題「馴れ初め」2 | |
「何か・・・、気持ちワリィ・・・」 巣穴で呟いた白。最近食欲もない。ふと、巣穴の隅に置いてある着物が視界に入った。 なんか、アイツのトコから帰ってくるとそうでもないのに、時間が経つと体調が悪い気がする・・・。 そんなこんなで、週末には京楽邸に訪れる白。 「やあ、来てくれたんだねぇ、嬉しいなぁ」 まただ。心底嬉しそうな顔しやがって・・・。勘違いすんだろうがよ・・・。身体だけのくせに・・・。 「どしたの?顔色悪いね?」 「どうもしねえよ・・・、早く脱げよ」 「それより先にお風呂に入ろう」 「いい、早く犯せよ!」 「・・・嫌な言い方しなさんな・・・。怒るよ・・・」 「うるせえ、気持ち悪いんだよ・・・、さっさとしろよ・・・」 「気持ち悪い?大丈夫なのかい?やめといた方が・・・」 「テメエがしねえんなら他の男んとこ行くぜ」 言い捨てると帰ろうと京楽に背を向ける白。その肩を掴んで強く引き戻し蒲団に押し倒す京楽。 「イッテェな!何しやがる!」 睨みあげるも、既に首筋に顔を埋めている京楽の顔は見えない。 「・・・他の男・・・?行かせるわけないでしょ?何言ってるの・・・」 ガブリと噛みつかれた。 「イッ!」 「ねぇ・・・?どうしたの?いきなりそんな事言い出して、そんなに僕を怒らせたい?」 「へっ!怒ってみろよ。どうすんだ?縛りあげんのか?殴るのかよ?」 京楽は無言で白の着物をビリビリに破り去った。 「なっ!てめえ!」 少なからずショックを受けた白。この着物は京楽から初めて貰ったもの・・・。初めて寝た翌日に、 「それじゃあ寒いでしょう?」 と言ってくれた物・・・。ガラにも無く浮かれた事が頭に浮かんだ。 「何怒ってるの・・・。コレは僕があげたんだから、どうしようと僕の勝手でしょ?」 「貰った時点で俺のもんだろうが!離せ!くそ!」 抑え込まれた腕はビクともしなかった。 「駄目、君の言うとおりさっさと始めるよ・・・」 そう言うと潤滑剤を塗り込めた。 「う、冷た・・・!あっ、いっ!あっーー!」 慣らしもせずに押し込んだ。 「くっ!やっぱりきついね・・・、緩めてよ、白君」 「あ・あ・あ、はあっ!くうぅっ!」 痛みでぼろぼろ涙を零す白を見て、 「ゴメンね、でももう止まらないから・・・」 「ひぃっ!いああっ!ああっ!ああっ!」 怒りに任せてガツガツと奥を突いた。 「ひい!も、もう・・・!」 「もうイク?じゃあ、僕もイこうかな・・・」 グリッと白の前立腺を抉ると白が先に果てた。 「ひいあぁ!」 「う!くう!」 白の中に出すと、ずるりと抜き取り中の処理をした。 白が震えているのに気付いた京楽。 「寒いのかい?新しい着物取ってくるよ」 その部屋から出た隙に狐の姿になって屋敷を飛び出した白。 「待った?これ・・・、!」 もぬけの殻のなった部屋を見て愕然とする京楽。 「しまった・・・!」 どうやら傷付けてしまったようだと気付いたがもう近くにはいなかった。 腰が痛えな・・・。やっぱり身体だけだ・・・。俺もそのつもりなんだ、何の不都合がある?くそ!くそ!二度と行くか! その内、腹が痛みだした白。 「一護んとこで休むか・・・」 「一護、居るか?」 「あ、白にぃに!また来てくれたの!」 「あ、ああ、どうだ、あの後」 「あ、うん。あれね病気じゃなくて悪阻だって」 「つわり?」 「うん、俺、赤ちゃん出来たんだって」 「・・・3人目かよ」 「えへへ、にぃに今日は狐なんだね、触ってほしいから人の姿になってくれる?」 「あ〜、でも裸んなるぜ」 「ちょっと待ってて」 奥に行くと自分の着物を持ってきた一護。 「はい、これ!