題「鬼事」2 | |
次の日の朝、十一番隊は騒がしかった。何せ襤褸を身に纏った男が、 「一護を返せ!戻せ!アイツは俺のなんだよ!」 と騒いでいるのだ。 いつもは遅い剣八も弓親や一角に起こされ、一護を出せと騒いでいる男が居ると聞かされては寝ていられない。 「どこに居るんだ?その命知らずは?」 素早く着替えながら訊いた。 「うるさいんで、取り敢えずはウチの敷地に」 「ふうん・・・」 「剣八?どうかしたの?」 「なんでもねえ、ココにいろ・・・」 「うん・・・」 心配そうに眉を寄せ、子供達を抱きよせる一護。 剣八が騒ぎを起こしている男に近付くと、その男は何の躊躇もなく剣八の首に斬りかかった。 「おっと、何しやがる?命知らずもほどほどにしとけよ」 「うるせえ、一護を出せ!一護を返せ!お前なんかに渡すか!」 「お前、一護の何なんだ?」 「俺は一護の兄貴だよ、アイツは俺の片割れだ、誰にも渡さねえ・・・」 不敵に笑うその姿は頭の先から足の先まで真っ白で目は白目が黒く、瞳は一護と同じく琥珀色をしていた。 そして顔は寸分の違いもないくらい一護と同じだった。 「信じらんねぇな」 「だったらアイツを連れてくりゃ良いだけだろう?それとも怖いのか?」 「ちっ!一護を連れて来い」 「あ、はい」 弓親に連れて来られた一護。不安そうに剣八の腕に寄り添った。 「なぁに?俺何かした?」 「・・・一護、お前あいつ知ってるか?」 「え?」 示された男を見る。首を傾げる一護。 「俺にそっくりだね、誰なの?」 「一護!お前自分の兄貴を忘れたのか!?」 「おにいちゃん?おにいちゃん・・・、ん・・・?」 「思いだせ!お前が病気で倒れた時まで一緒だった」 「病気・・・、とと様が死んだ時のこと?」 「ああ・・・、俺はその人間に仕返しするためにかか様とお前の傍を離れたんだ」 「あ、ああ・・・!しろ、にぃに?」 「そうだ!思い出したんだな!帰るぞ、ここはお前の居るべき場所じゃない」 「や、なんで?みんな良い人達だよ。それにココには剣八と俺の子供達が居る・・・」 「お前の子供は連れて来ても良い、とにかくお前は俺の傍を離れんじゃねえよ」 「でも・・・、俺はココに居るの!」 「駄目だ!俺と帰るんだよ!」 「何勝手に人の女房連れてこうとしてんだ?テメェ・・・」 「うるせぇ、邪魔すんな殺すぞ」 「やめて、にぃに。剣八は俺の旦那様なの、ちゃんと祝言も挙げたし、子供も産んだよ」 「産んだ?誰がだ?」 「俺が・・・、だから正真正銘剣八と俺の子供なの」 「ありえねぇ・・・、百年に一度あるかないかだぞ」 「でも、産んだの・・・」 「かか様・・・?」 「かか様、そいつ誰?!」 子供達が一護の霊圧の乱れを敏感に察して出てきてしまった。 「朔!十六夜!危ないからとと様の後ろに隠れろ!」 突然霊圧を上げた一護の兄。 「取り敢えず、その男を殺しゃあお前がここに留まる理由は無ぇよなあ?」 「させない・・・、そんなこと・・・」 一護も霊圧を上げていく。 「お前じゃ俺に勝てねえよ?お前は今まで護られて生きてきた、俺はずっと一人で戦って生きてきた。この違いが分かるよな?」 「それでも引かない。俺は剣八のお嫁さんだし、剣八を愛してるもの!」 その内、狛村や総隊長などがやってきた。 「何事だ、更木!この禍々しい霊圧は?」 「そいつのだ・・・!」 子供を庇いながら端的に告げた。 「何者か?」 「一護の兄貴だよ。うっせぇな」 「狛村さん・・・」 「ひとまず霊圧を下げよ。子らが怯えておる」 「朔!十六夜!」 子供達はぶるぶる震えながら泣いていた。 「ちっ!いいか、てめえは狐なんだよ!人間になれるわけがねぇんだ。分かってんだろ?今は幸せかもしれねぇが、これだけは覚えとけ。俺達は狐で、それ以上も以下にもなれねぇんだよ!」 「そんな・・・こと・・・!」 ふん、鼻を鳴らすと白い男は消えた。 