題「雨」 | |
俺が馬鹿だった。何の予告も無しに報告日でもないのに行ったからあんなもの見ちまったんだ・・・。 先週の報告日の帰りに十二番隊の阿近とか言う人に呼び止められた。 「おい、黒崎一護。ちょっと来い」 「・・・なんですか」 「んな警戒しなくても取って食わねえよ、鬼じゃねえんだからよ。良いモンやるから来いよ」 「はあ」 近付くと手の上に何か乗せられた。 「ん」 「なんすか?これ?腕輪・・・?」 「それはな、霊圧制御装置だ。填めてみな」 パチン、とはめてみると何かがぴたりと止まった気がした。 「よし!成功だな。それお前にやるよ、悪戯するもよし、おどかすもよし、それ使って遊べよ」 じゃーな、と言って阿近さんは帰っていった。 「遊べたってな・・・」 それが事の起こり。 俺はその日の深夜に瀞霊廷にやって来ていた。現世で買ったあいつの服を持って・・・。 別にその日が特別な日だった訳じゃない。記念日でもない。 ただ、アイツに似合うと思って買った服を持って驚かそうと、そう思っただけだったんだ・・・。 誰にも気付かれること無く、剣八の部屋の前に着いた俺は中から聞こえてきた声に固まった。 断続的に聞こえるその声は明らかに嬌声で、男のものだった。 なんで?まさか。と思いながらそぅっと中を覗いて見た。 俺が見たものは、長い黒髪の男を組み伏せて、喘がせている剣八だった。 アイツは・・・、破面のノイトラとかいう奴だ。 俺は動けなくなって、ずっと見ていた。剣八が何度もノイトラをイカせて、口付けているところを・・・。 その内、ノイトラの意識が途切れたらしく動きも止まった。俺の顔に熱いなと、思った途端それは外気に冷やされ冷たくなった。 俺は初めて泣いていることに気付いた。 『くく!飽きもせず良く来るもんだな、てめえもよ』 『ん・・、他に娯楽もねえんでな・・・』 剣八がノイトラの髪を撫でて、顔を近付けた。何をしてるんだ?キス?なんで・・・?それは俺じゃないのに・・・? 『可愛いもんだな・・・』 そのセリフにびくっと身体が震えた。いつも俺が聞かされている言葉を他のやつにも言ってるなんて・・・。 それに喜んでた俺はナニ?震える身体で瞬歩を使い自分の部屋に駆け込んだ。 綺麗にラッピングされて紙袋に入れられたアイツへの贈り物。知らないうちに抱き込んでいたらしくぐしゃぐしゃだ・・・。 丁寧にリボンまで掛けてくれたのに、今はそれがいやに滑稽だった。 このままじゃ大声を張り上げて泣いてしまいそうだった。俺は押し入れにその紙袋を入れた。 出て行こうとした時、剣八の声が聞こえた。ノイトラと風呂に入るらしい。そこまで一緒だったのか・・・。 二人が風呂場に入ってから部屋を出た。外を歩いてると風呂から、 『また来いよ』 『気が向きゃあな』 なんて会話が聞こえた。 俺は急いで現世に、自分の家に戻った。部屋に居たコンが驚いていた。 「悪いけどよ・・・。今日は遊子の部屋に行っててくんねえか?一人になりてえんだ・・・」 顔色が悪かったんだろう。何も聞かずに言う通りにしてくれた。 一人になって俺はベッドの突っ伏して声を殺して泣いた。 「ぐっ・・・、う、うう、うぐっ!う、ぐうう、ふうう」 後から後から涙が出てきて止まらなかった。 俺は死神代行でまだ16歳のガキ。ノイトラは破面でもきっと剣八と近い年を生きてるんだろう・・・。俺なんかよりお似合いだ。何より、綺麗な黒い髪をしてる。羨ましいな・・・。 この週末の報告日はどんな顔で行けばいいんだろう・・・? 週末。 報告だけ済ませて、誰にも会わずに現世に帰えろうとした。 誰かと会わなきゃいけないなんて言われてねえしな。 でもすぐ剣八に見つかって部屋に連れ込まれた。 