合うといいけど」 「双子なんだから合うだろ」 人型になった白が袖を通す。 「あ、似合うねぇ、にぃに」 「で、ガキは?」 「あ、ここ」 白の手を取り、へその上に当てた。 「ここに居るんだって、まだ3週間だから分かんないけど・・・」 「へえ、悪阻はもうおさまったのか?」 「うん、剣八から霊力貰ってるから・・・」 頬を赤らめながら呟く姿に、何となく方法が分かった白。 ん?じゃあ自分も?まさかな・・・。 「今度はにぃにも抱っこしてね!」 「あ?ああ、楽しみにしてるよ、じゃあな」 「もう帰るの?ご飯食べて行かない?」 「いや、いい、また今度な・・・」 「そう?また来てね」 「ああ・・・」 幸せそうな一護を見て安心すると同時に何故か自分がひどく惨めに思えた。 一護からもらった着物を着て帰ろうと瀞霊廷を歩いていると京楽に見つかった。無視しているといつの間にか背後にいた。 「どこ行くの?この着物誰の?」 「帰るんだよ・・・!誰のだっていいだろうが!関係ねえだろうが!例え身体売って貰ったとしてもよお!」 ぎり・・・と腕を掴まれた。 「身体・・・、売った?本当に?」 「痛・・・!関係ねえってんだ!離せよ!」 「離さない、うちに戻るよ」 瞬歩で屋敷まで戻る京楽。 「ねぇ、ほんとに?身体売ったの?なんで?」 「はあ?テメエに何か関係あんのかよ?テメエも身体だけだろうがよ、違うとは言わせねえぞ」 傷ついた目で睨みながら、詰る白。 ああ・・・、この子は今自分がどんな顔をしてるのか分かってるのかな?傷ついて、今にも泣きそうな顔で強がって・・・。 でも傷付けたのは僕じゃないか・・・。 「ごめんよ、さっきの事は謝るから、他の男とか、身体を売るとか言わないでよ・・・」 「・・・何でだよ・・・?」 「なんでって、そりゃ・・・」 「あっ!痛ぅ!」 白が腹を押さえて蹲った。 「ど、どうしたの!白君!」 「は、腹、がイテぇ・・・!」 脂汗を流しながら呻く白を見かねて京楽が卯ノ花を呼んだ。 「京楽隊長?どういう事ですか、彼は一護君のお兄さんでは?」 「うん、それより早く診てあげて?」 診察を終えると卯ノ花が深刻な顔で告げてきた。 「端的に言います。彼は妊娠しています。そして今、流産の危機に面しています」 「なっ!流産!?どうにかしてくれないか、卯ノ花さん!」 「それは、助けろ、という事ですか?」 「当たり前でしょう!」 「では、うちに入院していただきます。よろしいですか?」 「・・・い、嫌だ!」 「白君、何言ってるの!」 「一護にバレたら、腹のガキと一緒に出て行くからな!」 「馬鹿な事を!今そんなことをしたら母子ともに危険です!」 「うるせぇ!」 「白君・・・、落ち着いて、言わないから、誰にも言わないよ・・・。だからね、元気な子産んでおくれよ」 「は!誰の為に?誰も・・・、テメエも望んじゃいねえだろうが!」 「・・・。君は?君の子でもあるよ、その子が生まれたら家族が出来るよ?」 「う・・・、くそ・・・、ちくしょう・・・」 「さ、結界を張って誰にもバレないように致します。お腹の子供に罪はないでしょう?」 「・・・分かったよ・・・、行きゃあいいんだろ・・・」 霊力を隠して四番隊の特別な個室へと移った白。卯ノ花によって当面の危機は去ったが気が抜けないと言う。 ベッドに横になり眠る白の横に座る京楽。先程卯ノ花に言われた言葉を思い出す。 『まだ安定期でも無いのに、激しくされたのが原因でしょう。今夜一晩治療を続けます』 「ごめんよ・・・」 第3話へ続く 09/04/08作 すれ違う白と京楽さんでした。 |
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