題「馴れ初め」9 | |
髪を撫でられる心地良い感触で目が覚めた白が見た物は、にこにこ顔で自分の髪を梳く京楽だった。 「な、にやってんだ?」 「おはよう、白。気分は悪くないかい?」 「あ?ああ・・・」 「良かった。あのねぇ、今日僕ね、お仕事休みなんだ~、だからね美味しい甘味処に連れてってあげるね」 「かんみどころ?って何だ?」 「ん?お菓子を売ったり、中で食べさせてくれる処だよ」 「でも・・・」 「大丈夫だよ、あの着物着て、お化粧すれば誰にも分かんないよ!僕以外にはね!」 「う・・、じゃあ・・・」 「やった!お昼頃に行こうね!さ!早くご飯食べよ!」 「その前に、コレ。よこせ・・・」 「あ、やっぱり・・・?」 「ん・・・、どうせ毎朝勃ってんだろ?いいじゃねえか」 「そういう問題じゃ・・・、あ!せ、煽情的すぎるんだよ・・・、白」 「ん・・何が?気持ち良くないか?」 れろ・・・と舐めあげる白。 「くう!そんな訳ないでしょ、抑えられなくなるんだよ。朝から」 「良いじゃねえか、その方が俺にもガキにも良いんだろ?」 「まあね、でも朝から君を気絶させるわけにはいかないなあ」 くすくす笑いながら白の髪を梳く京楽。 「う・・・!ふん!じゃあ加減すりゃあいいじゃねえか!」 「出来ないくらい魅力的なのさ。愛してるよ、白」 「あ、あう・・・」 ぱくぱくと何も言えなくなった白に、 「どうしたの?口、止まってるよ?」 「あっ・・・、見んな!馬鹿!」 耳まで赤くなって続きをする白。 「ん、んふ、はぁ、ん・・・」 その内もじもじと白の腰が揺れ出した。 「どうしたの白?腰・・・、揺れてるよ?」 「ん、何でもねえ!」 「感じてるの?ねえ・・?僕の舐めて?」 「違う!あっ!」 「でも、濡れてるよ・・・?まるで洪水だ・・・」 「あふぅん、や、やだ・・・」 「ん?なにが?指がかい?じゃあこっちにしようか・・・」 「ひあ・・・」 一瞬の隙に押し倒された白に覆い被さり、自身を埋め込んでいく。 「んあ、ああぁん・・・!」 「気持ち良い?ねぇ?白、言って?聞きたいんだ?」 クチュクチュと音を響かせながら耳元で囁きかける。 「ふああ、き、気持ち良い!」 「嬉しいな・・・!一緒にイこう!」 「あ!ああ!ああん!んあ!んああぁーー!」 「くっ・・・!」 どくどくと白の最奥に注ぎ込んだ京楽が満足気に髪を梳くと、 「風呂・・・に・・・」 「うん、行こうね。その後ご飯も食べよう」 と風呂に連れて行き、朝ごはんも食べた。 「なあ、けしょうってどうやるんだ?」 「ん?僕がしてあげるよ、心配しないで」 「ふうん・・・?」 京楽が白に朱色の着物を着せ、髪飾りで少し髪を結いあげた。少し長めの後れ毛にも赤いガラス玉の付いた飾りを付けた。 そして、最後に猪口に入った玉虫色の物を取り出し、 「コレを唇に塗ったらお終いだよ」 「なんだコレ?変な色だな」 「ふふ、今はね。見ててごらん」 水に濡らした薬指で猪口を撫でるとそこから鮮やか紅色が生まれた。 「なんだ!何だこれ?色が変わった!」 「これは、口紅だよ。最高級品で純度が高いから最初は玉虫色に見えるんだって。さ、顔を上げて・・・」 「ん・・・」 つぅ、つぅ、と紅を塗っていく。目を閉じている白はまるでよく出来た人形の様で美しかったが京楽は嫌だった。 「白、目を開けて・・・」 「ん・・・」 途端に命が吹き込まれた。 「ああ・・・!美しいよ・・・。誰にも見せたくないなあ・・・」 はい、と鏡を見せられた。そこに居たのは白であって白では無かった。どこの貴族の息女にも劣らない美しい少女だった。 「馬鹿言ってねえで、早く案内しろよ」 「はあい・・・」 「大体・・・、誰も見たこと無い顔見てんのあんただけじゃねえか・・・」 ぼそっと呟いた白の声はちゃんと京楽の耳に届いていた。でも聞こえないふりをして、にんまりと笑っていた。 二人で外を歩くのは、定期健診の時以来だ。 「ねえ白、手ぇ繋ごう?」 