「・・・護、一・・・護、一護!」 「あ、剣八・・・」 「何気にしてやがる?お前は何も気にしねえで俺の横に、ガキと一緒にいりゃあいいんだ!分かったな!」 「う・・・ん」 「かかしゃまぁ〜」 「ひっく、かかさま・・・?」 「大丈夫か?痛い所はないか?」 「ない・・・!何処にもいっちゃやだ〜」 「やだ〜!ああ〜!」 「い、かない、行かないよ・・・、大丈夫・・・」 「弓親、ガキ共奥に連れてけ」 「はい・・・」 「や!いやあ!かか様!かか様!」 「かか様!かか様!ヤです!」 「大丈夫だよ、弓親の言う事聞いていい子にな」 一護は子供達の顔の涙をペロペロ舐めとって落ち着かせた。 「どうするかの?あの男また来そうじゃな・・・」 「結界を貼りますか?」 「じゃが長くは持つまいよ」 「あんな奴殺しゃあいいじゃねえか、いきなり来て人の女房に手ぇ出しやがった上にガキまで・・・!」 泣かせやがった・・・! 「じゃが、あれは一護の兄であろう?」 「うん、かか様死んでから思い出せなかったけど、白(しろ)っていう双子のお兄ちゃんなの。とと様が殺された後から居なくなって、時々かか様言ってた、『一護、貴方の毛並みは太陽の様だけどあの子の毛並みはお月さまみたいだったわ』って」 「ちっ!じゃあ、どうすんだよ?諦めさせるいい手だてあんのかよ」 「俺が・・・」 「却下だ、お前はここに居るんだ!」 「でも・・・」 結局良い案など出なくて、また来たら追い返すか、ここで一護と暮らすか説き伏せるという事になった。 「ゴメンね・・・」 「お前のせいじゃねえだろ?急に来たあいつが悪い」 「でも、ごめん・・・」 「いいから、今日は飯も食堂ので良いからよ、休んで子供らと一緒に居てやれ」 「うん」 夕飯まで子供たちを抱き締め、離れなかった一護。 夕飯も済み、子供達とお風呂に入り剣八と蒲団に入る。あんな事があったせいか、ただ抱き締めて眠る剣八に身を擦り寄せる一護。 皆が寝静まった頃、一護が剣八の腕から抜けだして寝ているのを確かめ部屋を出た。縁側のガラス戸を開けようとした時、 「何処行く気だ・・・」 後ろから抱きつかれ囁かれた。 「帰る・・・」 「何処へだ?テメェの帰る場所は俺だつったろうが・・・」 「でも・・・!俺は狐だ。人に化けてるだけだ。人じゃない・・・」 「知ってるよ、だから何だ?出てくってのか?ふざけんな!テメェ!自分のガキ捨てんのか!」 「違うよ・・・、簡単な算数だよ、俺がここから居なくなってもみんなは一つのものしか失わない。でも子供達は?たくさんのモノを失くすよ?とと様に仲の良い人たち、ふかふかのお蒲団に帰る家・・・」 「それはテメェも一緒だろうが!」 「でも俺は元々山に居た・・・、子供達は産まれた時からココ。暮したのもココ。全然違う・・・」 「一護・・・」 剣八が絞り出すような声で名を呼んだ。 「ゴメンね、我が儘で、でも白兄を一人ぼっちにはしたくないの・・・。一人ぼっちのつらさはよく知ってるから・・・」 「行かせねぇぞ一護・・・」 「剣八、お願い・・・、分かって」 「知らねえ!お前俺を何だと思ってんだよ?お前は俺の何だ?!」 「剣八・・・」 「お前は俺の女房じゃねえのか・・・」 強く抱き締め、静かに呟いた。 「うん・・・、そうだよ、剣八は俺の旦那様」 「だったら離れんじゃねぇよ!」 一護を蒲団の上に押し倒す。 「あう!痛・・・、剣八」 「どこにも行かせねぇ、お前はここに・・・、俺の傍に居るんだ」 剣八は一護の顎を掴み、射竦めるように見つめた。 月の光も無い新月の夜にあってもなおギラギラと光って一護を捉えていた。 「あ・・・、剣、ぱ、ん、んん!」 一護が何か言おうとした所へ噛みつくように口付けた。 息が苦しくなった一護が身を捩って逃げようとしても離してくれなかった。 「ぁ、ん、んふ、んくん」 漸く離してくれた時、お互いの間を銀糸が繋がっていた。 