題「馴れ初め」4
 白が翌朝起きると、京楽が隣りで寝ていてずっと自分の背中を撫でていてくれた。
「あ・・・」
急に気恥ずかしくなって、身動ぎ、蒲団から出ようとすると、
「どこ行くの?」
と声を掛けられた。
「ヒャッ、どこって・・・、山に・・、か、帰る・・・」
「何言ってるの、まだまだ危ないのに!生まれるまではココに居て」
白は困ったように眉を下げ、
「や、だ・・・」
「白君・・・」
地を這うような声に顔を上げると、見た事もない怖い顔をした京楽が居た。
「どこにも行かせないからね・・・。今の君には二人分の命が宿っているんだ、分かってる?」
そう言って抱き締めてきた。
「う・・・、わかったよ・・・」
「いい子だ、今日はずっと寝ててね。僕はこれから仕事だけど一緒にご飯食べよう」
いつもの締まりのない顔に戻っている。どっちが本当の顔なんだ?

 一緒に朝飯を食べると仕事だと言って出て行こうとした。
「あ・・・」
「ん?なんだい」
「な、なんでも・・・」
顔を逸らしながら呟くと、
「ちゃんと帰ってくるよ。それまでコレ、預かっといてくれるかい?」
「?」
髪に差していた風車に形の簪を一本手渡した。
「僕の代わりだとでも思って?」
「ば、馬っ鹿じゃねえの!」
「んふふ、行ってきます」
「ふん・・・」
ころん、と蒲団に横になると簪を握ったまま眠った白。

 お昼に京楽が屋敷に戻ると白はまだ眠っていたが、その手に握られていた簪を見て嬉しくなった。
「白君・・・、白君・・・、起きて?お昼ご飯食べよ?」
「う、んん、あ、きょ・・・」
「ん?起きた?お腹空いたろ?お弁当だけど一緒に食べよう」
「ん・・・」
確かにお腹が空いていたので、素直に従う白。
食欲はあるようでぱくぱく食べている。
「僕のも食べるかい?」
「え?でもあんたまだ仕事・・・」
「いいの!赤ちゃんの分だとでも思って」
ひょいひょいとおかずとご飯を入れていく。
「美味しいかい?」
「あ、ああ・・・」
ホントは初めて食べる物ばかりで良く分からなかった。けど、美味しいと言うとすごくうれしそうに笑った。
また見たいなぁと思っていた顔が見れて顔が綻んだ白。
「お茶飲む?」
「あ、うん」
「はい、ぬるめにしたよ」
「あ・・、ありがと・・・」
こく、とお茶を飲み、
「なあ、仕事っていつ終わるんだ?」
と尋ねた。
「んん?大体定時で五時だからねぇ、急いで帰って六時頃かな。残業や飲みに誘われたらもっと遅くなるけどね」
「ふうん・・・、なるべく早く帰れよ・・・」
「っ!うん、そうするよ。待っててね、じゃ僕は仕事に戻るね」
「ああ」

 白は夕方まで、何をするでもなく手にした簪を玩んでいた。
「ヒマだ、つまんねぇ・・・」
腹は満たされていたが、何か物足らなかった。
「んー、何か足んねえ・・・」
蒲団の中でころころ寝がえりを打っていると知った霊圧が入ってきた。
「ただいま」
「遅い」
「御免ね、夕食食べる?」
「ん〜、ああ、食べる」
足りない何かはきっとこの男から奪うか、貰うかすれば良い、今は飯だ。
「これね、一護君の好物なんだって、白君の好物は知らないからねぇ、気が向いたらで良いから教えてよ」
そう言って、ハンバーグ定食の弁当を置いた。出来たてみたいで、まだ湯気が立っていた。
「へえ、なんだこれ?」
「ハンバーグだって、僕も初めて食べるんだけどねぇ、美味しそうに食べてる所見たことあるよ」
「ふうん・・・」

「あちっ!これ熱いな」
「味噌汁かい?一護君と同じ反応だねぇ」
ふふふ、と笑った。
「ん、あ、美味い。これ肉なんだな」
「うん、美味しいねぇ、これ人気メニューなんだよ」
「ふうん」
「食べ終わったらお風呂に入りなさいね」
「なんだよ、入れてくんねえの?」
「しょうがないなあ、うちのお姫様は」
「姫って言うな!」
「あはは、ごめんごめん、元気出たみたいでよかった・・・」
柔らかく笑う京楽。

