題「四月の愚者〜吐いて良い嘘、悪い嘘〜
 剣八が卯ノ花隊長に呼ばれて四番隊の中庭に行くとフラフラと歩く一護が居た。
「一護?何やってんだ・・・」
「ああやって毎晩貴方を探して歩き回っているのです。傍に行ってあげてください」
と言われ剣八は一護の傍へ行くと、漸くこちらを見てこう言った。
「ああ・・・、やっと逢えた。剣八、逢いたかった・・・、逢って言いたい事があったんだ・・・」
といつもの様にちゃんと自分の名前を呼ぶ一護に、
「言いたい事?何だそりゃ」
と聞いた。
一護は悲しげな笑みでこちらに向いて両手を伸ばし、剣八の頬を包んだ。
「ごめん、な?お前を好きになって、嫌だったんだな、気付けなくてゴメン。お前はちゃんとサヨナラ言ってくれたから、俺も言うな。
サヨナラ剣八、もう嫌な思いしなくて済むよ。安心して?」
する・・・、と手を離した。
「そんでさ、我が儘なんだけど、お願い、聞いてくれるか?」
「願い事?なんだよ・・・」
「うん・・・。その・・・、なるべく長く生きてくれるか?お前は『剣八』。幾度斬り殺されようと絶対に倒れない死神だって分かってるけど・・・。でもなるべく死なないで、生きてくれ。お前の生きて動いてる姿を見せて?俺はお前に疎まれてもいいから、嫌われてもいいから、どうか、生きて、楽しんで、他の人に愛されてくれ。そこに俺は居ないけど、お前が幸せならそれで良いから、頼む・・・!」
「一護・・・」
「一護君・・・!」
そこに居た卯ノ花隊長も言葉を失った。
「それだけ・・・。じゃあ、本当にサヨナラ」
離れようとする一護の手を取り抱き寄せる剣八。
「何・・・?」
戸惑う一護の耳元で、
「一護・・・、最後に抱いてやるよ」
と囁いた。
ビクンと身体を震わせる一護。
「さ、い、ご・・・」
とその単語に反応を返した。
「ああ、お前の願い事は聞いてやる。だから俺の要求も飲めよ・・・」
「最後・・・、うん良いよ。剣八最後に俺を抱いて・・・」
「ああ、俺の部屋に行くぞ・・・」
「うん」
一護を部屋に連れて行く剣八。

「風呂はどうする?一緒に入るか?一護」
「あ、うん。入る」
大人しく従う一護。風呂に向かうと剣八は人払いをさせた。
剣八は一護の髪を優しく洗ってやった。
「ん、髪洗ってもらうのって初めてだね」
「そうか・・・、次は背中洗ってやるよ・・・」
「ありがとう・・・」
一護はとても幸せそうに笑った。
手拭いで背中を洗ってもらう一護。
「ふふ!くすぐったいよ!剣八」
「こら、動くんじゃねえよ、洗い難い」
「だって、くすぐったい・・・」
「そうかよ・・・、じゃあもっとくすぐってやろうか?」
「え?や!あん!」
剣八の手が背中から胸へと滑ってきた。
「や、や、だめ、んん・・・」
「駄目って、乳首立ってんぞ?」
くちゅ、と泡で指を滑らせた。
「あ!はん」
「くく、ここも勃って来たな・・・」
と一護の中心を握る剣八。
「ひゃ!あう、だめ・・・」
「言うわりに元気だが?」
クチュクチュと音を響かせ手筒を上下させた。
「はぁ!あ、あ、あ!はあんっ!」
ぴゅくん!と達した一護。
「えらく濃いな・・・。自分じゃやんなかったのか?」
剣八の胸に力無く背をあずけ、息を整えている一護。
「は、あ、だって、剣八見つかんなかった・・・どこ行ってたの?」
「どこって・・・」
「ごめん、もう別れるのに女々しい事言って・・・」
俯いてしまった一護の身体の泡を落とすと、湯船に入った剣八。
「ちゃんと温まれよ・・・」
「うん・・・」
いつもの様に後ろから抱かれている一護は安心しきっている顔で目を閉じている。
「寝るなよ・・・?」
「起きてるよ・・・剣八・・・」
「そうか、もう上がるぞ」
「うん」
いつもより優しく自分を扱う剣八に一護は、
「今日の剣八おかしいよ、いつもどおりでいいのに」
「何がだよ?」
「いつもより優しい・・・」
「そうか?」
「そうだよ、いつもはもっとガシガシ拭いてくるもん」
ふふ、とおかしそうに笑った一護。
「気にすんなよ・・・」
「ん・・・」
寝巻きを着て剣八の部屋に行くと蒲団が敷かれてあった。水差しも用意されていた。
弓親だ。
「来いよ、一護」
蒲団に呼ぶ剣八。
「うん」
その隣りに座る一護。


第6話へ続く




09/06/08作 最後と言われた剣八とのエッチ。さてどうしましょう?



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