題「雨」3 | |
現世の自分の部屋に戻ると、ボスン!と頭からベッドへ倒れた一護。 (嘘つき!嘘つき!俺以外は入れないって言ったのに!同じ蒲団で寝てたんだ!) 「ちくしょう・・・!」 声を押し殺して泣いた。 次の報告日 十一番隊に行くと、隊舎の周りが半壊していた。そこに居た一角に一護が、 「何があったんだ?これ!?」 と聞いた。 「ああ、一護か。いやな、隊長が手合わせしたんだけどよ、相手も手加減しねぇ奴でよ。この有様だよ・・・」 「大変だな・・・、でも剣八は楽しめたみたいだな」 「なんで分かんだよ?」 「一角がそんなに怒ってねえからな」 「まあな、楽しそうではあったけどよ」 「ノイトラか?相手は」 「良く分かんな!後片付けするもんの身になってほしいぜ」 「そうだな・・・」 そう呟いて一護は剣八の部屋に向かった。 「あれ?今、一護君来てなかった?」 「ああ、隊長んとこ行ったんじゃねえか?」 「ちょ!今やばいって!」 「え、もう風呂から出てんのか!うわ、やべ!」 「どうする・・・?」 「もう遅えよ・・・」 「だよねえ・・・。まあ隊長の自業自得ってことで」 「しゃあねえよな。隊長も・・・」 剣八の部屋の前に来た一護はまた固まってしまった。 中から聞こえてくるのは濡れた嬌声。見えるのは、絡み合う黒髪と身体・・・。 なんでこんなに胸が痛い?血の通わない人形ならこんな痛み感じないのに・・・。こんな痛みイラナイ・・・。 よろよろとその場を離れた一護は、周りに誰も居ないのを確認すると、 「痛くない、痛くない。俺は何も感じない・・・!」 と自分に言い聞かせ、呪文のように繰り返した。 それから、来るたびに一護は、ノイトラと剣八の逢瀬を目撃してしまった。 「あ!あ!更木!もっと来いよっ!もっと奥まで!」 「へっ!口の減らねえ野郎だな!おらよ!」 「うああっ!カハッ!あ、あ。ん?」 「んだよ?気ぃ逸らしてんじゃねえよ」 「ふん、ならさっさとイかせろよ、更木?」 ノイトラが剣八の首に長い腕を絡ませた。もう何度目か数えるのも嫌になるくらい見せられる光景。 胸を抉られるような痛み・・・。その度に一護は、痛くないと言い聞かせた。 その場から一護が逃げだすとノイトラが、 「おい、さっきから覗いてたのテメェの連れじゃねえのかよ?良いのか?ほっといてよ」 と聞いた。 「ふん?一護が居たのか、気付かなかったがなぁ」 「ヒャッハ!嘘付けよ、前々から気付いてたくせによ。ひでえ男だな?」 くくく、と笑うノイトラ。 「うるせえよ、中途半端に放り出すぞ」 ずる、と抜こうとする剣八。 「っと、最後までちゃんとやれよ。テメェも疼いてんだろうがよ?」 腰を揺らして飲み込んでいくノイトラ。 「ふん、淫乱・・・」 「虚なもんでな、欲望に忠実なんだよ、来いよ」 「たまにはテメェで動けよ、ホレ!」 剣八がノイトラの腕を掴んで、仰向けに寝転んだ。 「!んあああ!テッ、テメェ!」 「動けよ、それとも自分じゃ出来ねえってか?あん?」 ズグッ!と下から突き上げてやった。 「あああ!」 「動け・・・」 「くっ!この・・・」 渋々ながらノイトラが動く。剣八の胸に手を着いて腰を振り出した。 「ん!くあぁ!はぁっん!あっ、奥まで・・・来る!ングッ!」 剣八がノイトラの口に指を突っ込んできた。 「んん!何しやがる!」 「もっと腰振れよ」 ぐちゅぐちゅと唾液を指に絡ませると、その指を左目の穴に突っ込んだ。 「ひああっ!やめ!やめろ!馬鹿!」 「へっ!ココでも感じんのか?貪欲なモンだな・・・」 カリリと内側を引っ掻いた。 