「あ・・・ん」 ペロリと自分の唇を舐める一護の目がいつになく潤んでいるのに気付いた剣八。 「一護?」 ついっと唇を親指の腹でなぞると、 「ひうん!」 と過敏に反応した。 「一護、お前発情期か・・・」 「あ、あ」 ヒクヒクと揺れる身体がソレを証明していた。 「こんな身体のままほっとくわけにはいかねぇな」 きりり、と両乳首を捻りながら耳元で囁いた。 「あぁんっ!」 ビクンッ!ビクンッ!と跳ねる身体を組み敷いて、寝巻きを脱がしていった。 一護は衣ずれだけでも感じているようで、ゆっくり脱がせているとぴく、ぴくと震えていた。 「剣八・・・、剣八・・・」 一護の手が縋る様に剣八の首に回された。 「一護、行かせねぇ・・・、どこにも行かせねぇぞ・・・」 胸の飾りを口に含み、舌先で転がしているともどかしそうに身体をくねらせる一護。 「ふ・・・!くう、ん!あ!」 一護の中心に手を伸ばすと既に硬くなっていた。 「うあん!あ、あ・・・」 闇の中でも浮かび上がる白い身体がうねる度に、煽られる剣八だったが横にあった行燈に火を入れた。 ぼうっと明るくなる部屋で、より見えやすくなった一護の裸体。剣八は一護の身体を反転させると双丘を割り広げた。 「ああ!何するの剣八!」 「黙ってろ・・・」 いつもよりも低い声で返された一護は黙るしかなかった。 剣八は、ひっそりと息づく蕾に舌を這わせた。当然の様に嫌がって身を捩る一護だったが許されなかった。 「い、やあ!やめ、やめ!それ、やめてぇ!」 ぐちゅぐちゅと音を響かせて続けられる口淫に悶える一護。 そのうちひくひくとヒクつく動きに合わせて中に舌を入れてきた。 「ひぃ!やあ!いや!いや!お願い!剣八!」 「聞こえねぇよ・・・一護・・・」 つぷ、と指も挿入ってきた。 「あああ!」 指で奥を刺激されながら、舌で入口を蹂躙された一護は、限界に近かった。 「んあ、や!イク!イクゥ!」 ビクビク、と達しそうになると剣八が一護の中心を握り込んでイケない様にした。 「んああ!なんでぇ・・・?」 「まだ指は一本だぜ・・・、一護」 そう言いながら指をもう一本増やした。唾液を奥に送り込みながら一護の弱いところを指で掠めたりした。 「ひあぁ!ああ!ああ!もう、だめぇ!」 二度目の解放も堰きとめられ、身体を震わせる一護。 「イキてえか?一護・・・」 指を三本に増やして剣八が聞いてきた。 「ふあ・・・、い、イキたい!」 それを聞いた剣八は、 「行かせねぇ、行かせてやんねぇよ・・・」 グチュッと奥を突いた。 「んああ!いっ、イカせてぇ!剣八ぃ・・・!」 「駄目だ、行かせねぇ」 目の前の一護の痴態に興奮しながらも剣八は一護の戒めを解かなかった。 「おっ、お願い、らからぁ!イか、せ、て・・!」 「じゃあ、ここに居るんだな?ココから出て行かねぇんなら、イかせてやるよ一護」 グチュグチュと先程よりも激しく中を掻き混ぜてきた。 「んああ!無理ぃ!もうらめぇ!らめなのぉ!」 「じゃあ、駄目だな、このままだ・・・」 「ひっ!」 指の動きをより激しく、前立腺も構わず攻めてきた。 「ひっ!ひぃあぁー!あぁあ!ああ!ああ!あ?ああ、ひあっ!んああぁあーーッ!」 一護が中の剣八の指を食いちぎらんばかりに締め付けた後に、奥へ奥へと食む様に痙攣を繰り返した。 「んっはぁ!はぁっ!はぁっ!ああ、あああぁあん・・・」 ぱふん、と尻尾で顔を撫でられた剣八が顔を覗き込んできた。 「一護・・・?お前、出さねえでイッたのか?」 「あ・・、あ・・、う、あ・・・」 ひく、ひく、と揺れながら答えられない一護の目からは涙が零れていた。 「ん、あ、あ、剣、剣八・・・、挿れて・・・、剣八の、挿れて・・、指じゃ、いや・・・」 いつもよりも甘い声で強請ってきた一護を掻き抱いて強く口付けた剣八。それに応えるように舌を絡ませる一護。 