「やだ・・・」 「なんで?」 「なんか、いっぱい見られてる、から」 「白が綺麗だからだよ!ねっ!」 「・・・あんたが目立ってんじゃねえの?」 「そうかなぁ?あ、と!ごめん、ちょっとここで待っててくれる?」 「何だよ?」 「んふふ、ナイショ!すぐ戻るからね。知らない男に付いて行かない様にね!」 「へーへー・・・、アホかあいつは」 白はそこでぼーっと突っ立って京楽を待っていた。 (おそ・・・) と考えていると何人かの男が近付いてきた。 「おお、綺麗な女がいんじゃねえか」 「へへ、俺らと遊ぼうぜぇ」 「・・・・・・・・」 目も合わせない白。まるでそこには何も居ないかの様に立っている。その態度に男たちが怒りだした。 「おいこら、気取ってんじゃねえぞ!クソあまぁ!」 「どうせ、男漁りが目当てだろ?俺達が買ってやるって言ってんだよ!」 イラッとした白が男を睨みつけ手刀を構えた所で京楽が現れた。 「僕の大事な子に、何してるの?」 笠の奥で剣吞に光る目で睨まれた男どもは動けない・・・。 「何って・・・」 「お相手なら僕がするよ・・・」 そう言いながら白の手刀を握り押さえ込んだ。 「用、無いよね・・・?じゃあね~」 と明るく言って去っていく。 「遅い」 「ゴメンね」 「春水が悪い」 「うん」 「俺を一人にしたからだ・・・」 「ごめん・・・」 「ふんだ・・・」 「おい、手・・・」 「うん、いいじゃない・・・」 「鼻の下伸ばしてんじゃねえよ!」 「んふふ、じゃあ、あそこ行こっか?すごく美味しいって評判のお店だよ?」 「店?」 「そう。甘味処。特別に予約入れたから待たなくていいよ?」 「ふーん・・、立ってたから疲れた、早く連れてけ」 「ああっ!ごめん!早く行こう」 店に着くと二階の座敷に通された。お品書きを置いて退室する店員。 「さ、どれが食べたい?何でも頼んで良いよ?」 「ホントか?えーと、この間の桜の葉っぱ巻いたやつと、コレと、これと、これ!」 「うん?えーと、桜餅と抹茶パフェと三色団子とイチゴパフェ?冷たいものばっかりは感心しないな。パフェはどっちか一つね」 「えー!何でも良いって言ったくせに!じゃあ抹茶パフェ!となんだこれ?魚の形してるぞ、これ!」 「はいはい、鯛焼きね、じゃ注文するね」 「早くしろ」 白に急かされ注文する京楽。 ほどなくして注文した品々が運ばれてきた。 「それでは、ごゆっくりどうぞ」 二人っきりになると京楽がパフェを持って、スプーンで掬うと、 「はい、あ~ん!」 「何やってんだよ・・・、自分で食う!」 「いいからいいから。あ~ん♪」 「う・・・」 鼻先を漂う甘い匂いに我慢出来なくなって、ぱくっ!と食べてしまった白。 「甘い・・・」 「良かった・・・、ハイ、もう一口」 「む、あ・・・ん」 と繰り返しいつの間にかパフェを全部食べた白。 「馬鹿春水・・・」 「良いじゃな~い、恋人はやるもんなんだよ?」 「ホントか・・・?」 「ホントほんと!信じて?」 「ちぇ・・・」 それでも運ばれたお菓子を見るとほっこり笑う白。パクパクと食べて行った。 「お腹壊さないようにね?あと少ししたら夕食だからね」 「ん、大丈夫だよ。足りねーくらいだ」 ぺろりと口の端を舐めながら言う白。 「そうかい。なら遠慮せずどんどん食べて」 「ん、春水は?」 「んん?僕はお茶で良いよ。それにそんなに美味しそうに食べてくれるだけで嬉しいんだ」 「ふうん・・・」 ずずっとお茶を啜って、そんなもんかね、と思う白。 「さてっと、腹ごしらえも済んだし、次行こっか!」 「次ぃ?」 「うん!さぁ早く早く♪」 甘味処を後にして道を歩く二人。 「なあ、どこ行くんだよ?」 「もう着いたよ。こ~こ!」 「ん~?」 そこは京楽が贔屓にしている呉服屋だった。 「白の新しい着物の反物選ぼうと思ってね。今回は君の好みも入れようと思ってさ」 「ばっか・・・!」 