 風呂場に着くと、寝巻きを脱がすのも全て京楽がした。
椅子に座らせると、櫛で髪を梳き頭から洗っていった。
「う・・・、慣れねえな、これ」
「シャンプーは嫌いかい?」
「目に沁みるから嫌だ」
「ちょっとの間だから我慢してね、さ、お湯掛けるよ」
「う、ぷふっ!」
プルルッと頭を振ると、京楽が微笑みながら、
「次は背中洗おっか」
「背中だけ?」
「う・・、全身洗ってもいいのかい?」
「お前しか居ないんだろ?代わりに俺が背中洗ってやんぜ?」
「洗います!」
くくっと、白が笑うと京楽が、
「何か面白かったかい?」
「別に、こんなん初めてだからな」
「そっか、これからはいつでもしてあげるよ」
「・・・ふ、ん」
なにか煮え切らない返事をした白。

 京楽に爪先から足の先まで洗って貰った白。お湯を掛けて泡を落とされると手拭いを奪い、
「おら、背中出せよ」
「ええ、ホントに洗ってくれるんだ、嬉しいねぇ」
また、嬉しそうな顔で笑う。
「うるせえよ、嫌なら」
「嫌とは言ってないよ!?お願い」
長い髪を前にずらすと白に背を預けた。
広い背中。ん・・?爪痕・・・?あ!俺か!
ゴシゴシと力任せに洗う白に、
「痛たた、痛いよ、白君」
「う、ほれ、洗ったぜ」
白の顔が赤い事に気付いた京楽が、なるほどね、と思い、
「ありがと、風邪引くといけないから、先に湯船に浸かっておいで」
「・・・。いい、一緒で」
そっぽを向きながらぽつりと言った。京楽が、目を丸くした。
「じゃあ、急いで洗わなきゃね」
と、大急ぎで、身体と髪を洗い終えた。
「お待たせ」
「遅い」
笑いながら一緒に湯船に浸かる。

「体調はどうだい?吐き気とかはしない?」
湯の中で白の髪を梳いたり、肩に湯をかけたりしながら訊いた。
「ああ、もう無えよ、今日は退屈だった、何とかしろ」
「何とかって・・・」
「外に出れねえし、俺は字も読めねえからな、寝るのも飽きた」
「そっか、じゃあ明日何かお土産買ってくるよ」
「土産?」
「うん、さ、もう出よう、湯あたりしちゃうよ」
風呂から上がって、白の髪を乾かしてやり、身体も拭いて、寝巻きを着せてやった。
「はい、先にお蒲団に入っておいで」
「ん・・・」

