさっさと着替えて待っていた。一護が着替え終わると、
「わ〜!かか様、綺麗です!」
「そうか?ありがと。さ、日焼け止め塗ろ?」
二人に日焼け止めを塗ってやり、自分も背中を塗ってもらった。
白いパーカーを着て、麦藁帽子を3人で被って浜に出た。
「お待たせ!剣八!」
「なんだ?水着はどうした?」
「ちゃんと着てるよ!ね?何処で遊ぶの?」
「ああ、こっちだ」
浜辺には既に一角と弓親がパラソルを立ててくれていた。
「わあ!ありがとう!素敵!」
「いーってことよ!」
「ふふ、一護くん嬉しそうだね」
「うん!楽しみにしてたもん!」
「かか様、水着とと様に見せてあげないの?」
「へ?ううん、日差しが強かったからコレ着てるだけだよ」
ジーッとパーカーのジッパーを下げて脱いでいった。
「に、似合う?」
白地に向日葵の花の絵が散らされた水着を着た一護が上目遣いに聞いてきた。
「ああ、良く似合ってんぜ」
と言ってやると、麦藁帽子の下で嬉しそうににっこり笑った。
「け、剣八も・・・」
「あん?」
「かっこいい、よ・・・」
「・・・そうかよ」
一角と弓親は、お邪魔虫は退散とばかりにそそくさとその場を離れた。
「十六夜も朔も良く似合ってるでしょ?」
「ああ、お前は赤い花が良く似合うな十六夜」
「えへへ!嬉しいな!ありがと、とと様!」
「朔も似合ってんぞ、京楽んとこのガキは?」
「あれ、乱菊さんと一緒だ」
「ほれ、一緒に遊んで来い」
「「はーい!」」
「朝月ー!」
「いっちゃん!朔!早かったね!」
「うん!急いだの!」
「わあ、綺麗な水着だね、あーちゃん」
「ありがと、この髪飾りはね十六夜が見つけてくれたの」
ポニーテールにした朝月の耳のすぐ上に青いユリの髪飾りが付いていた。
「へー!かか様はしてないね?」
「いいって言ってたから」
「ふうん。白にぃは?」
「まだとと様とお部屋よ、日焼け止め塗るって言ってたわ」
「あ、あたし達も塗ってもらったー」
「あたしも」
「遅いねえ」
さて、京楽夫婦は?


第3話へ続く






09/07/08作 やっと書けた!次は白だ!



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