「何勝手に帰ろうとしてんだよ?一護」 「別にいいだろ?それより、さっきまで誰か来てたのか?」 「いいや?なんでだ」 「部屋の匂いがいつもと違う気がしたんだけど・・・。気のせいか」 「気のせいだ・・・。お前以外入れねえよ・・・」 (うそつき・・・) じゃあ、あの晩俺が見たものはなんだ?幻だったのか? そんな事を考えていると押し倒されてた。先に袴と下穿きを脱がされた。 「お前、俺とヤル以外することねえの?」 「あん?嫌なら斬り合いでもするか?俺はそっちの方がいいがな」 「・・・こっちでいい」 「なら文句言うんじゃねえよ」 「へいへい」 斬り合いより、こっちの方が恋人らしくて好きだけど、こいつはどうなんだろうな?と思って見てると、 「何だよ?」 「別に?溜まってんだなと思ってよ」 「ガキよりゃ、マシだ」 「んだ、そりゃ?」 「やりてえ盛りだろ」 「思春期って言えよな、おっさんが」 色気の欠片もない会話。ノイトラとはどんな事を喋るんだ?もっと違う、大人の会話でもしてるのか? 「剣八・・・」 「なんだ?」 「剣八」 「だからなんだよ?」 「剣八、今日は、その、俺が、やる・・・」 「何を?」 「な、何をって、その、いろいろ・・・」 「ガキが無理言うな、間に合ってんよ」 「なにが?」 「あー・・・、何でもねえ、ほれ、足・・・」 「やだ・・・、やりたい・・・、な・・、だめ・・・?」 「・・・好きにしろよ」 「うん・・・」 間にあってる・・・、それはノイトラのことか?いやだ、嫌だ!誰も見ないで、俺を見てよ! 「ん・・・、ふぅ、んん」 キスから始めた。いつもみたいに舌を絡め合って味わった。 次に、剣八の身体を撫でながら、中心に顔を近づけてまだ勃ってないソレに舌を這わせた。 「んっ、んっ、ね、剣八、潤滑油ない?」 「そこの棚だ・・・」 されるがままの剣八が顎で示す。 「さんきゅ・・・」 チューブ入りのそれを蓋を開けて置いて、口淫を続けた。 流石に顎がだるくなってくると剣八も勃ち始めた。 「あ、勃ってきた・・・」 嬉しくなって、さらに熱を込める一護。自分の感じる所や、先端を余すことなく舐めては奥まで飲み込んだ。 「ふっ・・・!いつになく、積極的、じゃねえか、一護?」 「ん、あ、俺だってやりてぇ時もあんだよ・・・」 「そう、かよ・・・」 後ろが疼いてきた一護が、咥えながらチューブの中身を指と手の平に取ると自分で解していった。 「ん、んん!ふっ!うんっ!あっ!あっ!んむっ!ちゅうっ!」 ぐちゅぐちゅと派手に音を響かせながら、後ろを解す一護に、 「勿体ねえな、見せろよ一護」 剣八に言われた通り着ていた死覇装の上を脱ぐために指を抜いた。 「あう!んん・・・」 ぴくっぴくっと震える身体を舌舐めずりして見る剣八。それに興奮する一護。 「くく!お前のココ・・・、腹に付きそうなくらいだな・・・、こんなに濡らしてよ・・・」 溢れる先走りを先端に塗り込められる。 「あん!だ、だめ・・・、今日は俺がヤルの・・・」 「そうかよ・・・」 また剣八の中心を口に含んで、指で解していった。もう十分だと思ったけど止まらなかった。 「おい、出るぞ・・・」 「ん・・・、出し・・・て!ああ!ん・・・」 ぐっ!グチュッ!と音を響かせている一護の口の中に吐精した剣八。 「ん!んぐ!んん!んっー!」 同時にイってしまった一護は出されたモノを飲みながら、恍惚としていた。 ひくひくと震える身体で、剣八のモノを舐める一護。 「あ、はあ、剣八、気持ち良かったぁ・・・?」 「・・ああ、でもまだ足んねえな・・・」 「うん、ちょっと待ってね」 既に回復している剣八を押し倒すと、またがる一護。チラッと剣八を見るとじっと食い入るように見ている。 