 京楽が、寝室に入ると白は既に蒲団に入って眠っているようだ。
「白君、隣り入るよ?」
と膝をついて声を掛けると、蒲団の中から這い出てきて京楽の膝に手をつくと、
「欲しい」
と囁いた。
「え、何が?」
「だから、コレ」
言いながら、京楽の中心を弄る。
「ちょっ、ヤバイから!」
「ヤバイのはあんただけだろ、俺は関係ねぇ」
前を寛げて、京楽の中心を、パクリと口に含んだ。
「うわっ・・・、う、あ・・・」
ちゅ、ちゅ、と淫らな音が響いて京楽のモノが熱く滾ってきた。
「あ、感じてんじゃねえか・・・」
クチュ、クチュ、とさらに続ける白に、
「あ、当たり前でしょう?まったく・・、いつ覚えたの・・!」
「あんたが俺にしてんじゃねえか」
尖らせた舌先でグリッと先端を抉ると、
「あっ、白、君!イクよ!」
「ん!んく、んく、んふぅっ!んくん!」
「あっ、ああ、ぜ、全部飲んだのかい?」
「・・・足んねぇ・・・、まだまだ足んねえよ、もっと寄こせよ・・・」
白の唇には、飲みこみ切れなかった精液が付いていた。それを舐め取るとまた顔を埋めてきた。
「白君!ダメだよ」
「何がだよ?足んねえんだよ、飯だけじゃ全然足んねえ、お前を寄こせよ、お前のを寄こせ」
青い舌が卑猥に自身に絡まるのを目の当たりにした京楽が、
「ああ、白君、白君・・・」
白を呼びながら、髪を撫でた。復活した頃、
「白君、抱いてもいい?」
「ん、あ、良い、けど・・・」
白の顔を手で包むと口付けた。残った残滓を全て舐め取り、舌を絡めた。
「んん、ふぅ、あ、何考えてんだ、あんたの咥えたばっかだぞ」
「ん〜?だって白君、可愛いんだもの。それに口付けから始めたいんだよ、愛してるからね」
「馬鹿か!」
「君を手に入れるなら馬鹿で良いよ」
ちゅ、ちゅ、とキスを雨を降らせる京楽。
「う、んん、や、くすぐってぇ」
「まだ、安定期じゃないからね、あんまり出来ないけど、気持ち良くはなってね」
「う、あん!」
胸の飾りを舐めあげ、舌で転がした。色づいた周りも舐めては、歯を立てたり、摘まみあげたりした。
柔らかい舌が肌を行き来する度に身を捩り、声をあげる白。
「あうん!うう、いや、ぁ」
「ふふ・・・可愛い声、気持ち良い?」
「あ、ふ、やぁん、だ、だってヒトに舐められるのあんたが初めて、だし・・・」
「ああ!白君、白君・・・!」
愛撫はどんどん下肢へと進んでいった。既に硬くなり濡れそぼっている白の中心を口に含んだ。
「あっ!ああっ!だめ!くんん!ん!ん!」
「白君、耐えなくてもいいよ?ほらイって・・・?」
京楽が括れを軽く噛んで吸いあげると、白が達した。
「あうん!ああっあーー!」
口に出されたモノを躊躇することなく飲み下す京楽。
「あ、ばか、あんたが飲んでどうすんだよ・・・」
「いいじゃない、美味しいよ。まるで甘露のようだよ」
身を起こし白の顔を見ようとしたが先に目に入った白い肢体に煽られる。
蒲団に広がる白い髪に、僅かな光りをも弾く身体に、乱暴にでも掻き抱きたい衝動に見舞われ必死に抑え込んだ京楽。
「綺麗だよ、白君・・・とても・・・」
「や、言うな・・・」
「じゃあ、気持ち良くなって?」
白の太腿を持ち上げると、蕾に舌を這わせ、蠢かせた。
「ひぃん!やぁん!それ、それやだぁ・・・」
京楽の髪を両手でわし掴んで抗議するも聞いてくれなかった。
「あ、あ、あ、や、だぁ、ああ!い、入れるなぁ・・・」
「ん?いや?じゃあ、こっちでしようね」
と潤滑剤を取り出した。たっぷり指に取ると、ゆっくり指を入れていった。
「ああ・・・、あ、やんん・・・」
くちゅくちゅと音を立てて、出入りする指が不意に中の弱い所を押した。
「んあっ!あっ!あっ!なっ、なんだソコ!」
びくびく、と身体を揺らしながら聞いてきた。
「前にも言ったでしょ?前立腺だよ、君の感じるところ」
クリ、と指を動かすと跳ねる身体。
「んん!や!」
指を3本に増やして、グチュグチュと掻きまわす。
「んんやあ!早くぅ・・・!もう、挿れて、よ、京楽さん・・・」
「白君、春水と呼んでくれないかい?」
かり・・・、と襞を軽く引っ掻くと揺れる腰と声。
「ひぁ!あ!あ!い、いじわ、るだ・・・」
ふっ、ふっ、と息を乱し言い募る白。
「だって呼んでくれないんだもん、僕は白君に呼ばれたいな」
言っている間も緩く指を動かしている。
「はぁん、イクゥ・・・、も、もう・・・」
「だぁめだよ、ねぇ、呼んで・・・」
グチュッと奥を突いた。
「んああ!しゅ、すい、さ!ああ!」
「ああ、やっと呼んでくれた・・・!」
ズルッと指を抜くと自身を宛がい、ゆっくり中に這入っていった。
「あ、ああ、ん、熱い、よぅ、春水さん!」
「君の中も熱くてすごいよ、白君、白君・・・!ああ、動くよ?」
「うん、うん!早く!」
ずりゅっと抜くと、奥を気遣いながらも抜き差しを繰り返した。
「ああん!ああ!いっ、イイ!もっと、もっとぉ!」
きゅう、きゅうと締め付け、強請る白。
(まいったね・・・)
京楽は白の中心を掴むと優しく扱いては、先端を抉り、前立腺を攻めた。
「き!やあ!ああっ!ああっ!イクッ!イクッ!あっあーー!」
「くうう!」
同時に達した二人。白の中に全て注ぎ込んだ京楽。
「はあ!はあ!ね・・・、もっとしよ・・・」
「僕もしたいんだけどね、赤ちゃんが大事だから・・・」
「う・・・」
「だから後一回ね」
「ん・・・」
ゆるゆると動きだす京楽の動きに合わせて腰を揺らす白。
「はあん・・・、気持ち良い・・・」
「あぁ・・・、僕も気持ち良いよ、白君」
抱き締めながら、生理的な涙が浮かんだ眦に唇を落とした。
「ふぁ!ああん!善いっ!いいっ!しゅんすいっ!」
「愛してるよ・・・、白・・・」
「ひああん!」
耳の傍で囁かれ達した白は気絶した。その締め付けで白の中に注ぎ込んだ。
「くう!」
自身を抜き取り、白の身体の処理をしようとしたが中からは何も溢れて来なかった。
「あれぇ?なんでだろ?」
首を傾げながらも起こさないように白を風呂に連れて行き、洗い清めた。


第5話へ続く



09/04/13作
エッチの後半に現れる白のデレの部分、京楽さん、ノックアウト。


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