「ん、んふ、あ、あふ、んくん、はぁ、はぁ、きて、けんぱち・・・」 「一護・・・!」 「それとも・・・、もういや?俺じゃイヤ・・・?もう、俺のこと嫌いになっちゃった?」 上目遣いに見上げて聞いてきた。 「一護・・・」 「な、なら、もう、うあ!」 「ならもう?もう、なんだ!出て行こうってんじゃねえだろうな!一護!ふざけんな、誰が離すか!誰にも渡さねえ!」 「あ、ああ、剣八、剣八!」 一護がそろそろと剣八の中心に手を伸ばした。そこは既に熱く滾っていた。 「ああ・・・、剣八・・・」 一護はそこに口付けを落とし、舌を這わせた。愛おしそうに自分を舐める一護に見入っていた剣八が、 「もう良い、やめろ・・・!」 「イヤ・・・、出して?」 「一護!このやろ!」 いつになく貪欲になっている一護は、喉奥深くに咥えては吸い上げ、袋にも吸い付き跡を付けた。 「ん、ん、んふ、あ、くふん、剣八・・・、好き、大好き・・・!」 「一護、一護・・・、く、もう出るぞ・・・!」 「ん・・・、んん!んくん!んふ・・・」 こくり、こくり、と喉を鳴らして飲み下していく一護。小さな口では受け止め切れなかった精が端から溢れてきた。 「一護・・・!」 剣八は一護を押し倒すと、その口にむしゃぶりついて己の残滓を全て舐めとった。 「一護、一護!どこにも行くな・・・!」 「い、行きたく、ない・・・!」 「一護・・・!」 「行きたくないよぅ!ここに居たいよぅ!ここに!ここに!居させてぇ!」 「行くんじゃねえ!ここに居ろ!ずっとだ!ここに縫いつけてやる!」 既に回復している自身を一護の中に埋めていった。 「ああぁん!熱いよぅ・・・!剣八ぃ・・・」 ずぶずぶと奥まで全部埋め込んだ。はあ、はあ、とお互いの息も荒く、一護は剣八の熱さに身悶えた。 「一護・・・、分かるか?ここに俺が入ってる、俺が居る・・・!」 ぐりっと下腹部を手で押さえてきた。 「いあぁあん!ああ!ああ!やぁん!お、大きいよぅ・・・」 「それを全部飲み込んでんのはお前だろ?」 剣八が一護の腰を掴み、ずるり、と引き抜くとズン!と奥を穿った。 「んああ!けっ!剣八!善い!気持ち良い!ああっ!ああっ!」 「一護!一護!誰にもやらねえ・・・!」 「いああっ!痛いよぅ・・・、剣八ぃ・・・!」 剣八が一護の肩に噛みついた。ギチギチと犬歯が食い込み、血が流れた。 あまりの痛みに剣八を締め付ける一護。 「感じるか?一護」 「痛・・い、よ・・・」 「俺は気持ち良いがな、良く締め付けてんぞ」 グチュグチュと腰を揺らして、一護を追い詰めていった。 「ん、んあ、ああっ!いやっ!イク!イク!んあぁああー!!」 背を撓らせ、剣八の目の前に目一杯首を反らせる一護。その首に噛みつく剣八。 「あうっ!あううー!」 一護の奥深くに熱の塊を注ぎ込む剣八。噛み付いた歯から一護の脈動を感じて目を細めた。 「一護、一護、ああ、堪んねえな、お前の匂いだ・・・、お前の血の味だ・・・」 「剣、八・・・?」 口許を赤く染め、嗤っている剣八。一護はもしかすると喰われるかも知れないと感じたが、それでも良いと思った。 兄も大切だが、剣八も、子供達も、同じくらいに大切で選ぶ事など出来ないのかもしれない。それならばいっその事、この愛しい男に食われてしまうのもいいのかもしれない。一護は剣八の首に腕を絡ませ、抱き付いた。 「剣八、剣八、俺を食べる?」 「一護・・・?」 「俺を食べてくれる?もう離れることなんかないように、ずっと一緒に居られるように・・・」 「喰われてえのか・・・?」 「剣八になら・・・」 「一護・・・!」 深く口付け合った。お互いを貪る様に、何もかもを奪うように、呼吸も、生命も、何もかも・・・。 「たくさん、噛んで?俺の身体に一杯剣八の印を残して」 「ああ、いつか喰ってやる、今はまだ喰ってやんねえ。