自分で剣八を宛がい腰を落としていく一護。 「んあ、ああ・・・剣八、剣八・・・」 ぐぷぷと全てを飲み込んでいく一護の痴態を見ている剣八は、 (こいつ今日はおかしいな・・・) と考えていた。 やがて全てを納めきった一護が動き出したら考え事など出来なくなった。 「ああ!いい!剣八、好き!好きだよ!剣八ぃ・・・!」 「一護・・・?」 「ああ!好き!剣八が!あ!好きぃ・・・!」 薄目を開けてこちらを見る一護。 「だから・・・!ああ・・・!んああ!だめ!イッチャう!ああっ!ああっ!あっーー!」 「くうっ!」 同時に達した剣八が一護の中に出した。それを感じながら一護は胸の傷跡に爪を立て、深めの傷を新たに作った。 「あ、ああ・・・、剣八ぃ・・・」 胸の中心から赤い道筋が出来た。とろとろと流れるそれが、一護の精液と混じってピンク色に変わった。 「・・・もう終わりか?一護」 「あ、あうう・・・、もうちょっと、ま、まって・・・」 腰が抜けたのだろうか、立てないようだ。 「じれってえな、俺が動く」 「へ?良いよ、俺が・・、ひゃあ!」 べろり、と胸の傷を舐められた。 「あ、あ、あ・・・」 「腰抜けてるクセにガキが無茶すんじゃねえよ」 「あん、ごめんなさい・・・」 それから後は気絶するまで泣かされた。 次の報告日は、報告だけ済ませると、例の腕輪をして現世に戻った。 今回は誰にも会わなかった。 やっぱ霊圧でばれてたんだな・・・。 何度もそれを繰り返して、気付けば二ヶ月剣八に会ってなかった。 どうせ向こうは、ノイトラと仲良くやってんだろうからいいや。 現世に戻って、がむしゃらに虚退治に精を出した。どんなに動いて疲れても身体の熱は収まらない。 斬っても斬っても、治まらない。今の俺はきっと誰よりも醜いだろう・・・。 家に帰って、生身の身体に戻る。身体をベッドに横たえる。休んでるつもりが身体の内側から疼いて来てどうにもならない。 コンを遊子の部屋に放り込んで、一人きりになると自分の身体を慰めた。 あまりやったことなんかなくて、最初は一回、二回で済んでたのに最近は全然治まらない。 理由は、分かってる。前だけの快感だけじゃもう駄目なんだ。後ろが疼いて仕方がない。 でも、触れちゃいけない。と固く戒めてた。じゃないと後戻り出来ない気がしてた・・・。 その日は、もう限界だったみたいで、一度イッテからその精を指に取り蕾に指を這わした。 「あ・・・、ああ、んん!」 そうなったらもう止まらなかった。三本の指を飲み込んで、イっても貪欲にソコは蠢いた。 俺は剣八の指の動きを思い出して動かした。奥を入口を前立腺をどうやって攻めてきたか・・・。 「ああん・・・、剣八・・・、剣八、剣八!」 何度も名前を呼んで、グチグチと奥を攻めながら、胸の傷に指を這わせて達した。 「はあっ!ああんん・・・」 まだタリナイ・・・。もっと奥を突いて欲しいのに・・・。指じゃ足りないよ・・・。 「剣八・・・」 呟いて処理をした。窓を開けてから、ゴミを片付けた。 報告日、瀞霊廷では珍しく雨が降っていた。 顔をしかめる一護。それでも報告だけはきちんとして帰るつもりだった。 報告を終わらせ、帰ろうとした一護は傘も差さずフラフラと歩いた。 瀞霊廷の外れまで来た一護は、適当な岩を見つけて座り込んだ。 「疲れた・・・」 と一言呟くと膝を抱えて顔を埋めた。 何時間経ったのだろう。ぴしゃん、ぴしゃん、と足音が近付いてくるのが分かった。 顔を上げると剣八が傘を差して立っていた。 「何してんだ?テメエ」 「別に・・・」 素気なく答える一護。 「風邪引きてえのか、オラ、帰んぞ」 「うるせえ、ほっとけよ・・・」 いつもなら噛み付くような反応を返すのに、自分を見ようともせず遠い目をする一護にイラついた。 