題「子狐の恋」2 | |
弓親に連れて行かれた所は、変な所だった。 「?弓親、ここはなあに?」 「お風呂だよ、まさか一護君、お風呂知らないとか・・・?」 「なあに、それ?」 まあ、流魂街だからなあと勝手に納得して説明する。 「ここはね、身体や頭を洗って綺麗にして、お湯に浸かるんだよ」 「何の為に?」 「清潔にして病気にならない様に、疲れを取る為にさ」 「ふうん」 「さっ、入ろう。僕も一緒に入るよ」 「うん」 服を脱いでいく。一護は下着を身に付けていなかった。 「弓親?まだ?」 「おまたせ、さっ、入ろう」 かららと戸を開けると、剣八が居た。 「あっ、剣八だ!剣八もお風呂入るんだ」 「当たり前だろ」 「俺初めてだよ」 「じゃあ、今までどうしてたんだ?」 「川で水浴びしてたけど・・・、ねえ、なんでこの中むわむわしてるの?」 「湯気のせいだろ、おら、頭洗ってやるからこっち来い」 「うん、わっぷ、熱い!」 「熱かねえ」 「う〜、わっ、わっ、何、コレ、あっ目痛い!」 「うるせえな、目ぇ瞑ってろ」 ザバッとお湯を掛けて泡を落とす。 「ぷふうっ」 「ほれ、背中は洗ってやる」 「う、うん」 ごしごし洗ってくれた。そんなに汚れてない。 「言う割に汚れてねえな。後は自分で洗え」 手拭いを渡された。じーっと見る一護。 「あん、どうした?一護」 「どうやるの?」 「その手拭いで身体擦りゃいいんだよ」 「こ、こう?」 見よう見真似でやってみる。 「出来んじゃねえか」 「えへへ、剣八に褒められた」 「一護君、耳の後ろも洗いなよ?」 「うん」 弓親の指導の下、漸く身体を洗い終えた一護。 「なんか疲れた・・・」 湯船に入ろうとして足を入れた。 「熱い!何これ!」 「何って、湯だよ」 と剣八が平然と答える。 「大丈夫なの?お味噌汁みたいに熱いよ?」 後ろでぶはぁっと誰かが噴き出した。 「大丈夫だからさっさと入れ」 「う、うん」 恐る恐る入る一護。 「う〜、あ、熱いよぅ」 「慣れればマシだ」 「そうなの?」 「ああ」 じーっと剣八の身体を見てくる一護。 「なんだ、珍しいもんでも付いてるか?」 からかい半分で聞いてみた。 「ん、んー、とと様もこうだったのかなって思って・・・」 「なんだ覚えてないのか?」 「うん、俺が小さい時に、毒で殺されたってかか様が言ってた。だから俺、自分以外の男の身体見たこと無い」 「ふうん、まあ人それぞれだがな。あんまじろじろ見んな」 「ご、ごめんなさい」 ふらふらしてきた一護。 「おい、一護?」 「ぐらぐらすりゅ〜」 「のぼせやがった」 剣八の胸に倒れる一護、抱きあげて外に出す剣八。 「ん・・・」 「お、目ぇ、覚めたか」 「あ、剣八・・・」 「水、飲め」 「うん、ありがとう」 こくこく飲む一護の喉に目が釘付けになる剣八。 「どうしたの?」 「いや・・・、気分はどうだ・・・?」 「よく分かんない・・・、初めてだもん」 「そうだったな・・」 「俺、ここで寝るの?剣八と二人で」 「ああ、嫌なのか」 「ううん!嬉しい!」 ふわりと石鹸の香りが鼻を掠めた。湯上りでほんのり赤くなった一護の肌は透き通るほど美しかった。 「もう寝ろ・・・」 「うん・・・」 とろとろと、眠りに落ちていった一護。 欲情してる・・・?こんな子供に?俺が?ありえねぇ・・・。 剣八は、すう、すう、眠る一護の隣りで自問自答した。 「ん・・・」 もぞもぞ動きだす一護。 「かか様・・・」 丸くなって眠る一護は泣いていた。 「ガキだな・・・」 涙を拭いてやると一護がギュッとくっついてきた。 「う、お・・・」 すりすりと胸のあたりで何をするのかと見ていると、心臓のあたりで落ち着いた。 こいつ・・・。心音でも聞いてるのか? 髪を撫でると嬉しそうにした。 翌朝、一護が起きると剣八はまだ寝ていた。 「まだ寝てる、もう朝なのに?」 ハッと思い出したかのように、頭とお尻に手をやった。良かった。耳も尻尾も出てない。 「何してんだ・・・?」 「あ、おはよう、剣八」 「頭でも痛いのか?」 「ううん、カユかっただけ」 「着替えは?」 「まだ・・・」 「用意してあんじゃねえか」 「どうやって着るの?」 ちょこんと座って、足の間に手を挟んで見上げてくる一護。こいつワザとかよ・・・? 「おら、着替えさせてやるから脱げ」 「うん」 帯を解き寝巻きを脱ぐと、下着を着けてない一護はすぐ裸だ。 「おっ、まえ、褌は!?」 「何それ?」 「まじかよ・・・」 きょとんとしている一護。 「これが褌だ、今から付けてやるから、覚えろ」 「なんで?要る物なの、それ?」 「要るから教えるんだよ、いいな」 「う、うん」 「ほれ、これで安定すんだろ」 「窮屈・・・」 「ぶらぶらするよりゃマシなんだよ、お前昨日もしてなかったのか?」 「うん、したこと無いよ」 もじもじと触っている。 「ああ、触るな、次は死覇装だ」 襦袢と上着、袴と着せては教えていった。 「疲れた・・・」 「ねえ、これ、おしっこする時どうするの?」 さらにどっと疲れた剣八。 「来い、教える」 厠に連れてった。そこで懇切丁寧に教えてやった。 「ギリギリまで我慢すんなよ・・・」 「うん」 素直なんだがなぁ・・・。二人で手を洗って部屋に帰る。剣八も着替える。 「一護、蒲団の片づけ教えるから、お前がこれから片付けろ」 「うん!」 「隊長、お疲れのようですね」 「あ〜、あいつ何も知らねえんだな、褌も知らなかったぞ」 「ああ、そう言えば昨日付けてませんでしたね」 「変わったガキだぜ」 「でもあれだけ隊長に懐くのって副隊長以外じゃ初めてじゃないですか?」 「確かにな・・・」 人の顔を見てはニコニコ、にこにこ・・・。何が楽しいんだか・・・。 「で、その一護はどうした?」 「庭の掃除をしてもらってます」 「ふうん・・・」 「いつまで置いとくんですか?」 「あん?居たいだけ居させりゃ良いじゃねえか」 「そうですね」 「弓親ー、お掃除終わったー、次はー?」 「そうだね、この書類を他の隊の隊長に渡してきてもらおうかな」 「他の隊・・・?」 「分かる?一番上に数字が書いてあるから、その数字が書かれた隊舎に持っていけばいいよ」 「うん!やってみる。これが出来たら、俺は役に立てるの?」 「それはもう。助かるよ」 「えへへ、頑張る」 第3話へ続く 09/01/20作 次は、初めてのおつかい?いっちー頑張ります。 |
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