題「鬼事」1 | |
―見つけた・・・。俺の片割れ・・・。やっと・・・。見つけた・・・。 「かか様ー!」 「かか様ー!」 「ん?何だー、迎えに来てくれたのか?」 「ハイ!荷物持ちます!」 「あ、あたしもー」 「ありがと」 一護は夕飯の買い物の帰りだ。にこにこ笑いながら軽い物を持ってもらう。 「二人とも力持ちだな、助かるよ」 「えへへ、今日の夕飯なぁに?かか様」 「今日はお魚だよ、赤魚の煮付けとお味噌汁に小松菜と油揚げの煮浸しだよ」 「わあ、美味しそう!早く食べたい!」 「はいはい」 ―なんだ?あいつらは?耳と尻尾・・・。一護の子か・・・。かか様ってのはどういう意味だ。 「ん?」 後ろを振り向いた一護。 「かか様どうしたの?」 「いや、何か視線を感じたんだけど・・・、気のせいか・・・」 隊舎に着いた。 「お帰り!いっちー」 「ただいま、剣八は?」 「まだだよ、もうすぐ帰ってくるんじゃないかな」 「そっか、じゃあご飯作ろうっと」 コトコトと鍋が音を立てていい匂いが漂ってきた。ご飯も炊けたし、後は剣八が帰ってくるのを待つだけだ。 「いい匂〜い、いっちーお料理上手だよね」 「そうかなぁ?」 「だって、剣ちゃんがあんなに美味しそうに食べてるのって初めてだもん」 「嬉しいな、俺も剣八と子供たちが美味しそうにしてくれるとすごく嬉しい。やちるも食べてくでしょ?」 「うん!やったぁ!」 「帰ったぞ」 「とと様、お帰りなさい!」 「お帰りなさい!とと様!」 「おう、一護、腹減ったぞ、メシ」 「はぁい!」 「あたしも手伝うよ」 「ありがと、やちる」 「いただいまーす!」×3 「今日は魚か・・・」 「うん、お昼に食べちゃった?」 「いや、丁度食いたかったとこだ」 「良かったぁ」 子供達は小骨に格闘しながらも食べていた。 「美味しい、かか様このお魚美味しいよ」 「良かった、お腹一杯食べろよ」 「はーい!」 「ねぇかか様、かか様だったら白哉の所のお池の鯉も美味しく出来る?」 「いやぁ、あれは食べれないんだって言ってたよ」 「なーんだ、つまんないの」 子供達は剣八同様好き嫌いが無いので、今日もお腹一杯食べてコロコロになっている。 「ふふ、お腹いっぱいになったか?」 「うん、もう何にも入んない」 「僕も〜」 「ふふ、剣八、お風呂入る?」 「ああ、先に入っとく」 「ちゃんと疲れ取ってね」 「ああ」 剣八が風呂に行くと一護は片付けを始めた。 「とと様が出たら次はお前らだぞ」 「はあい」 「かか様も一緒?」 「うん、一緒だよ」 「じゃあいっちー、あたし帰るね、ご馳走様」 「うん、気を付けてね」 「うん、お休み」 「おやすみ」 「出たぞ、一護、ガキ共入れて来い」 「うん、ほら行くぞ」 「はーい」 「こぉら、髪洗ってんのに、暴れないの」 「だぁって、くすぐったい」 「ほら、お湯かけるよ」 「ぷうっ」 「朔おいで、洗ってやる」 「はい」 「お前は大人しいなぁ」 「かか様、背中洗ってー」 「朔の髪洗ってからな」 「はぁい」 「ほら、朔お湯掛けるぞ」 「ぷうっ」 「ほら十六夜、こっちおいで」 「わあい」 十六夜の背中を洗ってやる一護。 「後は出来るだろ?次は朔な」 「はい!」 二人が身体を洗っている間に自分の髪と身体を洗う一護。 「ほら、一緒にお湯に浸かろ」 「「はぁーい」」 きゃっきゃとはしゃいでお湯の中で遊ぶ子供たち 「もう出るか」 「うん!熱くなって来ちゃった」 「僕も」 「のぼせたら大変だ、出よ」 脱衣所で子供達を拭いてやり、着替えさせる。ドライヤーで髪を乾かしてやり、 「さ、お終い、とと様の所に行っておいで」 「「はあい」」 次に自分の身体を拭いて髪を乾かした。 「あれ?子供達は?」 一護が縁側に居る剣八に尋ねると、 「寝かしつけた、風邪ひくだろ」 「ありがと、剣八お酒飲む?」 「あんのか、なら飲む」 「ちょっと待っててね」 と台所へ向かう。 「おまたせ」 銚子数本と何やら小鉢が乗った盆を持って戻ってきた。 「なんだこりゃ?」 「あのね、今日乱菊さんに教わったの、お酒のおつまみなんだけど」 「ふうん」 剣八は酒を飲むときには何も口にしない。それでは身体に悪かろうと一護が相談するとこれを教えてくれた。 「ご飯の後だし、その、美味しくないかもしれないけど・・・」 ついっと箸を伸ばし食べる剣八。 「美味い」 くいっと杯を呷ると、 「お前も飲むか?」 と銚子を傾けてきた。 「いいの?