題「馴れ初め」11
 京楽が寝室に入ると白は蒲団に潜り込んでいた。
「・・・白・・・、怖いのかい?今日はやめとこうか?」
がばっと起き上がり、
「や!やだ!なんで?何でそんなこと言うんだ?俺は春水が欲しい!」
とまくし立てた。
「早く、早く抱いて?寒いんだ・・・、あんたの熱が欲しいんだ・・・」
「白・・・!ああ、今すぐにでも!」
お腹を気遣いながらも抱き締めた。
「ああ・・・、春水の匂いだ・・・。安心する・・・」
「白・・・、可愛いこと言わないの、手加減忘れちゃうじゃないか」
「ん、ね、きて・・・?」
「うん」
ちゅ、と口付けし、より深い口付けを交わしていく。
「んん、ぁぁ、しゅ、ん、ふぁ、ん」
「しろ・・・」
愛しげに髪を、身体を撫でていった。
「ああ・・・、気持ちいい・・」
「嬉しいな・・・、もっと感じて・・・?」
ちゅっちゅ、と胸にキスをしていく。
「ああ、もう入れて・・・、春水・・・」
「え?まだ早いよ?」
「いいから、早く・・、繋がりたい・・・!」
「白・・・!でも傷付けたくないからね、潤滑剤使うね?」
「あん・・・、しゅんすい・・・」
いつになく甘える白。
傷付けずに潤滑剤を塗りこめ、熱く滾った自身を宛がいゆっくりと這入っていった。
「んああ、しゅんすいの熱い、もっと、俺を満たして・・、俺の中をあんたでいっぱいにして・・・」
「白・・・!ああ、動くよ?たくさん僕を感じて・・・」
「あん、あ、あ、いい、春水!熱い、熱い・・・、もっと!」
「ああ、愛してるよ、白」
「んん!俺も、あいしてる・・・!はあん!も!イク・・・」
「じゃあ、一緒、に・・・!」
「ふああ!あああん!あぁー!」
「くっ!」
どくんっと中に熱いものを感じて震える白。
「ああ・・・、春水の・・・」
「白・・!白・・!頑張るからね、赤ちゃんも元気に・・・!」
「あん・・・、おっきくなったぁ・・・」
「ふふ、白が可愛いからだよ・・・、たくさん、たくさん吸い取ってね」
「ばかぁ・・・、ああん!そ、そこダメ!あうっ!あうっ!やん!出ちゃう!よ!」
「ああ・・・、いいよ?君が感じてる証拠だもの」
「ばかぁん!ああ!んん!んん!」
「声、抑えないで?聞かせてよ、可愛い声なんだから・・・」
「はあん!もっ!もうイクッ!」
「白!」
ぷしっ!と潮を吹き、がくがくと痙攣しながら達した白の奥へと注ぎこむ京楽。
「んああ!・・・だから・・!出るって言ったのに・・・!」
「ああ・・・、言ったね。だってあんな事言われたら止まらないよ・・。男なんだ僕も・・・」
「あ、う・・・」
顔を覗きこまれ居た堪れない白。
「知ってるよ・・・。まだ俺の中に入ってるクセに・・・」
くちゅ・・・と腰を揺らし誘う白。笑いながら乗る京楽。
「ふふふ、イケない子だなぁ・・・」
「こんな俺も好きだろ?」
いつもの調子に戻っている白に内心、胸を撫で下ろす京楽。
「まだまだ行くよ?大丈夫かい?」
「ああ、まだ足んねえよ・・・。腹一杯くれよ」
「仰せのままに・・・、我が愛しの白き姫よ・・・」
「ふん・・・」
翌朝、機嫌の良い白に目を細めながら、仕事に向かう京楽。首に赤い跡を付けたまま・・・。

 隊首会の後、浮竹に呼び止められた。
「京楽、昨日はすまなかった。いきなり行って・・・。」
そこまで言って首の跡に目が止まる。
「ん?なんだい?なんか付いてる?」
「あ、ああ、後で鏡でも見ると良い・・・」
「ふうん、なんか用?」
「ああ、今度またお前の屋敷に行ってもいいか?」
「なんで?」
「話がある」
「う〜ん、お姫様に聞いてみるよ。それ次第だね」
「そうか・・・」

昼飯時。
「というわけなんだけど・・・。また彼らが来るけど良いかい?」
「別に・・・。良いんじゃねぇの?あんたの家なんだし」
もぐもぐとご飯を食べながら言った。
「そう?じゃあそう言っとくよ」
「ん。それ寄こせ」
「どれ?」
「卵焼き」
「良いよ、はい、あ〜ん」
「あ」
「まだ何かいる?」
「いや、あんたが食えよ、夜もたねえだろ?」
いたずらな笑みを向けてきた白に、
「そうだね、たくさん食べて頑張るよ」
「くく!おっかしいの」
「そうかい?」
和やかに過ぎる時間。
「じゃあ、行ってくるね」
「ああ」
そう言って午後の仕事に出て行った。

「浮竹、お姫様のお伺いをたてたよ」
「そうか、なんだって?」
「いいってさ。何の話なのさ?改まっちゃってさ」
「まあ・・・、な」
「良いけど、機嫌悪くさせないでね?」
「彼女のか?」
「他に誰かいる?」
「なるべく、そうしよう・・・」