その代わり跡を付けてやる、印を付けてやる・・・」 「ああ・・・、嬉しい・・・、剣八、愛してる・・・」 「俺もだ、忘れんなよ・・・」 チュッと触れるだけのキスをして剣八は一護の身体を反転させ、後ろから覆い被さった。 大きな耳と、ふわふわの尻尾を愛おしそうに撫でては口付けた。 「ふあん、け、剣八・・・、早、く・・・!」 尻尾と腰を揺らして誘う一護。 「くく、孕んじまえよ一護、もう一人くらいよ・・・」 「うあぁん、ば、ばかぁ!あん!」 くくく、と低く笑うと宛がった自身を一気に奥まで埋め込んだ。 「はぁあああん!剣八ぃ」 奥を穿たれながら、項や肩甲骨に歯を立てられ嬌声を上げて達する一護。 「んああ、もうらめぇ・・・、剣八ぃ、おなかいっぱいなのぉ・・・、ふ、ふぁん・・・」 「そうか、じゃあ、これで終いにしてやるよ・・・」 あの後、何度も剣八の熱を注ぎ込まれた一護はもう、目の焦点も呂律も回っていなかった。 剣八が、抜けるギリギリまで抜いて奥まで容赦なく突いてやると鼻に掛った甘い声で鳴いた一護。 「くふうん!善い、気持ち良いよぉ・・・、けんぱちぃ・・・、もっとぉ・・・」 「どっちだよ?腹ぁ、いっぱいなんじゃねぇのかよ!」 「うああん!剣八、剣八ぃ、ごめんなさいぃ・・・」 「・・・?」 俺は剣八からたくさん幸せを貰ったのに、何一つ返せてない・・・。それどころかまた出て行こうとしてる・・・。 二度目の裏切り。許してくれないよね・・・。やっぱり俺はケダモノだ・・・。 「あん!あん!イッチャう!イク!イクゥ!」 きゅうぅと締め付けてイッた一護。 「くっ!」 「くうぅん・・・!奥、熱ぅい・・・」 惜しげもなく全てを注ぎ込んだ剣八が、引き抜くと声をあげる一護。 「くうん!」 「くくっ!可愛いな、一護」 ひくっ、ひくっ、と痙攣に合わせて中から溢れる白濁に塗れる一護を風呂に連れていく剣八。 風呂で処理を済ませ、部屋に帰ると一護を蒲団に寝かせた。その身体には至るところに歯型が付いていた。 まだ血も滲んでいる傷もある。疲労困憊で気絶してしまった一護は、知らない者が見ればひどい有様だ。 ソレを望んだのは本人であるのだが・・・。苦笑を浮かべて一護を見つめる剣八。 ガタン!! 「なにしてんだ?テメエ・・・?」 声のする方を見ると白が立っていた。その目は怒りと憎しみに燃えていた。 「一護に何をした・・・?気絶してるのか・・・?なんで傷だらけなんだ!お前がやったのか!」 「そうだ・・・」 みるみるうちに霊圧が上がる白。剣八が、 「ガキが起きる。下げろ・・・!」 低い声で命じた。 「くそが!こんな所に一護を置いていけるか!返せ!俺の一護を返せ!」 返せ!と喚き散らす白にイライラしてきた剣八がつい、 「うるせえ!勝手にしやがれ!」 と口走ってしまった。 「言ったな?一護は連れてくぜ、お前が自分から手放したんだ、文句は言わせねえ・・・」 ニヤリと裂けんばかりに引き上げた口から発せられた言葉で、取り返しのつかない事を口走ってしまったと気付いたが、既に一護は白の肩に担がれていた。 「待ちやがれ!」 馬鹿にしたような笑みを向け、その場から姿を消した白。 後に残されたのは、行き場のない手と、剣八だけだった。 翌朝、子供達とやちるに一護はどこに行ったのか問い詰められ、 「・・・もう帰って来ねえよ・・・」 とだけ告げると黙り込んだ剣八。 母を求めて泣く我が子に、何も言えず隊首室へと向かう剣八。 (ちっ!何やってんだ、俺はよ!) 「隊長・・・」 「あ”?なんだ弓親」 「いえ、何でもありません・・・」 昨日の霊圧は、やはり一護君の兄のものか・・。ならば一護は自分から帰ったのか?隊長の様子からして違う様にも見えるし・・・。どうすべきか? 第3話へ続く 09/03/29作 次は狐としての生活を送る一護と残された剣八達の変化です。 |
|
きつねのおうちへ戻る |