題「すれ違う気持ち」前編 | |
アナタの気持ちが分からない・・・。 心が繋がるより先に、身体が繋がった関係だからアナタに気持ちなんてナイのかもしれない。 閨を共にする度に俺が口にする言葉。 好きだと、愛してると・・・。それに答は返って来ない。 閨を共にする度にアナタが俺に囁く言葉。 淫乱な子供だと、イヤラシイ子供だと・・・。 俺は傷つかないとでも思っているのだろうか。流れ出る涙は快楽のせいにして咽び泣く。 泣きながら毎回気絶するまで抱かれる俺は、本当にイヤラシイ子供。 夜中に目を覚ましアナタが深く眠っているのを確認してから、そっと手を繋ぐ。起きている時には絶対に出来ない事。 『手を繋いでもいいか?』 口に出して言うのが怖い・・・。鼻で笑われて、馬鹿にされるかもしれない。 恋人でもないのに何を期待しているんだろう・・・。 あんなに激しく熱を交換してる時間より、今この時間の方が幸せを感じる。手の平を介して体温が染み透る。 自分から手を離す。アナタが起きてしまわないうちに・・・。 冷える手の平、涙が滲む。何の為の涙だろう?心に重しをしてふたをしなければナニかが溢れ出す。 現世に帰れば会わなくてすむんだ・・・。それでも定期報告には来なくちゃいけない。ああ、でも来週はテストがあるんだ。 山本のじいちゃんに言うと、「てすとが済むまで、報告は休んで良い」と言われた。少し助かる。 少しでも離れられる・・・。 早く帰ろうとしてると、一角に捕まった。稽古だ、稽古だとはしゃいでいる。他に相手が居ないのか? 漸く解放された。弓親がお茶を淹れてくれた。 「あんがと・・・」 「どういたしまして。一護君疲れてるの?」 「なんで?」 「顔色が悪いみたいだから」 「分かんね、ああそうだ、俺来週テストあるから来ないぜ」 「え!なんで!」 「なんでって、進級も掛ってるし、こういう頭してっとよ悪目立ちすんだよ。いくら地毛って言っても信じちゃくんねぇし、そう言う教員黙らせるにゃ成績良い方が都合がいいんだよ・・・」 自分の髪を弄りながら喋った。 「綺麗な髪なのにね・・・」 「はは!ありがと!そう言ってくれんの弓親だけだよ、この髪はさ、お袋譲りだから染めたりしたくないんだ・・・」 「そう・・・」 「・・・なぁ、弓親・・・、聞いていいか?」 「何だい?」 「あのさ、剣八ってさ、俺の事、何だと思ってんのかな?」 「何?急に・・・」 「急じゃない・・・、ずっと考えてたんだ・・・。始まりが始まりだし、その、俺はこうゆう体験したことないしさ・・・」 「大事に思ってるんじゃないかな?」 「そうかな?」 「うん、すごい気に入ってるもの」 「気に、入ってる?」 「うん、珍しいよ。あの隊長がさ」 気に入ってる・・・。俺はお気に入りのおもちゃ?気が殺がれたら捨てられるのか?いつ?それまで俺は罵られるの? 「一護君?」 「お、れは、おもちゃなのか?」 恋人じゃあナイ・・・。ああ、やっぱりそうなんだ。 「なんでそんな風に言うんだい?おかしいよ、一護君」 「弓親はさ、好きな人とか、恋人と、その、一緒に寝る時何を言う?」 「寝るって、その、あっちの方かい?」 「ん・・・」 「そりゃ、ねぇ、好きとか?愛してるじゃないの?普通は」 「あいつは普通じゃないのかな?」 「なんでさ」 「いつもさ、淫乱な子供、だって、イヤラシイ子供だって言われる・・・、これは恋人に言うコトバなのか?俺は好きな人には優しくしろ、ちゃんと好きだって言えって教わった。だから俺はあいつに、好きだって、あ、愛してるって言った。 ・・・けど答えは無かったよ。それはいいんだ、あいつの自由だから。でも閨を共にする度に罵られるのはツライなぁ」 「一護君・・・」 「あいつの気が殺がれるまで続くのかな?それまでずっと罵られるのかなぁ・・・」 なんか疲れたな・・・。とぽつりと呟いた時、あちらから肩にやちるを乗せた剣八が帰ってきた。 「あ、剣八だ、弓親今の話絶対あいつに言うなよ?」 「う、うん」 「絶対だぞ?」 「うん」 「おう、一護やっぱココに来てたのかよ」 「一角に捕まって稽古してたんだよ」 「ふん、まあいい、部屋に来い」 「ヤだよ、俺はこれから帰るんだよ。テストがあるからな、来週いっぱい来れねえぞ」 「じゃあ、なおさらだな、来い!」 「離せよ!俺はあんたのおもちゃじゃねえ!」 「なんだそりゃ?ハッ!ガキが大層な口聞きやがる・・・」 「なら、そんなガキ相手にしなくとも良いじゃねえか、他当たれよ!」 泣き叫ぶ様な声で吠えた。 「うるせぇなぁ、泣くなら俺の下で鳴いてろよ、淫乱」 「っ!