題「馴れ初め」
「う・・、朝か?おい、退け。帰る」
「ええ〜、まだいいじゃない、もっとゆっくりして行きなよ」
そう言って俺に抱き付く男。
「うるせえ、てか髭が痛ぇよ!」
言っているのに俺の腹に顔を擦り付けるのをやめない男の名前は確か、京楽春水。
なんで、コイツとこんな関係になったんだっけ?

 あれは確か一護の見舞いに来た時か。帰りにこいつに声掛けられて、酒でもどう?とか言ってたな・・・。何回断ってもしつこくって根負けしたんだよな。

「あっれ〜?一護君そっくりだねぇ。誰?」
間抜けな口調。
「テメェこそ誰だよ。気安く話し掛けんな」
「一護君のお兄ちゃんかな?もしかして」
「だったらなんだよ!」
「この後ヒマかい?一緒に飲まない?」
「はあぁ?」
何言ってんだ?コイツ?
「嫌かい?」
「あ、当たり前だろ、何企んでやがる?」
「なにも?ただ君とお酒が飲みたいだけだよ」
「なんで俺なんだよ、そこらにお仲間がいるだろうがよ!」
「いいじゃな〜い、何でも好きなの奢ってあげるよ?」
ねっ?ねっ?とガキみたいにしつこかったから・・・。
「わあったよ!うるせえから兎に角黙れ!」
「えっ?良いの?ほんとに?」
「テメエが誘ったんだろうがよ・・・」
「やあ嬉しいなあ」
その時の笑った顔が、余りにも無防備で朗らかで・・・、胸の底が疼いた。
「っ!おら!一番高ぇ店に案内しやがれ!酒も一番高いの頼むからな!」
「いいよ〜、えへへ」

 着いた所はこいつの私邸らしかった。
「おい、俺は一番高い店つったんだよ!ここテメエの家じゃねえか!」
「大丈夫だよ、誰も来ないから。それにここにあるお酒は良いヤツばっかだよ、飲んでみて?」
「ちっ!まずかったら、家に火ぃ付けてやるからな」
「怖いなぁ、もう。あ、おつまみいるかい?」
「別にいらねえよ」
「そう、じゃあ飲もう!」
用意された酒は確かに美味いものばかりだった。喉ごしも良くてクイクイ入っていった。
「一護君がコッチに来ちゃって淋しくないかい?」
「うるせぇ・・・、俺は狐だ、一匹で、普通なんだよ・・・」
手に持っていた杯をぐいっと呷ると空になった杯を見つめながら、
「・・・寂しいけどよ、一護が笑ってるんだ。これで良いんだよ・・・」
「白君・・・、君は弟想いの優しい子だねぇ」
ぽんぽんと頭を叩く京楽を無言で押し倒す白。
「白、くん?」
「下心見え見えなんだよ、てめぇは」
「僕は慰めてやりたいだけだよ?」
「それが下心っつーんだ」
「じゃあ、君はどうしてほしいんだい?」
「・・・・・・何も考えられなくしろよ。酒なんかじゃ、紛らせらんねぇ。あんたがどうにかしろ」
「いいよ・・・、何も分からなくしてあげる、考えられなく、してあげるよ・・・」
そう言うと京楽は白の後頭部を掴むと口付けた。
「んっ!んん!っふ!くう!」
「そんなに固くならないで・・・、蒲団に行こうか」
「勝手に連れてけ・・・」
「ふふ、我が儘なお姫様だなぁ」
ひょい、と抱きあげ隣りの部屋の蒲団に横たえた。
「ん・・・、もう用意してたんじゃねえか・・・」
「いやいや、僕一人で寝るためだよ」
「ふん・・・」
白の首筋に吸い付き、跡を付ける。ちりり、とした痛みに身を捩る白。
「んん、何しやがる・・・」
「うん、綺麗な華が咲いたよ?キレイだねぇ・・・」
大きな手が胸を這いまわる。
「う・・、は・・・」
(初めてだねぇ、これは・・・)
固く目を瞑り、震えている白を見て内心で可愛いと思った京楽。
胸の飾りを口に含むとビクンッと跳ねあがる身体。
「い、やだ!やめ!それ!」
ビクビクと震え続ける白、意に介さずもう片方を指で摘んで捏ねた。
「ヒィ!あ!あ!あぅっ!」
カリッと歯を立てると甲高い声を上げた。中心に手を伸ばすと既に硬くなって天を向いていた。
「あう!うう・・・」
「先に一回イっとこうか・・・」
「あ?なに、あぁっ!」
京楽が白の中心を口に含んだ。数回舐めただけであっけなく陥落した白。
はぁっ!はぁっ!と息を乱して京楽を睨む。困ったような顔をしながら、
「そんな顔をしないでよ・・・、抑えらんなくなっちゃうよ・・・?」
「くっ・・!」
「さ、今度は後ろ向いて?」
のろのろと動く白の身体を反転させた京楽。触られた瞬間、
「ひぅ!」
と小さく声を上げたのを聞き逃さなかった京楽は、
「ああ、ゴメンね、もうすぐだから・・・」
白の腰を掴みあげると、ひっそりと息づく蕾に舌を這わせた。
「なぁっ!何してやがる!やめろ!離せ!」
暴れる白の中心を握り込んで黙らせる。
「っ!うう、あぁ、い、や・・・!はぁっ!」
くちゅくちゅという音から、グチュグチュと変わる頃には白はもう達しそうになっていた。
「あ・・・あ・・・う、もう、いく・・・」
「駄目だよ・・・、僕が良いって言うまでは駄目・・・」
「な、ん、で・・・ひぅ!」
舌が入ってきた。柔らかいその感触にいやいやと頭を振る白。
前からは絶えず、先走りがぽたぽたと滴っていた。
ぷつり、と指が入ってきた。
「はあぁ!」
「痛くないだろう?」
「う、く・・・」
痛くはないようだが、流石にキツイか・・・。京楽は近くの小箪笥から、潤滑剤を取り出した。
「・・ん、だ、それ」
「ん?潤滑剤だよ、痛くないから安心して・・・」
とろり、としたそれを多めに指に掬い、白の蕾に塗りこめていった。
「んはっ!んんあ!」
「ああ、3本入っちゃったねぇ・・・、動かすよ?」
「あ、ああう、すきに、しろ・・」
「うん、気持ち良くなってね」
そう言うと、グチュっと指を動かし始めた。
「んあ!ああ!あああ!ひっ!やあ!」
「ああ、ここかい?ココが君のイイ所だね・・・」
京楽は、そこを執拗に攻めた。
「も・・・、もうやらぁ・・・、ひっ、ひっ、こ、こわいぃ・・・」
「おやぁ?まだまだこれからだよ?」
未知の恐怖に耳と尻尾が出てしまい涙を零す白に京楽が、
「ほら、怖いなら僕の首に抱き付いても良いんだよ?」
「きょ、らく・・・さ・・・」
縋る様に伸ばされる腕を取り、首に導くと抱き付いた白。
「う・・・、う、もう、入れ、て・・・!」
「いいのかい?じゃ、君の中に入るよ・・・?」
「うん・・・!うん・・・!忘れ、させて・・・!」
くちゅ・・・、と蕾に指を這わすと笑いながら、
「もうこんなに蕩けちゃって、いけない子だねぇ」
「う・・・うる、せぇ・・・!」
「おやぁ?そんな事言うなら、もうあげないよ・・・?」
「あ・・・、い・・や!」
「ほら、前も後ろもトロトロだ・・・、触ってごらん?」
「や、だぁ・・・!」
「じゃあ、奥に何が欲しいか、言ってごらん」
「う、う・・・」
「ほら、その可愛い口で、言ってよ・・・」
する、と唇を撫でる京楽。
「あ、あ、きょ、らく、さんの、ひぅ、ちょ、だい・・・!」
「いい子だ」
「はや、く・・・っ!」
「力、抜いてるんだよ?」
「はぅ、きょ、らくさっ・・・!ああっ!い、痛いぃ!」
「もう、少しだから・・・!」
完全に耳が寝てしまっている白を宥めるように、髪を梳き、緩く奥を突く。
「あ!あう!」
「ぜ、全部、入った、よ・・・!」
「うう、ああ・・・」
ぴくぴくと震える白。
白の腰を抱えあげると、ずるり、とギリギリまで抜き、前立腺めがけて突き入れた。
「ひい!ああーー!ああっ!ああっ!やあぁ!怖い!怖いぃ!」
ぎりり、と京楽の背に爪を立てる白に、
「もうイっていいよ?さあ・・・」
と解放を促した。
「いやああーー!ああっ!ああっ!んあ!あっあーー!」
きゅううと締め付けながら達した白の中に京楽も熱を弾けさせた。
「うっ、くう!」
「ああ!熱い!中熱い!」