「ひっ!んあああん!」 仰け反りながらノイトラが達した。 「あ、ああ・・・」 はあ、はあ、と息の荒いノイトラに、 「くく、こっちの穴でイッたな・・・。淫乱・・・」 「テメェ・・・、んあ!」 「違うのかよ?ったくこっちはまだだってのによ」 「あ、まだやんのかよ・・・」 「は!俺がイッたら終いにしてやるよ」 「早く終わらせろよ」 「ケッ!テメェが溜まるたんびに付き合わされるこっちの身にもなれよ」 「へ!どうせ暇なんだろうがよ」 「そうでもねえよ・・・。テメェが来てから一護が近付かねえ。イライラすんぜ・・・」 ぐっとノイトラの腰を掴むと乱暴に奥を穿つ剣八。 「うあっ!ああっ!更木!きつい!」 「うるせえ・・・、勃たせて言うか。黙ってイケよ・・・!」 「くっそ!んあ!ああっあーー!」 「くう!」 ドクドクと中に吐き出す剣八。 「あ、はあ!」 「おい、風呂入んぞ。そんで早く帰れよ」 「へいへい、わあったよ」 時間は遡り、一護が剣八の所から逃げだした頃。 一人とぼとぼ歩いていると乱菊に声を掛けられた。 「いっちっご!何やってんの?」 「乱菊さん・・・、別に何も?」 「・・・泣いてたの?あんた」 「まさか・・・、なんで?」 「あんたって本当に嘘が下手よね。目の周りが真っ赤よ・・・」 「あ・・!」 「あんたがそうなるって事はどうせ更木隊長の事でしょ?何?なにがあったのよ」 「別に・・・、剣八が他の誰かと寝てたってだけですよ・・・」 「浮気じゃないの・・・」 「さあ、俺が浮気相手だったのかもしれないですよ」 「一護・・・、あたしで良ければ相談に乗るからそんな顔しないでよ」 「相談って、何を言えば、良いか、っ!」 「泣かないでよ、一護〜」 「すいません、大丈夫ですから、帰ります・・・」 「一護・・・」 「それじゃ・・・」 そう言って隊舎に帰った一護。 隊舎にはもうノイトラの姿は無かった。 「一護君、お帰り。もうすぐご飯だよ」 弓親に話しかけられた。 「そうか・・・、俺の分用意しなくていいぜ。もう帰るからよ」 「え、そうなのかい?」 「ああ・・・、剣八は?」 「部屋じゃないかな」 「あんがと・・・」 剣八の部屋の前に行くと障子の前で声を掛けた。 「おい、剣八居るか?」 「おう、入れよ」 スッと障子を開けると一護は中には入らないで廊下で用件を伝えた。 「あのよ、当分、こっち(十一番隊)に来ねえわ」 「あん?」 「そんだけだ・・・。じゃあな」 「おい・・・」 それだけ言うと現世に帰っていった一護。 現世で虚退治に出掛ける一護。 喜々として虚を斬っている事に気付く。 虚・・・。アイツも、ノイトラも虚だ・・・。憎い、憎い、居なくなれ・・・! ノイトラの代わりに他の虚を切り刻む一護。尋常じゃない数の虚に囲まれ、身体を抉られた。 不思議と痛みを感じなかった。生暖かい血が流れているのに、痛みだけが感じない。 浦原に治してもらい、また新たに怪我を負う。 今日は腕が千切れかけた。それでも痛くなかった。 「黒崎さん・・・。何かありました?最近変ですよ、ていうかもう貴方も分かってるんでしょ?」 「ああ、うん。痛くないんだ・・・。何でかな?まぁ楽で良いけど」 「何を言ってるんです!痛みは生き物にとって重要な感覚です!」 「そうだな・・・」 「明日の報告はどうします?」 「行くよ・・・。溜まってるんだろ?」 「ええまあ・・・」 「これ以上、サボるわけにもいかねえよ・・・」 報告日。 瀞霊廷に来た一護は、報告を終えると雨乾堂に立ち寄った。 