「え~、そこは嬉しいとか、ありがとって言って欲しいな」 「知らねえよ・・・」 悪態を吐くその顔の耳が赤くなっているのを見逃さなかった京楽。 「素直じゃないねえ・・・」 店に入り、反物を色々見せてもらうと楽しくなってきた白は、青い地の反物に目を止めた。 青地に白い刺繍で涼しげな模様が施されていた。金糸銀糸で華やかに光が散らされていた。 「春水・・・、コレ・・・」 「うん?これが良いのかい?」 「うん・・・、きれい・・・」 「ほんとだね。でも君には敵わないなぁ」 「馬鹿言うな・・・」 「京楽・・・か?」 「ん?あっれー?朽木君じゃないの、どしたの?珍しいね君がこんな所に居るなんて」 「ふむ、ルキアに髪飾りでもと思ってな」 「ふふ、優しいお兄ちゃんになってきたねぇ」 「ふん・・・!ところでそちらの女性は?先程から私の方を見ているのだが?」 兄という言葉に反応したのだろうか?目を離さない白。 「白・・・、君の髪飾りも見ようか・・・?」 少しの嫉妬を混ぜて声を低くした京楽。 「あ、うん・・・」 髪飾りのある展示コーナーに行くと、煌びやかな髪飾りがたくさんあった。 「わあっ・・・!綺麗だ!」 「どれがいい?あの反物に合わせて青い石の付いたのにするかい?」 「んーと、それよりこの水色の方がいい!周りの石も綺麗だ」 水色の宝石を中心にその周りを色取り取りの小さな宝石が散りばめられていた。紫や緑、濃い青。 「じゃあ、これにしよう。きっと似合うよ」 「ホントか!・・・あ、ありがと」 「ふふ、どういたしまして、わが姫よ・・・」 「それ言うなって言っただろ!」 くすくす笑う京楽には効き目はない。 「なあ」 「ん・・・?」 「さっきの奴、誰だ?誰かの兄貴なのか?」 (ああ・・・、それでか・・・) 「うん、妹さんがいるんだ、きっとその子への贈り物だね」 「ふうん・・・、兄貴って、下の奴になんかやるもんなのか?」 「別に?どうしたんだい?急に」 「俺は一護に何も、してない・・、から・・・」 「馬鹿だねぇ・・・、こうやって生きてるだけで良いんだよ?その証拠に最近の一護君は前よりも明るくなったんだから」 「ホントか!」 パァッ!と顔を輝かせる白。 気に入った髪飾りを手に、反物の着物にする為に白の身体の採寸を始めた。 「まだか?」 「申し訳ありません。もうしばし御辛抱を・・・」 漸く終わると出された茶を飲んでいる京楽の所へ帰る。 「おい、終わったぞ」 「お疲れさま~、ああ、紹介しとこうか、彼は朽木白哉君。何と四大貴族のうちの一つの御当主なんだよ」 「・・・貴族・・・?」 俄かに機嫌が悪くなる白。美しい顔を歪め侮蔑する様な視線を投げかけると、 「帰る!」 怒りに満ちた声で言うと立ち上がった。 「えっ?ちょっと待ってよ。代金払わなきゃ」 「先に帰るッ!後から追いかけろ!」 早口で捲し立てると足早に出て行った。 「どうしたんだろ・・・?」 「何者だ・・・?あの者は・・・?」 「あ~。うん、時期が来たら教えるよ。初対面だよねぇ?」 「うむ・・・」 なのに何だ?あの敵意は?京楽は支払いを済ますと髪飾りだけを貰った。着物はひと月後には出来上がるそうだ。 「じゃあね。朽木君」 京楽は瞬歩で白を追いかけた。 「し~ろ?」 「しゅんすい・・・」 「どうしたの?気分でも悪いのかい?」 「違う・・・。その、ごめん、俺・・・」 「怒って無いよ?おうちに帰ろ?」 「うん・・・」 京楽は自然に白の手を握る。逃げない白。ゆっくり歩いて屋敷まで帰った。途中で白がぽつりと、 「俺、貴族、きらいだ・・・!」 「そう・・・」 「ん・・・」 それきり何も言わなくなった。 夕食の時も何も喋らなかったが、出された物は残さず食べた。少し安心する京楽。 「お風呂・・・、入るかい?」 「うん・・・」 元気のない声に不安を覚える。 「はい、お蒲団に入っておいで」 「うん」 なんだろうね?呉服屋から帰ってから明らかに様子がおかしい。今夜は添い寝だけの方がいいか? と思いながら寝室に入り、蒲団に入ると白が抱き付いてきた。 