 定時に仕事を終え、食事とお土産を持って帰る。
「ただ〜いま!僕の白!と赤ちゃん!」
「恥ずかしい奴だな。毎日よ・・・」
「だぁって、君の傍に居ない時間が辛いんだもの、甘えさせてよ」
「へーへー、ガキが腹減ったてよ」
「はぁい!すぐに食べよ!出来たてだからね!」
「ふうん、何だよ今日のメシ」
「お肉だよ。豚の生姜焼きだけど食べれるかい?」
「ん、いける。早く食おうぜ。誰か来んだろ?」
「ああ、そうだった。二人きりの方が楽しいけどねぇ・・・」
「ばーか」
夕食の時間も和やかに過ぎた。そこへヒラリ、と地獄蝶が舞い込んできた。
「なんだ?黒い蝶?」
「ああ、僕に伝言だね。・・・・」
「なんだよ?」
「この間の二人がもうすぐ来るってさ」
「ああ・・・。貴族の・・・。手短かに終わらせろよ、めんどくせぇ」
「そう願うよ」

 そう言っている内に二人がやってきた。
「京楽、居るか」
「居るよ、勝手に入って良いよ」
「ものぐさだな」
「邪魔をする」
屋敷に上がる二人。
「ここか?入るぞ?」
スラッと障子を開けると上座には脇息に寄りかかり二人を見上げる白と、その横に京楽が居た。おはじきで遊んでいた。
「やあ、座りなよ二人とも。お茶でも淹れるよ」
とその場を立って出て行った。
「・・・」
「・・・・」
奇妙な沈黙が流れた。

「座んねえのか」
おはじきを弾きながら白が言った。
「え?」
「屋敷の主が言ってんだ座って良いんじゃねえの?」
「そうだね、じゃあ失礼するよ」
「うむ・・・」
「ふう・・・」
「あの、気分でも、悪いのかい?」
「別に・・・」
この間の様に敵意や殺気は無いものの歓迎はされていないのが分かった。

「お待たせ。はい、白には鯛焼きもね!」
「ああ」
ずずっと茶を啜り、
「熱い・・・」
「あ、ゴメンね、淹れ直そうか?」
「いい、話終わらせろよ」
「そうだね。で?話ってなんだい?浮竹」
「あ、ああ。その、彼女のことなんだが・・・」
「白の?なんだい?」
「どういう関係なんだ?」
「浮竹・・・、時期が来たら紹介するって言ったじゃないか。朽木君も」
「む・・・」
「では、彼女が?その・・・」
「そうだよ。僕のいい人!可愛いでしょ?白って名前なんだ」
「可愛い言うな」
ごすっと殴られる。
「あはは、痛くないよ〜」
「けっ」
鯛焼きにかぶり付く白。
「ではこの子と祝言を挙げるのか?」
「さあ?白の気持ち次第だよ。僕はずっと一緒に居るつもりだけどね」
「馬鹿か!お前は京楽家の二男だろう?家はどうするつもりだ!立場を考えろ!」
「兄貴がいるでしょ?僕には関係ないよ」
「関係無い?兄は本気で言っているのか?大体その者とはどこで出会ったのだ」
「それこそ関係無いねぇ・・・、そんな下らない話する為に来たのかい?君ら二人?」
「くだらない?」
「だぁって、そうでしょ?好きな子を幸せにしたいのが僕の望みなのに、君らは反対してるんだよ?」
「だが、家のこと考えるとだな」
白が二人からは見えない様に京楽の着物を握り締め震えて見上げていた。それに気付いた京楽が、
「浮竹・・・、それ以上言うなら帰ってもらうよ・・・」
「京楽・・・、しかし」
「帰ってくれないか」
「・・・分かったよ。だが隠す事など出来ないぞ」
「隠すつもりなんてないさ。時期がいるんだよ」
「そうか。ならもう何も言わん。俺達は帰るよ、悪かったね嫌な話をして」
「・・・・・」
無表情に二人を見る白。その目には何の光も映ってはいなかった。

「ゴメンね?びっくりしただろう?」
「・・・俺は・・・」
「ん?」
俺はあいつらと同じ事を一護にしてしまった・・・!自分の孤独を癒すためだけにあいつを家族から、旦那から離した。
なんてひどい・・・、ひどい兄貴だろう。
「どうしたの?白」
「何でもねえよ・・・」
明日、謝りに行こう・・・。まだ腹も目立ってねえし、着込めばバレねえだろ。
「今日はもう寝ようか?」
「うん、何か疲れたよ」
「そうだねぇ、悪い奴じゃないんだよ。ただ真面目すぎるんだ、あの二人は」
「別に・・、正論だろ。アイツ等の言ってることは」
「白?」
「おはじき、無くすなよ」
ふわっと立ち上がり、寝室へと消えた。

「白?寝てるの?今日は寝るだけかい?」
「ああ、なんか気分じゃねえや・・・」
「残念・・・」
「ばーか・・・」
白を抱き締めながら一緒に眠る京楽。


第12話へ続く



09/04/28作 ちょっと甘え方がうまくなった白。京楽さんを心配するあまり反対してしまう浮竹さんと白哉。
この後、白の取る行動は!?




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