「気持ち良かった・・・?」
「・・・・・・」
「あの、白君?」
「・・・腰いてぇ・・・」
「あ、ゴメンね、あんまり可愛くて加減忘れちゃった・・・んぶッ!」
「可愛い言うな!」
「だぁって〜、一晩中離してくんないんだもん」
「うるせえ!イッテェ・・・」
「ほら、今日は一日寝てなさい」
「嫌だ、一護に見られたくねえ!」
「言ったろ?ここは誰も来ないって、それに一護君は仕事場にしか来ないよ。剣八さんが離さないからね」
「ふ〜ん・・・」
「お風呂にも入れてあげるから」
「風呂?まあいいや、全部あんたがやれよ」
「はいはい、わが姫君の仰せのままに・・・」
「ふん・・・!」


 確かこれが最初だったよな?などと考えながら腹の上の京楽を見る。
「なあに?朝からヤルの?僕は大歓迎、ブッ!」
「違う!重いから、どけ!」
一週間前のことをつらつら思い出しても意味がないと帰り支度を始める白。
「帰っちゃうの・・・」
「ああ」
「また来てくれるよね?」
「気が向いたらな・・・」
「んふふ、嬉しいな」
「物好き・・・」
「でも、ゴメンね、初めての相手が僕で・・・」
「はあ?熱でもあんのか?いきなり」
「ひどいなあ・・・、いつも早いよね、そんなに一護君に見つかるのが嫌?」
「ああ、あんたがどうこういうより人とこうなったってバレたくねえ・・・」
「そっか、じゃあしょうがないねえ・・・」
少しさみしそうに聞こえたのは気のせいか。
「僕の着物受け取ってくれたから、良しとするよ。またね」
「さあな」
朝靄の中、山に帰る白の後ろ姿を見送る京楽。白の身体の変化に微妙に気付きながら・・・。


第2話へ続く




09/04/08作 第81作目です。
ちょっと加筆。
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