なんで・・・」 そこから先は言葉にならなかった。抵抗止めた一護を肩の担ぐとやちるが肩から下りた。 「剣ちゃん、いっちーいじめちゃ駄目だよ?」 「ああ、いじめねえよ」 寝室に連れて行かれた。蒲団は敷きっぱなし、そこに落とされた。 「痛・・・」 閨でしか言われなかった言葉を言われた。昼間に、他の人間が居たのに・・・。本格的に抱き人形だな・・・。 自嘲の笑みがこぼれる。 「ほれ、やるぞ。足開けよ・・・」 言う事に大人しく従う一護。剣八の為すがままに身を任せる。声は出しても名前は呼ばなかった。好きとも、愛してるとも口にはしなかった。 その方がこいつも、楽だろう。自分の勝手な思いを押し付ける事はしない方がいい・・・。 「あっ!ああっ!いい!そこ!あう!あう!」 いつもより腰を振って喘いでみせた。 「ハッ!渋ってた割にいつもより鳴くじゃねえか、よ!淫乱なガキだぜ・・・」 「ひぃっ!あ、ああ・・・!」 「またイッタのか、早いな相変わらず・・・」 目尻から流れ伝う涙は何の為だろう?誰の為だろう?もう解放されたい・・・。 「あぅっ!も、もう!」 「もう降参かよ?早えな、おい」 俺を嘲笑うかの如く笑いながら、俺の身体を刺し貫く。 「うああっ!あああ!ああ!いや!いや!もう!いやあ!」 「くっ!」 ああ、中に出された・・・。熱い、これが快感にすり変わるほど身体を重ねても心は重らなかったんだな・・・。 意識が遠のく・・・。このまま目が覚めなければ良いのにな・・・。 愛しい男の腕の中でそんな馬鹿な事が浮かんで消えた・・。 起きたら夜中だった。隣りに剣八が居て驚いた。いつもの事なのにな・・・。 「アツい・・・」 そう呟いて蒲団から出る。 「ん!」 処理されて無かった・・・。いつもなら気絶してる間に終わってるのに・・・。 「気持ち悪い・・・」 俺は寝巻きを巻いて、地下温泉に行った。 そこで処理をして、身体に残る跡を一つ残らず消した。 温泉に浸かりながら一人呟く一護。 「好き・・・、愛してる・・・、好きだよ・・・、愛してるよ・・・」 「・・・好きだったよ・・・、愛してたよ・・・。さようなら・・・」 両手を上に上げ、光に透かす様に見つめながら言えない言葉を紡ぎ、声も無く泣いた。 隊舎に戻ると帰る用意をした。一応文句を言われないように、剣八にも声を掛けた。 「帰るぜ・・・」 「・・・」 返事はない。いつもの事と口の端だけで笑い、現世へ帰った。 現世に戻ると、どっと疲れが出た。あぁ、明日からテスト勉強に追われるんだな・・・。と思いながら眠りに落ちた。 朝起きると、熱っぽかったが気にせず飯を食って学校に行った。 廊下にテスト範囲が張り出されていた。 「うわ、けっこう広いな〜、今回は」 「む・・」 「代行やりながらだと、きついかな?」 「一護・・・、大丈夫なのか?」 「何が?テストか?踏ん張らないとな!」 カラ元気でチャドに笑いかけ、教室に入り授業を受ける。 学校が終わって家に帰ると、勉強だ。虚が出たら退治に行く。それの繰り返し。 勉強・退治・勉強・退治を繰り返し、やっとのことでテストが終わった。 気を抜いたのが悪かったのだろう。熱を出してぶっ倒れた。情けねえ・・・。 2、3日で治ると思ったのに案外長引いた。 ルキアの伝令神機にメールを打つ。 『ワリィ、熱出た。報告ムリ』 簡単な内容だ。 「はあ・・・」 昼間からベッドに寝て空を見る。 コンコン、と控えめなノックがした。 「お兄ちゃん、入って良い?」 「ああ、なんだ?遊子」 「うん、リンゴ剥いたんだけど食べれる?」 ウサギの形に切ってくれたそれを、 「ああ、あんがとよ。食べるよ」 体を起こし掛けて、 「駄目だよ、お兄ちゃん熱があるのに!食べさせてあげるから!はい!アーン」 「あー」 シャクシャクと食べる。 「美味いよ、あんがとな、遊子」 柔らかく笑い掛ける。遠くからそれを見ている影があった。 頭を撫でられ嬉しそうに笑う妹。親父が入ってきて外に出された。 「珍しいな、お前が熱出すなんてよ」 「うっせぇ」 「ほれ、腕出せ、点滴の針打つからよ」 「・・・そんなにひどいのか?」 「まあな、これ1本で済むと思うがな。治っても無茶すんじゃねえぞ」 わしわしと頭を撫でられた。 不意に忘れたい男の存在が思い出された。 「なんだ?」 「あーいや、そのカーテン閉めてくんねえか?眩しくてよ・・・」 「おう・・・、ちゃんと寝ろよ」 「ああ・・・」 誰も居なくなると眠気はすぐ訪れた。 後半へ続く 09/04/22作 第84作目です。 後半どう纏めようかな?剣ちゃんがひどい男になってしまった! |
|
文章倉庫へ戻る |