「ど、どうしたの!何か怖いのかい?今夜は、やめとくかい?」 「嫌。やだ、抱いて?あんたが欲しいんだ・・・!お願い・・・!」 「白・・・、今日の君はおかしいね?貴族が関係あるのかな?」 「っ!ごめん・・・、まだ話せない・・・、でもあんたは違うから!特別だから!おねがい・・・」 「ああ・・・、泣かないで・・・。分かったよ、気絶するまで、しても離さないよ・・・」 「うん。ありがとう・・・」 かたかたと震えていた白は京楽の体温と匂いに安心したのか、抱きつく力を弱め口付けをせがんだ。 「ん・・・、んふ、あぁ・・・、ふぅ、んく、んくん」 「春水、今日も跡一杯付けて・・・!」 「白ッ!ああ、たくさん付けてあげるよ」 首筋に、耳の裏に、胸に、腹に、背中に赤い花を散らしていった。 「ああ、綺麗だ白・・・、君の白い肌の映えてまるで本物の花が舞っているようだ・・・」 「んん、あ、ばかぁ・・・、ひゃっ!」 京楽が白の茂みに顔を埋めた。太腿の付け根の皮膚の薄い所にも跡を付けた。 「あぅっ!しゅ、しゅんすい!」 「ああ、白、もうこんなに濡れてるよ・・・」 べろり、と舐めあげ溢れる愛液をすすった。 「いやあん!それやだ!春水!」 「だめ・・・、もっと感じてよ、僕だけを感じて、僕以外考えないで。僕以外は見ないで・・・!」 「ああ・・・しゅんすい?ああ!ああっ!ヤッ!やっ!あぁんッ!」 白の蜜壺に舌を差し込んで蠢かした。 「ああうっ!もう!もうっ!」 きゅううと締め付けてきた。舌でしこりを舐めあげると潮を吹き達した。 「ひいぃん!あ、あ、だから、もうって・・・、きゃぁん!」 言い終わらない内に、今度は肉芽に舌を這わされた。包み込む様に舐めあげたかと思うと、尖らせた舌で転がした。 「いやっ!いやッ!またイクゥ!イク!ああああー・・・・」 ビクンッビクンッと痙攣する身体。 「あ・・・、あ・・・、春水?どこ?抱き締めて・・・」 「ここにいるよ・・・、ずっと君の傍にいるよ」 「嘘じゃない?嘘じゃないよね・・・?とと様やかか様みたいに俺を置いて行かないで・・・。一人は怖いんだ・・・」 初めて聞いた・・・。いつもは、平気だと、普通だと、言っているのに・・・。やはり強がっていたのだ・・・。 記憶も薄れるほどに遠くなった家族との愛情。 それでも唯一の記憶として残った弟を探して探して、見つけてみたらヒトのモノになっていてまた一人に逆戻り・・・。 そうだ、寂しくないわけない!怖くないわけない!この子はまだ子供なんだ・・・。 「白・・・、愛してるよ・・・、もう怖がらなくて良い、僕がずっと居る!」 「しゅん、すい!しゅんすい!春水!ああ、もっと、もっと言って!愛してるって!俺もあんたを愛してる!離れたくない!消えたくない!愛してる!」 「ああ、愛しい白・・・、もっと深く繋がろう?君の中に入るよ?」 「うん、きて、きて、他の男なんか要らない・・・、あんたさえいればいい!」 「ああ、白、いくよ・・・」 「ん、あああ・・・、しゅんすいが入ってくる・・・熱い・・・」 「生きてるからね、君も熱いよ・・・」 「ああん!いい・・・、う、動いて?気持ち良くして?気持ち良くなって」 「白!白!ああ、なんて愛しいんだ!」 「ああっ!ああっ!春水!変なの!いつもより感じるよ!もうイッチャウの!イク!イク!んああ・・・」 「ああ、白、可愛い耳と尻尾が出ちゃってるよ・・・」 「ああん・・・、気持ちいいのぉ・・・、いっぱい出してぇ・・・」 「出すさ・・・、君の為に・・・!子供の為に・・・!う、くうっ!」 「んああ!熱いのぉ・・・もっとぉ・・・」 その晩も白の意識が飛ぶまで京楽は頑張った。 風呂に入れ、清めてから一緒に眠った。 第10話に続く 09/04/24作 次回、白の貴族嫌いの理由が明らかに! |
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