「こんちは、浮竹さん居ます?」 「やあ、今日は、一護君。久し振りだね」 「やあ、こんにちは、一護君」 「あ、京楽さんも。こんにちは」 「今日は剣八さんの所に行かなくて良いの?」 「別に、行かなきゃいけない用もないんで・・・」 「そうかい、まぁお茶でも飲んで行きなさい」 「あ、すいません」 出されたお茶を飲んでいると乱菊が顔を出した。 「一護!こんな所に居たのね!話聞かせてもらうわよ!」 「話って、何の?」 「あんたが更木隊長と喧嘩してるって噂になってんのよ」 「喧嘩も何もないですけど・・・」 「あんたね!あんだけ泣き腫らした顔で歩いて、恋人が他の人と寝てるって言っといてまだそんなこと言うの!?」 「ひどい話だねぇ」 「京楽!」 「一護君も他の人と遊んじゃいなよ?向こうばっかりずるいんじゃない?」 「誰と・・・?」 「たとえば・・・、僕なんかどう?」 「京楽さんと・・・?」 「うんそう!優しいよ、僕」 「いい加減にしろ!京楽!」 「京楽さんは俺を抱けるの?」 「一護君まで!」 「君は可愛いからねぇ」 近付いてくる京楽に微動だにしない一護。 首筋にちりっとした痛みを感じて漸く、 「やだっ!」 と叫んでグイッと身体を押しのけた。 「剣八さんは他の人と遊んでるのに、君は何もしないのかい?」 「出来ない・・・。出来ないよ・・・。俺の身体は髪の毛一本まであいつのモノなんだ・・・。だけどあいつは俺のじゃない・・・。それだけなんだ・・・」 「一護・・・」 「一護君」 「しょうがないなぁ」 「すいません・・・」 「良いよ。ちょっとした冗談だったしね。跡付いちゃったけどゴメンね」 「良いですよ。どうせ抱きもしないんだから・・・」 ソコへ地獄蝶が舞い込んできた。 「なんだって?」 「ん、流魂街に虚が出たから討伐に向えってさ」 「あの、俺も行って良いですか?」 「んん?良いと思うけど」 「ありがとうございます」 京楽と共に虚討伐に向かう一護。 現れた虚相手に斬月を振るう。 斬られては消えていく虚に笑みが零れる一護。ついつい深追いしてしまい、一人になってしまった。 「はっ!もう終わりかよ!つまんねえな」 油断した一護の背後から虚の攻撃がまともに入った。 「ぐっ!この!」 腹に穴を開けられた。血が止まらない。なのに痛みが感じられない。足に力が入らなくて、その場に倒れた。 腹からの血で赤く染まっていく一護。 (なんか、あったけえな・・・、変なの・・・) その内、ガクガクと身体が震えだした。 「寒い・・・な・・・」 血の匂いに誘われてか、ノイトラが姿を現した。 「なんだぁ?更木んとこのガキか・・・」 「ノイ・・・トラ、か・・・。俺は、お前が嫌いだ・・・俺から剣八を盗った。俺から剣八を奪う奴はみんな嫌いだ・・・。嫌い・・・だ・・・」 虚も任務も過去も戦いも、みんな嫌いだ・・・。俺から剣八を奪って行く・・・。 そう呟くと気絶した一護は涙を一粒こぼしていた。 「だってよ、更木」 京楽から連絡をもらってすぐ駆け付けた剣八がそこに居た。 「馬鹿が・・・」 「まだガキなんだから当たり前だろ・・・」 一護を四番隊に運ぶ剣八。隊舎で待つよう言われるノイトラ。 幸い、急所は外れていた為、卯ノ花隊長の鬼道によって治療された一護。 目が覚めると、傍にいた剣八に強引に隊舎へと連れて行かれた。 第4話へと続く 09/06/29作 ノイトラと剣八のエッチでした。さてお次は? |
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