強引に担ぎ上げるとようやく、 「何すんだよ!下ろせ!」 と暴れ出す。頭の先から足の先まで雨に濡れた一護を担いだため、剣八の死覇装の肩の辺りが湿ってきた。 ちっ、と舌打ちすると剣八は、 「うるせえ、暴れんな、落とすぞ」 声を低くして凄んだ。 「下ろせ、自分で歩く・・・」 一護が言うと剣八は一護を下ろした。 俯きながら自分の後ろを付いてくる一護の足音を聞きながら前を歩いていた剣八は、ふと足音がしない事に気付いた。 後ろを振り返ると一護は立ち止まって、しゃがみ込んでいた。剣八は舌打ちして一護の前まで行くと一護は微かに震えていた。 「おい、立てよ一護」 腕を掴むと、 「離せ・・・、あつい・・・」 と呟いた。 「てめえが冷えてんだよ」 無理矢理立たせ、顔を覗き込むとすぐ顔を背ける。 「なんだ、またいつもの発作かよ・・・」 「・・・発作って言うな・・・」 「発作だろうが、雨降る度にそんなんなってよ」 「ほっとけよ・・・」 泣きそうな声で返してきた。 「大体何が原因なんだ・・・?」 「あんたにゃ・・・、他人にゃ関係ねェ」 それを聞いた途端、剣八の霊圧が少し上がった。 ヤバいと気付き早足でその場を去ろうとしたが後ろから手が伸びてきて一護の首を両手で掴んだ。 「んっ」 そこが弱い一護は、首を竦めて思わず声を出してしまった。 右に首を傾ければ、左の首筋を刺激する。左に傾ければ右・・・。 「ヤッ!あ、んぅ!く!」 剣八の手を引き離そうと躍起になっていると、顎を掴まれ上から口付けが降ってきた。 「んんっ!」 冷え切った一護にはまるで熱の塊の様に感じた。長い舌が生き物の様に口腔内を暴れ息が上手く出来ない。 酸欠寸前で解放され、喘いでいるとまた担ぎ上げられた。今度は有無を言わせず、剣八は瞬歩で自分の寝室まで連れて来ていた。 ずぶ濡れの一護の死覇装を全て脱がすと自分も全て脱ぎ、敷きっぱなしの蒲団に一護を押し倒した。 「ヤダ・・・」 弱々しく抵抗する一護に剣八は、背中に手を入れ抱き締めて冷え切った体を温めた。 「馬鹿が、こんなんなるまで濡れやがって」 その声にビクッと身体を竦める一護。 「ゴメン・・・」 剣八の触った所がジンワリと温かくなって安心したのか、嗚咽が漏れ始め一護は口を押さえ必死に耐えた。 そんな一護の様子に剣八は、内心呆れながらも、 「泣きたきゃ泣け、我慢すんな」 その言葉に堰を切ったかの様に涙が止まらなくなった一護は、 「ヤダ、泣きたくない、泣いちゃダメなんだ・・・」 自分に言い聞かせるように呟き泣きやんだ。 「んじゃ、泣ける様にするまでだ」 「え?」 上を向くとまた激しい口付けが降ってきた。 「んっ、んふ、くぅ」 解放されると、今度は髪を梳きながら啄む様なキスを繰り返す。 「んっ、剣、八、くすぐった」 一護の身体が弛緩し、熱を帯び始めた頃を見計らって髪を撫でていた手を、頬を滑らせ胸を辿り、一護の中心へと伸ばしていった。 「あ、やだ、今日はイヤだって」 「聞こえねぇな」 耳朶に舌を這わせながら、剣八は低く笑いながら言った。 「あ、あ、や」 首を竦ませ逃げようとする一護の首筋をきつく吸った。 「あっ!」 すぐに紅い跡が浮かび上がった。 「お前の身体はすぐ後が付くな」 自分の付けた跡に舌を這わせ剣八が愛しげに呟いた。 第2話へ続く 09/06/22作 71作目です。 だいぶ前から書いてたのに、白雪さんのお話がマッチして漸く動き始めました。ありがとうございます。 今回、ノイトラちょっとだけですね。次からは出そうかと考え中です。 |
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