でも杯持って来てないや」 取りに行こうとして、立とうとしかけた時、 「いらねえだろ・・・」 「え?」 座らせられると、口付けられた。 「ん、んふ、んくん・・・」 はあ、と離れると、酒のせいだけではない赤みを帯びた顔で見つめ、 「ばか・・・」 と呟いた。 それを見ていた二つの眼。 ―なんだアイツは?一護に何をする。なんで笑ってる?一護。そいつはナンダ・・・。早く連れ戻さなければ・・・。 「ん・・・、あつい、剣八・・・」 とろん、とした目で見上げる一護に剣八は、 「部屋に行くか?」 と囁いた。 「うん・・・」 うっとりと頷いた一護。 「ん、あっ、あっ、んっ、剣八」 「一護、気持ち良いか?」 「うん、きっ、気持ち良い、あうっ、あんッ!ああっ!イクッ、イクッ!んあぁっ!あーっ!」 「く!」 同時に達した二人。剣八は一護の最奥に注ぎ込んだ。 「はぁん、奥、あつぅい・・・」 後ろから貫かれ、蒲団に突っ伏す一護。 「おい一護・・・、耳と尻尾出てんぞ」 剣八は一護の尻尾を掴むと楽しげに笑った。 「あぅんっ、あっ、あっ、や」 「お前ホントにここが感じやすいな・・・、ガキ共大丈夫だろうな」 「ん、ぁ、平、気ッ、だって俺がこんなになるの、剣八がッ、俺がイク時に噛んだり、握ったりするから!」 「へえ、じゃあ耳はどうなんだ?」 べろりと舐めあげられ、 「ひあん!」 と声を上げ、中の剣八を締め付けた。 「おっと、まだイケるみてぇだな」 「あ、あ、ばかぁ」 「でもお前ココが好きだろ?」 「う・・・」 「ん?」 蒲団に顔を押しつけて答えない一護に剣八が少し、意地悪をしかけた。 ヌッ、と少し抜き奥を穿った。 「あぅんッ!」 「なあ?どうだ?好きか?」 「あ、あ、あ」 また少しヌッと抜くと今度はそのままで動かず、尻尾の根元に噛みついた。 「きゃうん!」 奥が疼いてきた一護はたまらず、 「あ、あ、好きぃ!剣八が触る所みんな好きだからぁ・・・!も、お願い・・・」 「いい子だ、一護」 剣八は一護の腰を掴むと目一杯奥を突いた。 「ああんっ!け、剣八ぃ!善い!イクッ!イッチャうの!」 「イケよ、俺もイッテやる・・・!」 「ああっ!んああ!ああっあーーっ!」 「く、う!」 一護の最奥に全て注ぎ込んだ剣八が、まだ絶頂の余韻が冷めやらぬ一護の耳元で、 「そういやぁ、十六夜がよ、弟欲しいって強請って来たぜ」 「ふあ?おとうと?」 「ああ、またガキ作るか」 「ふふ・・・、頑張るの?」 「ああ、次の発情期いつだ?」 「ん・・、もうすぐだけど、今度は難しいかも・・・」 「そうなのか?」 「ん、俺みたいなケースって珍しいんだって、卯ノ花さんが言ってた」 「ふうん、ま、出来ても出来なくとも発情期が来たら、可愛がってやるよ」 ちゅっと口付けられて一護は照れながら、 「ばか・・・」 と返した。 「風呂行くぞ」 「うん・・・」 寝巻きを巻かれて、抱きあげられて風呂へと連れて行かれる一護。 風呂場で処理を済ませ、二人でお湯に浸かっていた。 「ねぇ、何で十六夜は弟が欲しいの?妹じゃなくて」 「さあな、兄貴が泣き虫だから物足りねえんじゃねえのか」 「そうなのか、お兄ちゃんはお兄ちゃんなのになぁ」 「そうだな、出来るまで頑張るか?」 「う、知らない・・・」 「くく、ほらもう出るぞ」 「うん」 剣八は一護の髪を丁寧に乾かしてやり、寝巻きを着せてやった。 「ありがと・・・」 「ん・・・、部屋に帰るか」 部屋の戻るまでの廊下を一護は剣八の寝巻きの袖を摘まんで歩いた。 可愛い事をするもんだと口の端だけで笑う剣八。徐に一護の肩を抱き込んだ。 「あ、うわ!」 「そんな可愛いことしねえでもここにいんだろが」 恥ずかしそうに俯きながら一緒に歩く一護の姿を食い入るように見つめる眼。 ―離れろ・・・!一護から離れろ!一護に触るな・・・触るな・・・!一護、一護、一護! バッと振り向く一護と剣八。 「今何か・・・」 「お前も感じたか?今日ずっと感じてたんだがな・・・」 「そう言えば、俺も買い物の帰りに見られてる感じがした」 なんだろうね、と首を傾げた一護の肩をギュッと抱き締め、部屋へと急いだ。 蒲団の中で剣八は、一護の髪を梳きながら、 「なんかヤな予感がしやがる・・・、気を付けろ一護」 「ん?うん、分かった」 その日はそのまま眠った二人。 第2話へ続く 09/03/25作 第78作目です。視線の正体は言わずと知れたあの方です。また続きますのでゆっくり付き合って下さい。 |
|
きつねのおうちへ戻る |